【動物と星々の調和を表現】小泉夕可利インタビュー
小泉夕可利 個展「宙に浮かぶ夢」を、2025年1月29日(水) – 2月9日(日)の期間にピカレスクギャラリーで開催いたします。
今回は、小泉夕可利さんにご自身のことや制作エピソード、今回展示される作品についてインタビューしました。ぜひお楽しみください。
自己紹介をお願いします
こんにちは、小泉夕可利です。動物をテーマにした木彫の彫刻家として活動しています。制作歴は約20年になりますが、最近は宇宙や無重力をテーマにした作品を多く手がけています。動物たちが星々と戯れたり、夢のような空間で自由に遊ぶ姿を通じて、見る方に物語や温かさを届けたいと考えています。
パンダや猫、カバなどが星や惑星と戯れている姿を作っており、いずれも動物と星々の調和を表現したものです。これまでに数多くの個展を開催してきましたが、今回は「宙に浮かぶ夢」というテーマで新しい展覧会を計画中です。動く彫刻をコンセプトにそれぞれに動く要素を加えています。
現在の作品の世界観が生まれたきっかけを教えてください。
昨年、ピカレスクギャラリーさんで個展を開催させていただいた際、「自然」と「しろくま」の組み合わせをテーマに表現しました。虹や雲をモチーフに制作するうちに、次は「宇宙」をテーマにした作品を作りたいと思うようになり、現在の世界観が生まれました。
長くモチーフとしていた「しろくま」を一旦区切りとし、さまざまな動物に挑戦したいという思いから、宇宙空間で戯れる動物たちを表現する作品を手がけるようになりました。
現在使用している素材で作品を作る理由を教えてください。
クス材に着色して制作しているのですが、クス材は適度な硬さと粘りを持ち、彫刻に適しています。細かい彫り込みも可能でありながら、耐久性が高いため、繊細なディテールから大胆な造形まで幅広い表現が可能です。また、クス材特有の香りが大好きで、彫っていてとても癒されます。制作する時は、私よりも長く生きているクス材を使ってまた新たな命を宿らせてもらっている事に感謝して彫っています。
着色にも適していて、油を含んでいるので、発色も良いです。
普段、何からインスピレーションを受けていますか?
過去に訪れた展覧会で観た作品が、ふと記憶の中に蘇り、それが新しいアイデアにつながることがあります。また、日常の中で予期せぬタイミングでインスピレーションが降りてくることもあります。特に寝る前の静かな時間には、思いがけないイメージや発想が浮かんでくることが多いです。さらに、何気なく目にした言葉やフレーズがきっかけとなり、アイデアの種が芽生えることもあります。木の形からインスピレーションを受けて作る事もあります。こうしたさまざまな場面から、創作に必要なインスピレーションを得ることができています。
影響を受けたアーティストや、作品はありますか?
私が動物の立体作品を作りたいと思ったきっかけは宮城県立美術館の野外に展示されているフェルナンド・ボテロの「猫」と「馬に乗る男」に衝撃を受けた事です。実際に観た時の圧倒感は今でも思い出せるのですが、サイズ感と独特のぷっくりとしたフォルムにとても魅力を感じました。私もボテロのような大きい作品を作りたいというのは今でも思っています。
これからどんな作品をつくりたいですか?
色んな陸の動物にチャレンジして、木彫作品の動物園を作ってみたいです。動物ごとに個性や物語を感じられるようなデザインを心がけ、見る人が思わず笑顔になるような作品を作りたいです。また、展示会場全体を一つの作品のように演出し、訪れた方が非現実的な世界に入り込んだような空間を作りたいと考えています。その空間では、動物たちが自由に動き回る様子や、星や月といった宇宙的な要素と融合した不思議な光景を体験できるようにしたいです。作品を通じて、日常を忘れて夢のような時間を楽しんでいただける展示を目指します。
ご出展いただく作品のコンセプトを教えていただけますか?
銀河に乗って
パンダをモチーフにしたレリーフ作品になります。モビール要素を取り入れて作りました。アイデアスケッチをする際に木の形からインスピレーションを受けて、デザインが浮かびました。銀河に囲まれたパンダを表現したのですが、全ての形を浮かせたところがポイントになります。壁掛けだけど、モビール部分は壁に当たらないように設計したりする所が難しかったです。色合いにも拘り銀河部分を宇宙空間に溶け込ませるようにグラデーションしながら着彩しました。星も一つ一つ丁寧に描いています。パンダのアンバランスな浮遊感も楽しんでもらえたらと思います。
ワープ
地球から宇宙空間に入り込んだ猫を表現しました。どこからみても面白いように3匹の猫を土台から飛び出させました。それぞれの猫は惑星や月、星をおもちゃに遊んでいるように表現し、やじろべえの要素を加えて、動くように工夫しました。3つのモチーフのバランスを取るのにとても苦戦しました。それぞれの重さがバラバラな為、何度も削っては土台に乗せてバランスをみての繰り返しで、これはバランスが取れないのではないかと少し諦めそうにもなりました。バランスが取れた時の達成感は半端なくとても嬉しかったです。
夢を食べるバク
マレーバクをモチーフにモビール作品を作りました。バクは夢を食べてくれるという言い伝えもあり、子供の頃から「バクは夢を食べる」と私の頭にはインプットされていました。この作品には「皆んなの悪い夢を良い夢に変えてくれますように」という想いを込めて作りました。一緒に浮かんでいる抽象的なモチーフが皆んなの夢で、宇宙から見守ってくれています。
お客様、ご来場予定の皆様に向けてメッセージをお願いいたします!
この度の個展「宙に浮かぶ夢」では、これまで主に制作してきたしろくまの作品から一歩踏み出し、新たな動物たちに挑戦しました。今回の展示では、すべて新作でさまざまな動物たちが無重力空間で遊び、星を操り、雷を灯す姿をイメージしながら、宇宙という壮大なテーマに挑むことで、私自身の殻を破り、作品のフォルムや着色にも新しいアプローチを試みました。
特に動物たちの躍動感や遊び心を、私独自の形として表現することに力を注ぎました。木彫りならではの温もりに加え、色彩や構図で宇宙の神秘を感じてもらえたらと思っています。
この展示を通して、訪れる方々が自由な発想でそれぞれの夢を浮かべられるような空間をお届けできたら幸いです。それぞれの作品では、表情や着彩にこだわり、一つひとつ丁寧に表現していますので、細部までじっくりとご覧いただけると幸いです。また、すべての作品に動きの要素を取り入れていますので、ぜひ触れて体感しながらお楽しみください。
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小泉夕可利さん、たくさんの貴重なお話をありがとうございました。
皆さまはどのエピソードが心に残りましたか?
ピカレスクスタッフは、小泉さんが「私よりも長く生きているクス材」を使い「新たな命を宿らせてもらっている事に感謝して」彫っていること、「動物たちが(略)星や月といった宇宙的な要素と融合した不思議な光景」の実現を目指していることを興味深く拝読しました。
深い大地の底から空を目指し上へ上へと伸びて育ったクスの意志が小泉さんの感覚とシンクロし、作品たちが空の更にその先、宇宙に到達しただけでなく融合まで果たしたということに深いロマンを感じました。
木と小泉さんの夢が詰まった作品実物を一堂に鑑賞できる貴重な機会です。皆さまのお越しを、お待ちしております。
小泉夕可利 個展「宙に浮かぶ夢」
〈会期〉2025年1月29日(水) – 2月9日(日)
〈詳細〉https://picaresquejpn.com/yukari-koizumi_exhibition_2025/
〈小泉夕可利 公式SNS〉
Instagram https://www.instagram.com/shi_ro_kumo/
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【基本営業日時】
*営業 水 - 日・祝 11:00 - 18:00
*定休 毎週月火
*会場 Picaresque Gallery
*住所 東京都渋谷区代々木4-54-7
*電話 070-5273-9561
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■開催中&過去に開催した展示一覧
https://picaresquejpn.com/category/information/
■開催&開催予定の展示一覧
https://picaresquejpn.com/exhibition-calendar/
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