数学ダージリン(毎週ショートショートnote)
(本文726文字)
高級なファーストフラッシュをいただいた。
どうせなら、美味しく淹れたい。調べてみると、茶葉1gに対し、熱湯は150mlが良いらしい。早速、1g用のティースプーンを購入し、本当にこのスプーン一杯の茶葉が1gなのか測定してみることに。
しかし、高精度のデジタルはかりで測定すると、何と1.05gもあった。もう一度測ってみると、1.02g……五十回測定した平均値は1.0321gだった。約3.2%の誤差。標準偏差は小さく、ばらつきは±0.02以内。安定はしているようだ。
このデータを基に、熱湯は154.8ml用意することにした。
熱湯と書いたが、実際にはダージリンの最適な抽出温度は95℃なのだ。完全に沸騰した水が100℃、室温を25℃、湿度を58%に安定させる(気圧はやむを得ず無視することに)と、鍋からポットに2.7秒掛けて移した段階で98.2℃になった。もう少し、水温を下げる必要がある。
そして、今度は15cmの高さから注いでみた。すると、96℃に……少し水温は下がったが、まだダメだ。もう少し高くから注ぐ方がいいのだろう。最適な高さの算出の為、何度も繰り返し検証を重ねた結果、21.76cmでピッタリ95℃になることが判明した。
さて、抽出時間は五分だ。これは、信頼性の高いスマホのタイマーで測定しても問題ないだろう。
結果……普通だった。
でも、二杯目は美味しかった。
データの為に続けて30杯淹れてみたが、美味しかったのは18杯。つまり、数学的には、ファーストフラッシュは60%の確率で美味しいダージリンなのだ。
では、普通のダージリンではどうなのか?
セカンドフラッシュだと?
ファーストフラッシュの優位性を証明する為に、私の検証は続く。
(了)
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すみません、今週は開き直りました(汗)
文字数、なるべく短くしようとは思いましたけど、途中で諦めて大幅にオーバーしました🙇♀️💦
タイトルも思い付かず、お題をそのまま使わせていただきました。
お題:数学ダージリン
このパターンのお話を書くのが好きで、過去にも似たようなものを書いたので貼らせていただきます。
ご興味ございましたら、合わせてお楽しみいただければと思います。