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睡蓮
2019年1月25日 11:17
十六歳の夏。最初に入れられたのは、女性病棟の個室だった。関東の郊外の、都会ではないけれど完全に田舎とも言いがたい微妙な都市の一角に建つこの精神病院の閉鎖病棟はコの字型をしていて、真ん中の共用スペースを境に男性用、女性用できっちり分けられていた。個室はそれぞれに一つずつしかなかった。そこに入った。 個室の扉には強化ガラスの小窓がついていて、外側に掛けられたカーテンで遮られている。鍵もあるけれど