成仏の宴(#毎週ショートショートnote)
(本文410文字)
死んだら土に還る……それこそ、生命の本質のはずだ。魂がどうのこうのって話は、人間が死への恐怖を和らげる為に創った寓話で、本当は動物の死体は自然に分解され、土に還り、植物を育み……と、生命の循環に取り込まれるべきだ。
成仏なんてものも、人間が描いた空想を具現化しようとする愚かな概念だ。もしそんな理想が実現するのなら、死んだ肉体は自然界の養分になってこそ、成仏と呼ぶべきではないだろうか?
生命の循環システムに外れた火葬なんて、大自然への冒涜に他ならない。
つまり、あるべき成仏への近道は、食すこと。
※
えぇ、本日は足元の悪い中、亡き父の成仏宴にお集まりくださり、ありがとうございます。生前の父は、生憎愛煙家でしたので、医師により、予め肺は除去されております。レバーは新鮮な状態で冷凍しておきました。生でお召し上がりください。その他の部位は、シェフがその場で切り分けてくださいます。
では、どうぞ成仏宴をご堪能ください。
(了)
#毎週ショートショートnote 裏お題に初挑戦です。
裏お題は【 #あるべき成仏宴 】でした。
しかし、この文字数、やっぱり苦手やなぁ……💧