短編 | Good bye くびれ
「食べる、夜?」
そう彼にきかれたとき、返事に窮してしまった。
最近、食事を制限して、ちょっとクビレもできて、オヘソも縦長になりつつあったから。
1日くらい食べたって大丈夫という甘い考えに負けて、ダイエットに失敗してきたから。
「今日は、もう遅いからやめておこうかな。ごめんね」
「そっか、残念だなぁ。食事しながらいろいろ話そうと思ってたんだけど。今日はもう帰ろうか?」
「もう少し、いっしょにいたいな。ただいっしょにいて、お話するだけじゃダメかな?」
「そっか。でもオレ、お腹すいたから。人が食べてるを見てるだけじゃ嫌でしょ?」
「そんなことないよ。いっしょにお話できれば、見てるだけでも」
「やっぱり、それじゃ悪いから、また別の機会にしよう」
結局その晩はそれきり彼と別れた。
家に帰り、お風呂を済ませた頃、お腹がグーッと鳴った。
せっかくいい雰囲気だったのにな。何で、こうなっちゃうんだろうな。
気が付けば、寝る前に、ポテチを二袋も食べてしまった。
おしまい
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記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします