【作品解説】Ame to Mori 個展「こえがきこえる」
Ame to Mori 個展「こえがきこえる」を、2023年9月27日(水) – 10月9日(月・祝) の期間にピカレスクギャラリーで開催いたします。
本記事では、個展出展作品をAme to Moriさんのお話し、コンセプトと併せてご紹介いたします。ぜひお楽しみください。
こえがきこえる
✬ Artwork Concept ☞ 「こえがきこえる」
山はなんて大きくて、私はなんて小さいのでしょう。自然の途方もなさを目の前にした時、「帰りたい」という声が聞こえるような気がします。それは「いつかに…」や「どこかへ…」ではなく、「最適地にいない」という苦しみの声でもありません。行くべき道を指す内なる心の声のような…何か大きな存在達からのメッセージのような…そんな声だと思います。
Ame to Mori「大きい山に雨が降っているのか、霧がかかっているのか。水蒸気がもくもくと空に伸びているところを表現しています。
描いているのは、実際に見た風景。私は15歳ぐらいまでの間、湿度が高く、雨がよく降る土地に住んでいたんです。
この景色は、そのころ住んでいた家から出ると拡がっていて。日常的によく見ていました。その時、わぁっと見上げていた時の感覚を思い出しながら制作しました。」
Ame to Mori「猫の目は、初めて立体的に制作しました。普段は、自作の木のスタンプを使い判のように押して目を表現しています。
この猫が見ているのは、猫の体で表現している風景だという確信を持ち制作したからかもしれません。他の猫たちについては、体に描かれているのが猫の心象風景なのか、実際に見ている風景なのか、あえて明確にしていません。
そういった面でも、踏み込んだ表現になりました。幼少期の私が感じていた自然の大きさや怖さ、言葉にならないような感情も内包した特別な作品のため、作品タイトルがそのまま個展のタイトルにもなりました。」
さいごの魔法
✬ Artwork Concept ☞ 「さいごの魔法」
年老いた魔法使いが最期に1つ魔法を使うとしたら、どんな魔法でしょうか。きっと私たちはみんな魔法使いで、最期の魔法を受け取ってくれる存在が何処かにいるはずです。そして、そのエネルギーは姿形を変えながら、ずっとこの世界の何処かに残り続けるはずです。
Ame to Mori「白い鳥と流れ星が一緒に飛んでいるイメージが思い浮かび、制作した作品です。
ある時ラジオを聞いていたら「最後の魔法」というフレーズが聞こえてきて、そこから一気にインスピレーションが湧いたんです。
猫の体全体に描かれた無数の星々、流れ星を仕上げるのは大変でした。実は星全部が金色ではないんです。小さい星に見える点々は、針で彫っていて。流れ星の部分は、彫った後にさらに金色の絵の具を塗ることで、星の風合いを実現しています。
私が作品素材に使っている「オーブン陶土」は陶器と異なり、焼いた後も土の粒々感が表面に残ります。その上に絵の具を塗ると、絵の具がしっかり定着する部分、定着しない箇所に分かれます。
その後、塗った個所をこすることで色合いにグラデーションが生まれます。表面を見ると色んな色が使われているように見えますが、実は塗って、擦ってを繰り返すことで色合いのバリエーションを増やしているんです。
夜空の色合いや、流れ星のしっぽの色が微妙に異なっているのも、そういった工程によるものなんです。」
星流れる
✬ Artwork Concept ☞ 「星流れる」
沢山の命の中を通って、沢山の命をのせて、水は流れて行きます。広い草原に出て夜空を見上げると、この世界のあらゆるものが循環していると感じます。
Ame to Mori「川が流れてゆき、空にのぼって星になる。そして、空の星が川に流れてゆく。そんな命のつながりを描きたくて制作した作品です。空の特別な色味は、塗ってこすってを何度も繰り返すことで実現しました。」
星が出会う山
✬ Artwork Concept ☞ 「星が出会う山」
金色の星は、地上から夜空に飛び立ったものを迎えに来ました。大きな山と月に見守られた、出会い、もしくは再会の瞬間です。
Ame to Mori「白い星が山から飛び出て、隣の金色の星と出会っている情景を描きました。この山自体にそういう物語があると想像して制作しています。猫の正面には白い星と金色の星を。背中には月を描きました。
これは、猫にとっては当たり前の景色なんです。「今日もか~」という感じ。
山で命を終えた者が星になるイメージです。夜空に飛び出した白い星は、先に来ていた金色の星と出会って安心する。金色の星は迎えに来てくれているんですね。」
月に照らされて
✬ Artwork Concept ☞ 「月に照らされて」
満月を見つめすぎると体の力を吸い取られるよ、と言われました。煌々と闇夜を照らす月の光は、昼には見えなかったモノたちを浮かび上がらせるような気がします。
Ame to Mori「目に見えない色々が見えちゃった、そんな物語を想像して制作しました。
この風景における猫は、夜の一部です。猫にこの風景が見えているか分かりませんが、瞳が黄色なので、もしかすると月を見ているのかも。
そんな猫の体全体に描かれている、ふわふわした黄色い何か。
これ、実は蛍ではないんです。これは、普段目に見えない何か。月の力によって見えてしまった何かなんです。
木全体は、うっすら青色に着彩しています。木から出るエネルギー、生命力が月に照らされることで、見えるにようになるイメージです。もしかするとこの猫、木のエネルギーも見えているかもしれません。」
鳥が森へ帰るころ
✬ Artwork Concept ☞ 「鳥が森へ帰るころ」
眠るため、森の木々に集まって止まる鳥たち。昼間当たり前に見ている鳥の姿が、どこか不気味さを纏っているように見えました。”秘密の鳥の国”を覗き見てしまったような気持ちになりました。
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Ame to Mori「実はこの作品、はじめは何を描くか決まってなかったんです。
”夕方の暗くなった森に、どこからか鳥が帰ってくる。”
ちょっと色を塗っているうちに、そんな思い出が湧いてきました。白い点々が鳥ですね。しっぽの着彩は模様を描いてます。
余談ですが、私の作品をご覧になって、幻想的、ファンタジーと仰って下さる方いるのですが、私自身にはあまりそういう考えはないんです。
あくまでも、現実にある景色を描いている感覚です。意識・無意識関わらず、過去、私が実際に見た景色の記憶から色々ひっぱり出して描いているのかもしれません。」
こんな雨の日は
✬ Artwork Concept ☞ 「こんな雨の日は」
夕方、雨が降ってきて、薄暗く肌寒くなってきて…それでもなんで、人は忙しくセカセカとしなければいけないのでしょうか。怠け者な私はそんな風に考えてしまいます。
Ame to Mori「雨の日は、人間も動物もあまりやる気が出ないかなと思ってます。
けれど、ツバメは頑張って空を飛んでいる。猫はフーン、という表情で見ている。猫のまぶたはとろんとしている。
そんな、雨の日特有の空気感を表現しました。」
Ame to Mori「ちなみに、猫の目は自作の木製スタンプを押し当てたり、穴を開けることで制作しています。今、スタンプは2~3種類あります。スタンプを押した後は手で少し形を変えているため、同じ目を持つ猫はいません。」
大風の前の晩
✬ Artwork Concept ☞ 「大風の前の晩」
大風の前の静けさの、あの不気味な気配はなんでしょうか。林の中で、草むらの中で、その時を凌ぐために息を潜める生き物たちの緊張感でしょうか。
Ame to Mori「大風が吹く前、一瞬しーんとする感じを印象深く受け止めています。静かすぎて何か来るぞ、というような、ちょっと怖い感じもします。そんな空気感を表現したくて制作した作品です。
ちなみに、背後に描いているのが、森、雑木林のイメージです。
ちょっとざわっとしているように描きました。
猫は、この景色の中にいるイメージで作っています。」
めぐり会う
✬ Artwork Concept ☞ 「めぐり会う」
橙色の実と、森の生き物のめぐり会いの瞬間を猫が見つめています。この世界はきっと、日々様々なエネルギーが混ざり合って、別れて、弾けて、生まれて…そうして回っていると思います。
Ame to Mori「オレンジ色の実と右下の生き物が巡り合った場面を表現しています。
場面や物語のイメージは、制作しているうちに自然と出来上がります。
猫の体で表現されている木の幹は、立体的に見えるよう彫り、葉っぱ部分は自作の木製スタンプを用いています。
作品の表面を彫るか、塗るかは実際の猫の形を作ってから考えます。イメージした大きさの猫を陶土粘土で作る過程で自然と生まれたへこみや傷から得た着想で模様を考えることもあります。先に体を作り、一番最後に顔を仕上げます。
彫りの構造が決まらなかった場合、先に粘土を乾燥させ、乾燥しきった後に猫の体に絵を描くことが多いです。」
夕方の暗い雨
✬ Artwork Concept ☞ 「夕方の暗い雨」
夕方、あたりは暗くなってきましたが、まだ空の光が残っていて、雨が微かに輝いている景色です。猫も、そんな景色を見つめています。どこかで鳥も鳴いています。
Ame to Mori「夕方にざっと降る雨を描きたくて作った作品です。
暗さがありますが、部分的にキラッとするところがあります。そんな世界観を持っている作品です。
ちなみに、このキラッと光る雨の線、実は針みたいな道具で削って描いてます。」
枯葉と焼き芋と金木犀の香り
✬ Artwork Concept ☞ 「枯葉と焼き芋と金木犀の香り」
私の中では、秋といえば、枯葉と焼き芋と金木犀の香りです。猫も秋の匂いを楽しんでいるように思います。
Ame to Mori「この作品は、私が小さかった頃、秋に車に乗っていた時の思い出から生まれました。
私は車酔いする子どもだったため、車に乗る時は窓を開けて外を眺め、外の空気を吸い、心身を落ち着けていました。
風景は、車窓から実際にみたものです。秋の車窓から香る匂いの中に、枯葉や焼き芋、金木犀など、いろんな匂いがありました。
そんな秋のドライブの記憶が詰まった作品です。
この猫は、何かを嗅いでいるのか、鳥が羽ばたく音を聞いているのか。
ほっぺがピンク色なので、何か見つけたのかもしれませんね。」
さようなら秋の風
✬ Artwork Concept ☞ 「さようなら秋の風」
寂しい秋の風が吹いて、またひとつ季節が通り過ぎていきます。冬になる前の最後の秋の風に、さようならと言います。
Ame to Mori「秋の終わりの淋しい感じが好きで。
紅葉していた葉っぱ、茶色くなった草原。
草原の草が揺れている様子。
それらが秋の終わりの淋しさを一層際立たせるように思い、猫の体に描きました。
色味は、実際に見た風景の色を作品に用いることが多いです。
この子は、特に色味をこだわったので、2回ぐらい塗りなおしています。まん丸の目も気に入ってます。」
遠くの雨が秋を連れていく
✬ Artwork Concept ☞ 「遠くの雨が秋を連れていく」
雨が降って、秋の終わりを告げています。枯葉は雨のシャワーを潜って、別の何かに生まれ変わっていきます。
Ame to Mori「自分の上には雨が降っていないけれど、遠くでザーッと雨が降っている時がありますよね。その情景を、秋に重ねて描きました。
風が吹いていて、自分がいるところにも雨が降りそうだという予感、気配も込めています。
猫の背中部分には、雨雲とシャワーみたいな雨を描きました。
学校でプールに入る前に潜る、アーチ状のパイプのあちこちにシャワーが付いているもの、あれを思い出して描いているんです。
猫の正面部分で飛んでいた枯葉が背中の方のシャワーをくぐっているイメージです。猫の正面と裏で時間軸が進んでいるんです。正面が過去とすると、裏は未来。
実は、正面で舞っていた葉っぱは、裏ではシャワーをくぐってお魚に変化しました。秋だったものが、風に連れ去られて終わり、次の命を得る、そんなイメージです。
秋だったものが、シャワーを浴びて何かになったんですね。」
宇宙のお山ねこ
✬ Artwork Concept ☞ 「宇宙のお山ねこ」
森の植物は土の下、菌糸で繋がって、巨大なネットワークを作っています。土の中の世界を調べていくにつれて、まるでもう一つの宇宙がそこにあるように思いました。そして、私たち生き物の中にも宇宙はあるように思います。きっとみんな、お腹に宇宙を抱えています。
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Ame to Mori「謎ですよね。謎なものを作ってしまったなと思っています。
今回の個展会場に並べていただこうか迷ったのですが、連れてきちゃいました。
地面の中には宇宙があるんですよね。
菌糸について調べていた時に、私が今まで考えていたこととぴぴぴっと繋がりハッとして、作品にしたいと思いました。
菌糸は、植物の根っこにくっつく菌です。
ほとんどの植物の根っこには菌糸があり、それが数10mの長さまで伸びるんです。森中の植物の根っこにくっついている菌糸が繋がって、巨大なネットワークを作っている。
その巨大なネットワークで、栄養のやり取りが行われるんです。
日陰に落ちた種が、どのように木を成長するのかずっと不思議に思っていました。
菌糸を通して、大きい木が作った栄養を、小さいほうの木に栄養を送る。栄養のやり取りをしている。その話を聞き謎が解け、何てすごいんだと思ったんです。
人間は、宇宙にロケットを飛ばしたり、月に行く話をしていますが、土の中もすごいよ、そんな気持ちになり作りました。
また、土の中のすごさだけでなく、私たち人間や動物の体の中にも腸内細菌が住んでいますよね。生き物の体の中って宇宙なんだと思って。
猫の体もそんな風に捉えなおして制作した作品です。」
りんごぴかぴか
✬ Artwork Concept ☞ 「りんごぴかぴか」
赤くてツヤツヤの林檎が夕陽に照らされたら、きっとぴかぴかして綺麗だろうなと思って描いた作品です。猫の頬も照らされて、りんごほっぺになりました。
Ame to Mori「りんごがぴかぴか夕日に照らされて、猫がきれいだなぁと思っている様子を表現したくて作った作品です。
なので、タイトルもそのまま「りんごぴかぴか」です(笑)。
猫が見ている風景が、猫の体に描かれています。猫のりんごほっぺはお気に入りの一つ。りんごぴかぴかは片言なので、猫の頭に浮かんでいる言葉かもしれないですね。
この作品含め、猫の体の風景はアクリルガッシュを使って描いています。
赤色で塗ったリンゴの上に、さらに金色のアクリルガッシュを使って着色しています。そのため見る角度によって、りんごの色合いが変化すします。」
HOREBORE
✬ Artwork Concept ☞ 「HOREBORE」
一緒に暮らしていた猫は、小鳥が窓の前を通ると歯を鳴らして、嬉々として見つめていました。そんな彼が、夕方の林に帰る鳥の大群を見つけたら、いったいどうなってしまうのでしょう。
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Ame to Mori「鳥さんがいっぱいの風景にHOREBOREしてる猫です。
体の黒い粒々は全部鳥さんです。
夕方になると、街路樹などに集まってパラダイスですよね。今回の個展作品の中で一番ほほが赤い猫ちゃんかもしれません。
ほれぼれしすぎて、ちゃんと話せていない、片言感の雰囲気を出そうとローマ字の作品タイトル"HOREBORE"にしました。」
秋を見つめる(1)
✬ Artwork Concept ☞ 「秋を見つめる(1)」
秋の色って、こんな色だった気がします。乾いた木の葉を風が散らす、秋の終わりの景色です。
Ame to Mori「秋の景色、特に秋が終わる雰囲気を描きたくて制作した作品です。制作の終わりに、ちょっと淋しくしたくて、落ち葉を描き足しました。
私は、猫を「淋しさ、悲しさを受け入れて生きている」象徴として作っています。猫は、生き方の先生であるような感覚も持っています。
淋しい感情を放置したら、攻撃的だったり、とげとげしいものになるような気がしています。淋しさにちゃんと寄り添って、昇華してあげること。それが祝福に繋がるような感覚もあって。
そういったものをと猫を結び合わせたのが、私の作品なのかもしれません。」
秋を見つめる(2)
✬ Artwork Concept ☞ 「秋を見つめる(2)」
秋の色って、こんな色だった気がします。黄金色の、温かくてどこか寂しい光が景色を染める、秋の景色を描きました。
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Ame to Mori「先の「秋を見つめる(1)」との連作ですね。実は春ぐらいに作った作品です。秋を描こうと思い、頑張って制作しました。
何日間か机の上に置いて、他の作品を制作する合間に何度も何度も色を重ねて。猫の表情はすぐに決まりました。タバコぐらい吸っていそうな貫禄が生まれましたね。」
初雪の牧場
✬ Artwork Concept ☞ 「初雪の牧場」
のどかな牧場の秋も深まり、その年初めての雪が降ってきました。牛も羊もみんないなくなった牧場の冬の始まりを、猫が見つめています。
Ame to Mori「牧場に初雪が降った日を描きました。
牧場って、動物がいっぱいいて、のんびりしたイメージがあります。ふと、あまり秋とか冬とかのオフシーズンに牧場に行ったことがないなと思って作りました。
制作当初、雪を描く予定はなかったのですが、気づいたら降っていました。穏やかすぎる雰囲気がしっくりこなかったのかもしれません。この作品を、私の好きな淋しい雰囲気にしたかった。
実は私、ちょっと淋しいものが好きなんです。元気100倍、みたいなの世界観より淋しさを感じさせる風合いが好き。
猫のほっぺが赤いのは、寒いからでしょうね(笑)。」
忘れないように
✬ Artwork Concept ☞ 「忘れないように」
雪が地面を覆いつくしていきます。子どもたちが遊んで残った”かまくら”や雪だるま、長靴のあと、車の轍。人々が暮らしたその刻が覆い尽くされて、無かったことにならないように。忘れないように、見つめます。
Ame to Mori「雪景色が描かれている子です。
雪が降ると、今まで町にあったすべてのものが覆いつくされて、人の生活の後とか足跡とかが消えちゃいます。
消えていく様子を、忘れないように猫が見ています。
ほっぺたがピンク色なのは、鳥を見て喜んでいるからです。」
きっと、くまも穴に籠っている
✬ Artwork Concept ☞ 「きっと、くまも穴に籠っている」
あたりは吹雪で真っ白。きっとあの熊だって穴に籠って、寒さをやり過ごすしかないでしょう。そう考えて家でぬくぬくしている猫です。
Ame to Mori「寒い日冬の日。雪が風に乗って、ふわぁっと吹いてくるような日。
この猫ちゃんは家の中にいますが、外を見て(野生の生き物たちはどうしているんだろう)と、思いを馳せているイメージで作りました。
この作品は「二十四節気と七十二候」から着想を得ています。
七十二候の中に「熊が穴にこもる」という季節の表現があります。タイトルもそこから取っています。」
「七十二候からタイトルを取った作品がもう一つあるので、この次に紹介しますね。」
虹隠れて
✬ Artwork Concept ☞ 「虹隠れて」
寒くなると虹が出なくなります。灰色で覆われた曇り空。つい、じっと見つめて、その奥にあるはずの青空を探してしまいます。季節は移り変わっていくものだから、大丈夫だと思います。
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Ame to Mori「この子が七十二候シリーズの第二弾です。
冬になると虹が出ずらくなりますよね。そんな季節ならではの風景を表現しました。」
「私が雪国に住んでいた頃、冬の空全体が雲で覆われて空が見えない時がありました。そんな時、雲の隙間からハッとするほど綺麗な青空が見えるんです。そんな思い出を紐解きながら描きました。
猫の背中には、一羽の白い鳥が飛んでいます。この猫の頭の中に拡がる景色が、体に描かれているのかもしれませんね。」
みんなは元気かな
✬ Artwork Concept ☞ 「みんなは元気かな」
大雪が降ると除雪が追いつかなくなって大変です。せっせと雪掻きを続けて、あとは疲れ果てて家に籠るしかありません。ですが、「あの人はどうしているだろうか」と、思い遣り心配する、愛おしい時間でもあります。
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Ame to Mori「皆は元気かなぁと、大雪であまり外に出られない時期に思っている、子どもっぽい感じの猫ちゃんです。
子どものころ豪雪地帯に住んでいたので、その時の光景を思い出しながら雪景色を描きました。
猫の頭は、ハチワレでもない、ヘルメットみたいな模様になっちゃいました(笑)。最終的に、子どもがかぶっているニットの帽子のようなイメージで仕上げました。」
綿帽子の夜
✬ Artwork Concept ☞ 「綿帽子の夜」
ぽさぽさと雪が降り積もる夜。人知れず、木々は冬の真っ白な装いに変わります。夜に生きる生き物たちは、きっとその瞬間を見ることができるのですね。
Ame to Mori「淋しい風景と猫ちゃんの作品です。
ほわほわした雪が降ってきて、いっぱい積もって、木々が綿帽子みたいになるよ、という作品です。
人々は、木々が綿帽子以上の状態になった時に目を覚まします。起きた時にはぜんぶ真っ白。皆が寝ている夜には、綿帽子みたいになってるんじゃないかなぁと想像しました。
皆が眠りについた夜、猫だけが起きて静かに雪が降る様子を見ています。
風景は淋しいけれど、猫は嬉しいのかもしれません。猫は、降る雪の動いている様子を見て喜んでいるように見えますね。」
空に近い丘
✬ Artwork Concept ☞ 「空に近い丘」
空に近い丘に登ると、あの星にも手が届きそうな気持ちになります。決して手が届かない事は分かっていますが、それでもいいのです。それがいいのです。
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Ame to Mori「この猫は、空に近い丘まで行って、星が出てきているのを眺めています。
私が実際に見た、オレンジやピンクっぽい夕方の空を思い出して描きました。夜になっていない、夕方の空の感じが好きなんです。
この猫は、星を見て何を思っているんでしょうね。」
同じ月の下
✬ Artwork Concept ☞ 「同じ月の下」
猫と兎、自然界では関わり合う事はきっと殆どないモノたちが、同じ草むらにいて、同じ月を見つめています。
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Ame to Mori「猫の体にウサギを二羽 描いてます。
二羽のウサギと猫、それぞれが同じ方向を向いています。
違う生き物だけど、同じ方向を向いている。そんなイメージが湧き、作りました。
ちなみに、この作品を作る前に書道の作品を見ていて、書道の墨の色、朱の色がきれいだなと感じ入っていました。そこから得たインスピレーションを元に、この作品を着色しました。」
雨音に包まれて
✬ Artwork Concept ☞ 「雨音に包まれて」
水面にふる雨の景色です。小さな島に生える木に、鳥たちが集まってきて休んでいます。空と海が繋がる音に耳をすませて、地球とひとつになっています。
Ame to Mori「島が水辺にたくさん浮かんでいる。そこに木が生えている。鳥たちは、他に休むところが無いので、島に生えた木に集まってきている。
ざーっと降る雨。
鳥たちは静かに雨宿りしている。
この風景は、実際に見たのではなく、イメージが自然と沸き上がり描き上げました。」
雨が止んだら
✬ Artwork Concept ☞ 「雨が止んだら」
雨宿り中の鳥は、青い木の実を狙っています。そして猫は鳥を狙っています。雨が止んだらなにが起こるか…な、一触即発の景色です。
Ame to Mori「雨宿りしている猫ちゃん。雨が降っているので、外には出られません。
彼が見つめているもの、実は体に描いてあります。
それは、ほほを赤らめている鳥。鳥も狙っているものがあるんです。それは、近くにある青い木の実。身を狙う鳥、鳥を狙う猫。
雨が止んだら戦いが始まる。そんな情景を表現しました。」
夜風と満月
✬ Artwork Concept ☞ 「夜風と満月」
夜の田んぼ道の散歩はとても気持ちがいいです。夜風がふいて月が見えると、この上なく幸せに思います。外にいる猫たちも同じように心地よく感じているのでしょうか。
Ame to Mori「夜風が吹いて、草がざざーっとなって、空には満月がある。そんな光景を作りました。青い点々は、草の影。昔、田んぼ道を散歩していた時の感じを思い出しながら描きました。」
5月の湖畔の雨
✬ Artwork Concept ☞ 「5月の湖畔の雨」
山々が新緑の優しい緑で包まれる季節は、雨もキラキラと光って、柔らかく優しく感じます。こんな雨なら、雨が苦手な猫たちも心地よく感じるのではないかなと思います。
Ame to Mori「5月になると温かくなり、明るさも増してきて、雨が降ってもちょっと明るい気分でいられます。
そんなふんわりした気分を表現しました。
ひっかいて描いた雨の線は、角度によってキラキラします。
明るい雰囲気になるよう、黄色っぽい色を選びました。」
あめふれ、あめふれ
✬ Artwork Concept ☞ 「あめふれ、あめふれ」
毎日暑くてしょうがなくて、猫はもう限界ですが成す術はありませんでした。鳥たちは一生懸命に雨雲を運んできました。
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Ame to Mori「この子はすごい表情をしてますね(笑)。暑すぎていやになっているんです。
目の表情が今までと違って…迫力がある、というのでしょうか(笑)。
あまりの暑さに、少し涼しくなって欲しいと思っているけど、猫にはどうにもできません。ぐだっています。
身体に描かれているのは、白い鳥と、グレーの雨雲。
鳥は頑張って雨雲を運び、猫はぐったりという対比です。
グレーの小さな粒々は雨粒です。雨がちょっとずつ降ってきている様子を描いています。涼しくなるまで、あと少し。そんな直前の情景です。」
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Ame to Moriさん、たくさんの貴重なお話をありがとうございました。
皆様はどの作品が心に残りましたか?ぜひコメント欄に感想をお寄せください。Ame to Moriさんの作品実物を一堂に鑑賞できる今回の機会、どうぞお見逃しなく。
Ame to Mori 個展「こえがきこえる」
〈会期〉2023年9月27日(水) – 10月9日(月・祝)
〈詳細〉https://picaresquejpn.com/ametomori_exhibition_2023/
〈Ame to Mori 公式SNS〉
Instagram https://www.instagram.com/ametomori_shop/
X (旧 Twitter) https://twitter.com/ametomori_shop
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【基本営業日時】
*営業 水 - 日・祝 11:00 - 18:00
*定休 毎週月火
*会場 Picaresque Gallery
*住所 東京都渋谷区代々木4-54-7
*電話 070-5273-9561
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■開催中&過去に開催した展示一覧
https://picaresquejpn.com/category/information/
■開催&開催予定の展示一覧
https://picaresquejpn.com/exhibition-calendar/
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