高音質なフェルトピアノのプラグイン おすすめ4選
ピアノの弦をフェルトで覆うことで繊細な表現を可能にしたフェルトピアノ。その音色は聴き手を引き込むだけでなく、演奏者に「弾きたい」と思わせる魅力がありますよね。今回はフェルトピアノの音源をリアルさにこだわって、アップライトピアノとグランドピアノに分けて紹介していきます。
アップライトピアノ
Fracture Sounds - Woodchester Piano
Fracture Soundsはイギリスのメーカーです。
映画、テレビ音楽の作曲家であるJames Everinghamと共同で開発されました。彼の所有するドイツのWilh.Steinberg(ウィルヘルム・スタインべルグ)というピアノメーカーのアップライトピアノを収録しています。容量は1.1GB。音色の特徴としては録音が丁寧で暖かみのある丸い音です。音色の明るさを調整するパラメーターが搭載されているので自分好みの音を作れます。またピアノの弦の音だけでなく離鍵音(鍵盤から指を話した時の音)、ダンパーペダルの駆動音、ピアノ奏者から発せられる衣擦れや椅子の軋む音までもが収録されています。離鍵音、ノイズなどはそれぞれ個別の音量パラメーターが搭載されており、全てオフにする事も可能です。特に離鍵音の収録が丁寧で、鍵盤から指を離すと「カタッ」という音が自然に鳴ります。ダンパーペダルを踏んだ状態で鍵盤を弾いてから指を離しても、残った音の後ろで「カタッ」という音がしっかりと聞こえます。またフェルトピアノ音源は音域が狭い事も多いですがWoodchester Pianoは88鍵盤まで鳴らせます。
Jon Meyer Music - POST FELT
Jon Meyer Musicは作曲家、ピアニストとして活動しているJon Meyer氏が開発を行っているメーカーです。彼が所有しているKAWAI BS30を収録しています。容量は4GB。音色の特徴としてはとても澄んだ清らかな音がします。また様々な音を重ねる事が可能でフェルトの音、フェルトなしのピアノの音、ピアノの背面にマイクを立てて収録した音、ギターのピックで弦を弾いた音などを重ねたり、個別にオンオフも出来ます。これには「従来のフェルトピアノの音色」を刷新しようとする製作者の意図が込められています。音域に関しては何故か一番高いドだけ収録されていませんが、残りの87鍵盤は鳴ります。欠点としてはリリースサンプル(離鍵音)が途切れるのが早い為、スタッカートを多様した演奏には向きません。
グランドピアノ
Native Instruments - NOIRE
プラグインメーカーとして説明不要なNative Instruments。フェルトピアノの演奏家として代表的なNils Frahmの所有するYamaha CFX 9を収録しています。容量は約15GB。音色の特徴としてはYAMAHAらしい明るい音がそのままフェルトピアノになったような美しい音です。また低域から高域までクリアな音が出るのでどの音域も使いやすいです。フェルトなしのピュアなサウンドも録音されており、こちらも非常にリアルな為、純粋なピアノ音源としても購入する価値があります。単品で買うとそれなりの値段がするので、本製品が含まれたNative Instruments社のプラグインをセットにしたKOMPLETEのSTANDARD版を購入する事をおすすめします。私もNOIREをKOMPLETEで手に入れました。
Fracture Sounds - Midnight Grand
アップライトピアノの方でも紹介したイギリスのメーカーのFracture Soundsです。Steinway D Concert Grandをコンサートホールで収録。容量は3.3GB。音色の特徴としてはグランドピアノの音源ながらとても距離が近く感じられ、艶がありクリーンな音がします。Woodchester Piano同様にピアノの駆動音、ノイズの収録が丁寧で離鍵音、ダンパーペダルの駆動音、録音している部屋に反響するノイズの3種類を個別にオンオフ可能。こちらも離鍵音の収録が丁寧で、ダンパーペダルを踏んだ状態で鍵盤を弾いてから離しても残った音の後ろで「カタッ」という音がはっきりと聞こえます。
(余談ですがMidnight Grandで調べると星街すいせい氏のMidnight Grand Orchestraがめちゃくちゃヒットします。)
おすすめは以上になります。個人的に一番クオリティが高いと思うのはFracture Soundsの製品だと思いますが、Jon Meyer MusicのPOST FELTも面白い製品だと思います。典型的なフェルトピアノの音を変える為にフェルトなしのサウンドをレイヤー出来るようにした事で、新しい響きが生まれています。本来フェルトピアノとは「ピアノの弦をフェルトで覆い新たな音色を生み出す」という実験精神から生まれた物であり、ただ単に同じ音を真似して弾くだけでは創造性が失われます。だからこそプラグインを演奏する時はオリジナリティを意識して演奏したいですね。