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【全ての愛おしい凸凹たちを讃えて祝福したい】Ame to Mori インタビュー


個展「全ての愛おしい凸凹たちへ」を、2024年11月6日(水) – 11月17日(日)の期間にピカレスクギャラリーで開催いたします。

今回は、Ame to Mori さんにご自身のことや制作エピソード、今回展示される作品についてインタビューしました。ぜひお楽しみください。


自己紹介をお願いします

Ame to Mori (アメトモリ)と申します。
普段は主に手のひらサイズの立体作品を制作をしています。継続して制作している作品としては、今回メインで展示している「風景猫」や、「ころちゃん」シリーズなどがあります。
以前は教育関係の仕事に携わっていましたが、何かもっと別の方向から世界と関わりたいという事を考えながら働いていました。そんな時、趣味で低温陶土という粘土を手に取り、その粘土を使って小さな作品を作って、庭先に置いてみたことがありました。道ゆく人がそれを見て笑っているところを目撃し、「これかもしれない」という気持ちが心の内に小さく芽生えました。その気持ちを頼りに、2020年から作家として制作をはじめ、今に至ります。

現在の作品の世界観が生まれたきっかけを教えてください。

作品は自然の景色や、そこに暮らす生き物などから着想を得ています。幼少期、山間の町に住んでいた時に、圧倒的な自然と濃密に関わり暮らした経験や、その時に考えていた様々な事が、今の作品の色合いや造形、テーマ、全てに影響を及ぼしていると感じています。今回展示する「風景猫」は特にその影響を多く受けていると思います。猫がその目を通して観ている世界、思い描く世界はどんなものなのだろう。人が生きる慌ただしい社会と並行して存在する別の世界、別の時間があるはずで、それはどういうものなのだろう。それらが溶け合うところ、境界線はどこにあるのだろう。自然に生きるものたちは、きっと知っていて、それを見つめているのではないか…。まだ「わたし」というものがはっきりとしていなかった幼い頃の私も、そんなものを感じる事ができたような気がします。それらを思い出したい、もっと感じたいという欲求や、他のまだ言葉にできない感情が、「風景猫」というカタチになったような気がします。

現在使用している素材で作品を作る理由を教えてください。

使用している低温陶土は、陶土に樹脂等を混ぜた粘土です。乾燥させてから160度〜180度程の低温焼成で実用強度が出ます。焼成といっても陶土が何か別の物質に変化するのではなく、樹脂によってそのまま固められて、どこか不思議な質感になります。作品によっては、木や石だと勘違いされることも時々あります。
冷たそうだけど、どこか温かみも感じる。硬そうだけど、優しそうな雰囲気もある。そんな印象が気に入っています。また、作品を手に乗せた時に、大切にしたくなるような重さと、しっとりした質感を感じられるところも気に入っています。

普段、何からインスピレーションを受けていますか?

暮らしの中で見聞きした事、肌で感じた事、すべてからインスピレーションは受けていると思いますが、作品に向かう時にある特定の事を考えるということはありません。素材がなりたいカタチになれるように手を添えている感覚で制作しています。完成した作品を回して見ていると、時々はっとするほど懐かしい景色や色や空気をその中に見つけます。意識はしていませんが、知らず知らずのうちに滲み出ているのかもしれません。そういった意味では、自然から受け取るものは多いと感じます。生まれてから今までに経験した事や感じた事が、蓄積されて、撹拌されて、濃いジュースになった後に、何らかのフィルターを通って出てきます。不思議と真新しいものは出てこないので、何年か熟成されないといけないようです。

影響を受けたアーティストや、作品はありますか?

児童文学や童話をよく読みます。内容自体もそうですが、使われている挿絵も好きです。最近ではミヒャエル・エンデの「モモ」「はてしない物語」を繰り返し読んでいます。宮沢賢治トーベヤンソンの世界観も好きです。
絵画作品ですと東山魁夷の「緑響く」、映像作品では宮崎駿手塚治虫の作品が好きで、子どものころからよく観ていました。手塚治虫の「ユニコ」という作品をアニメで観た時は、可愛いビジュアルと反した可哀想で救いのないラストに、見終わった後は子どもながら愕然とした事を覚えています。トラウマ的に心に残っていますが、どこか寂しいものに惹かれてしまう性分は「ユニコ」から来ているのかもしれません。あとは、クラシック音楽(特にロマン派、気に入った作品ばかりですが)をよく聴きます。

これからどんな作品をつくりたいですか?

変わらず猫の作品は作っていきたいと思っていますが、他に身近に感じる生き物が現れたら、それらも作ってみたいです。将来、ヤギや羊や鶏と暮らす予定なので、彼らが有力候補です。

あとは、私が考える「かわいい」と「ふしぎ」と、それらの周辺にある色々を詰め込んだ存在たちを作ってみたいという企みも温めています。

ご出展いただく作品のコンセプトを教えていただけますか?

全ての愛おしい凸凹たちへ20

春、水が張られた田んぼに近くの木々や山々が映る里山の景色です。長い冬が終わって春が来た喜びは例えようもありません。雪が溶けて、田に水が張られてから苗植えまでのしばらくの間、そこには近くの木々や山々が映り、世界がぐんと広くなったように感じます。その広い世界に身を置くと、春を迎えた喜びと共に、静かで途方もなく広がっていく、相反するような気持ちが湧き上がってきます。

全ての愛おしい凸凹たちへ100

日が昇る頃か沈む頃、太陽は山の影に隠れて、漏れ出た光が辺りを照らす瞬間です。
光と影は隣り合わせに、一方が強くなればもう一方も強く、一方が弱くなればもう一方も弱くなります。僅かに、しかし強く輝く太陽の光が黒々とした山々や木の凸凹の輪郭を、くっきりと浮かび上がらせる、その一瞬の美しさに、いつも目を奪われます。

全ての愛おしい凸凹たちへ101

それぞれに輝く凸凹の命があって、それらの柔らかで優しく温かい境界線を感じる時、そこには大きな調和があるのではないか。そんな事を考えてこの作品をつくりました。
宇宙の猫は、凸凹なこの世界と、その中と外を巡っているものの愛おしさと調和を見つめています。卵を守り温める事、風を吹かせる事、寄り添い、実りを喜ぶ事。雨の中、大切を分けてあげること。星を集め、朝日の中を飛ぶ事。再会し出発し、誰かや何かを支え…。全ての出来事も、生き物も、巡り巡って循環して、カタチを変えてまた戻ってきます。光と闇によって、そのカタチは露わとなります。照らされる方向が変われば、光と闇もまた逆転します。全てのものは二元的ではなく、あらゆる要素を含んで存在しています。だからこそ互いに調和できるように思います。

お客様、ご来場予定の皆様に向けてメッセージをお願いいたします!

ここまでお読みくださりありがとうございます。ピカレスクギャラリー様での個展は2度目となります。前回よりも、うんと沢山の作品をご用意しました。作品を観てくださった方がどんな事を感じられるのか、とても楽しみにしています。
ぜひ気軽に会場に足をお運びください。そして、ゆったりと作品たちをご覧いただけましたら幸いです。

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Ame to Mori さん、たくさんの貴重なお話をありがとうございました。
皆さまはどのエピソードが心に残りましたか?

ピカレスクスタッフは、猫が思い描く世界と人が生きる社会、それらが溶け合うところ、境界線についてのお話に深い印象を持ちました。

山や畑、宇宙、そして猫。それぞれの境界が溶け合った先に存在する「何か」からの優しい謎掛けのような、在るがまま生きていることへの祝福の物語を感じさせる、101匹の風景猫たち。

エピソードやインタビュー全体を通じて、様々な想いが込められた作品の一端に触れられたような気がし、嬉しく思いました。

Ame to Mori さんの展示作品実物を一堂に鑑賞できる貴重な機会です。皆さまのお越しを、お待ちしております。

Ame to Mori 個展「全ての愛おしい凸凹たちへ」

〈会期〉2024年11月6日(水) – 11月17日(日)
〈詳細〉https://picaresquejpn.com/ametomori_2024_11/
〈Ame to Mori 公式SNS〉
X(旧Twitter) https://twitter.com/ametomori_shop
Instagram https://www.instagram.com/ametomori_shop/

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【基本営業日時】
*営業 水 - 日・祝 11:00 - 18:00
*定休 毎週月火
*会場 Picaresque Gallery
*住所 東京都渋谷区代々木4-54-7
*電話 070-5273-9561

■開催中&過去に開催した展示一覧
https://picaresquejpn.com/category/information/
■開催&開催予定の展示一覧
https://picaresquejpn.com/exhibition-calendar/


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