カゲロウ

夏がくるよ、夏がくるよ、

彼らは空を見あげる

風がくるよ、風がくるよ、

影達が過去へ走り出す

夕立の痕に揺れている僕等はカゲロウ

あの歌の疾走感は切ないほどに

この一瞬だけだと言って


真夏のアスファルトの上でも 気化できない思い出が

蒸し暑い夜に蘇る

言葉も知らない僕等

その感情 もてあそんで

夕立の痕に揺れている僕等はカゲロウ

それでもこの季節を感じてる

眠れない夜に 汗ばんだ体を風にさらして

夏がくるよ、夏がくるよ、

僕等はひとつずつ忘れていくけれど

あの歌の疾走感、切ないほどに

この一瞬だけだと言っているから


僕等はひとつずつ忘れていくけれど

何かを残そうとしている

湿った風と 乾いた路地に


(2014,夏)


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