Boy Meets Girl(#毎週ショートショートnote)
(本文410文字)
「ナースオフィスはどこよ?」
少年は唐突に話し掛けられた。振り向くと、金髪の美少女がガムを噛みながら腰に手を当て睨み付けていた。
外国人、いや、アメリカ人と断定してもいい感じの自己主張の強そうな少女だ。
「あんた、耳と口あるの?」
攻撃的な性格も、如何にもアメリカ人だ。大和撫子なら、もっとお淑やかなのに。
「頭が痛いの! 案内してくれる?」
「ナースオフィスって何?」
少年がそう聞くと、少女は、はぁ、と大袈裟なぐらいのため息をつく。いちいちリアクションがオーバーだ。
「日本語でいう『ほけんしつ』ってところ」
「最初から日本語で言ってよ」
「アメリカ製の部屋って設定なの」
「確かに和室じゃないけど……すぐそこだよ。案内しようか?」
「はい? 案内するよ、って言えないの? このチキン野郎!」
「ごめん」
「すぐ謝るな!」
「ご……分かったよ。案内するからついてきて」
※
園庭で繰り広げられるママゴトも、近年はすっかり様変わりしたようだ。
(了)