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【“気持ち悪い”可愛さを楽しむ】H:yoshino インタビュー


H:yoshino 個展「#くらくらドール」を、2024年11月13日(水) – 11月24日(日)の期間にピカレスクギャラリーで開催いたします。

今回は、H:yoshinoさんにご自身のことや制作エピソード、今回展示される作品についてインタビューしました。ぜひお楽しみください。


自己紹介をお願いします

猫とうさぎのオリジナルぬいぐるみ、オリジナルドールを主に作っている人形ぬいぐるみ作家H:yoshinoと申します。

出身は宝塚で、高校は美術専攻、大学は京都の芸大を出て、作家となりました。結婚を機に関東に引っ越し、今は作家活動と共に保護猫ボランティア活動に邁進しています。

宝塚にいた時から、個人的に保護猫活動はしておりましたが、こちらに来てからは更に活動の幅を広げ、保護猫ボランティアでのグッズデザインや、制作などもしています。

現在の作品の世界観が生まれたきっかけを教えてください。

それは大事な猫の話になります。
保護猫のとうふが当時不治の病であったFIPを発症後、直ぐに亡くなり、その行き場の無い気持ちを昇華するべく、猫のチェス盤を作りました。
その後も、立て続けに保護猫のじゅら、び助と同じ病で亡くし、同じ行き場の無い気持ちを作品にぶつけることで、なんとか乗り越えてきました。
び助は、初めての猫ぬいぐるみ『びすけっとどーる』のモデルになりました。『クビカシゲ』や『こたんたれぶー』も我が家の猫たちをモデルにしています。

現在使用している素材で作品を作る理由を教えてください。

物心が付く前から、大のぬいぐるみ好きだったようです。
学生時代は、デザイン、立体、現代アート、彫刻など右往左往してきて、いろいろ作りました。ドールを作ることもあり、レジンの扱いやシリコンの使い方を覚えました。猫を亡くした折のぬいぐるみ制作で、ぬいぐるみの技法と、レジンの技法がバチッとハマリました。

今はいろいろやりたいことがあって、右往左往したり回り道しても、結局シンプルに大好きなもの、自我の目覚める前から好きなものに行くのか!原点回帰か!と思って制作しています。

普段、何からインスピレーションを受けていますか?

飼い猫や、亡くした猫の思い出が多いです。
美味しいお菓子、庭や旅行先で見た動植物からの発想も多いです。 展覧会などを観る機会があると、私も何かしたい!と衝動に駆られて、制作に入る事もあります。
最近では、工芸品の張り子やだるまに刺激を受けました。 不思議なことに、やはり立体物を作っているからなのか、平面の作品より、立体の作品を見たほうが、やる気がでます。

影響を受けたアーティストや、作品はありますか?

影響があったのは、大塚勝俊さん、最近はヒグチユウコさんでしょうか。
大塚勝俊さんは、大好きな作家さんです。初めはどんな構造なんだ??と言うところから興味を持ちました。また大塚さんはレトロなぬいぐるみのコレクターというところが、私と同じで、いわゆるレトロヴィンテージぬいぐるみのあくびちゃんなどから作られた作品に心射貫かれた思い出があります。

ヒグチユウコさんも大好きで、最初は大学にある本屋さんで出会って、可愛い猫ちゃんの画家さん!というイメージでした。その後猫ちゃん以外の作品にも出会い、ダークだったり、ファンタジーだったりする所に惹かれました。サーカスイメージの作品は、私もサーカスが好きなこともあり、特に好きです。

世界的に有名な故人のアーティストとしては、ロダンアルフォンスミュシャ若冲などが好きで、悩んだときなどに画集を捲ったりします。

これからどんな作品をつくりたいですか?

猫です。たぶん。揺るぎなく猫がベースになると思います(笑)でももっと作品の幅も拡げたいとも思っているので、悩みどころです。
皆さんに寄り添い、コレクションされるだけではなく、遊んで、どこかに連れていってもらったり、可愛がってもらえる作品を作りたいです。共に年を取るような作品であれば嬉しいなと思います。

ご出展いただく作品のコンセプトを教えていただけますか?

たこ こたんたれぶー赤&青

企画の段階から、メインビジュアルはこの子たちと決めていた、たこのこたんたれぶーたちです。
ボディには、ワイヤーとトイスケルトンが入っていて、比較的自由にポーズを取ることができます。 異形的な見た目をリアルにすると、気持ち悪いかもしれませんが、デフォルメするととても愛らしいイメージのたこは、私がいつか作ってみたいモチーフの1つでした。
今回の企画で、初挑戦となり、脚の型紙制作など苦しい時もありましたが、とても楽しく作ることができました。

アマビエ こたんたれぶー

コロナ禍の最初の頃に、アマビエをモチーフにしたこたんたれぶーを2体だけ制作しました。
当時は情勢からとても閉鎖的な抑圧されたような暗い気持ちで過ごしており、どうにかこの気持ちを昇華したいという思いで、疫病退散のアマビエを作ろう!と、制作に乗り出しました。 当時の2体はアマビエ発祥の地の方に、たまたまお迎えしていただき、感慨深かったです。
今回のアマビエは型紙を調整したり、デコレーションを新たにしております。 3本足なところや、ずんぐりむっくりなボディ、もちろんワイヤーで可動できるボディなど、アマビエらしいフォルムと私ならではの構造を楽しんでもらえたら嬉しいです。

ファラオ こたんたれぶー

エジプトモチーフは、幼少期からエジプト考古学大好きな母の影響で、親しんできました。 こちらも、いつかモチーフとして作ってみたい1つで、今回初めて本格的に作ることが出来ました。 おでこ部分など、こだわりを持って制作しました。 ボディももちろんワイヤー入りで、ポーズが取れます。
今回はファラオ、バステト、メジェドと3体作りましたが、今後は他の神様などにも挑戦したいです。

お客様、ご来場予定の皆様に向けてメッセージをお願いいたします!

まだまだ拙い作家ではありますが、頑張って作っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ぬいぐるみと人形、猫やらなんやらの中で右往左往しながら制作していますが、今回は、同じ原型の顔から色んなモノに変身させるという試みでの展示となります。
沢山作られたプロダクトっぽい同じ形の顔を唯一無二のユニークピースに落とし込むという、良い意味で“気持ち悪い”可愛さを楽しんでいただけたら、嬉しいです。 いつか皆さんが心を射貫かれるような、恋に落ちるような子を生み出せたらと思っています。

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H:yoshinoさん、たくさんの貴重なお話をありがとうございました。
皆さまはどのエピソードが心に残りましたか?

ピカレスクスタッフは、「プロダクトっぽい同じ形の顔を唯一無二のユニークピースに落とし込む」「“気持ち悪い”可愛さ」の言葉が心に残りました。

「KAWAII」という、海外で使われることも多い言葉ですが、その観念をH:yoshinoさんの中にある感覚と紐づけながら掘り下げ、作品に昇華されていることが興味深かったです。

同じ顔が作れることを武器に、ご自身の作品の唯一無二性を追求されていることへも、改めて尊敬の念を抱かずにはいられません。

H:yoshinoさんの展示作品実物を一堂に鑑賞できる貴重な機会です。皆さまのお越しを、お待ちしております。

H:yoshino 個展「#くらくらドール」

〈会期〉2024年11月13日(水) – 11月24日(日)
〈詳細〉https://picaresquejpn.com/hyoshino_2024/
〈H:yoshino 公式SNS〉
X(旧Twitter) http://twitter.com/aiji0531
Instagram https://www.instagram.com/c_n_doll/ 

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【基本営業日時】
*営業 水 - 日・祝 11:00 - 18:00
*定休 毎週月火
*会場 Picaresque Gallery
*住所 東京都渋谷区代々木4-54-7
*電話 070-5273-9561

■開催中&過去に開催した展示一覧
https://picaresquejpn.com/category/information/
■開催&開催予定の展示一覧
https://picaresquejpn.com/exhibition-calendar/


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