全然違う!本物を聴くのと聴かないのと
こんにちは!
親子で楽しめるオンラインピアノ教室、講師のまさみです。
今日は、音楽教育の視点から、「本物を聴く」っていうお話をしたいと思います。
ピアノを教えていて、例えばある程度の曲が弾けるようになったら、ただ楽譜通りに鍵盤を抑えるのではなく「綺麗に」弾けるように指導したいと思うものです。
でも、この「音楽表現」を伝えるのがとっても難しい!
例に出して聴いてもらうのですが、、
まず、ただ弾いてみる。
次に、音楽表現をつけて弾いてみる。
そして「どっちが綺麗だった?」と子どもに聞く。
すると、「後の方!」と即決する子もいるし、かなりオーバー目に弾いてみても、違いがわからない子もいます。
その違いってなんだろう?
って思った時、伝えたことを素直に受け止める子と、ちょっと斜に構えちゃっている子がいるな、と思いました。
何を言っても「えー、何それ」と素直に心に響かないのです。
小さい子どもでも、本当にその子によって捉え方や性格が全然違います。
でも、そんな斜に構えちゃってる子にもたくさんお話をしたり、聞いたり、なんとか心をほぐそうと試行錯誤します。
実際、アドバイスや応援の言葉を素直に受け入れられないと、本人の心が苦しいと思うのです。
それに、これからの長い人生、とっても生きづらいと思います。
完全には変えられなくても、ピアノを弾く時だけでも、レッスンに来た時だけでも心を解放して楽しんでもらいたいから。
いろんな話をして心をほぐしていきます。
そんな時に使っているのがApple MusicのCD音源です。
私は有料登録しているので、聴き放題です。
その子の弾いている曲を、いろんなピアニストの演奏で聴いてみます。
そして、どう感じたか、聞いてみます。
「このピアニストはショパンコンクールで1位を取った人。
この人は目が見えないのにとっても素敵に弾く人。他の人より力強く聞こえるね。この人はすっごく若いのに、本当にやわらかく、きれいに弾く人。他の人と全然違うのわかる??先生はこの人の音が大好きなんだ。」
なんて話をしながら感想を聞くと、ちゃんと自分の音楽を持っていて、言葉のチョイスがつたないながらも、自分の思ったことを伝えてくれます。
そして、こんな風にプロの演奏を聴いたあとに弾いてみると、ぜんっっっっっっっぜん演奏が違います。
ぐぐぐと「気持ち」が入り、「伝えたい」想いが溢れてくるのです。
だから、自分の殻からなかなか抜け出せない子には、本物の音楽を聴かせるようにしています。
でも本当は、CDの音源だけじゃなく、コンサートホールで開かれる生の演奏を聴いてもらいたい。
本物のピアニストの立ち振る舞い、姿勢、聴いている人たちの様子、コンサートホールの雰囲気、どれをとっても学びになることばかりです。
私が子どもの頃に住んでいた街は、そんなに大きな街ではなかったのですが、日本フィルや、お笑い芸人のライブ、松田聖子ちゃんのコンサートなど、ちょこちょことコンサートが開かれていました。
ピアノを習っていたので、先生からクラシックコンサートチケットの購入を促されることが多かったこともあり、コンサートには結構行っていたと思います。
だから、オーケストラや吹奏楽にも興味がとってもありました。
クラシックのピアノだけでなく、ドラマ挿入歌や、交響曲をアレンジした曲が入った本を買ってもらい、レッスンの曲よりも熱心に何時間も弾いていたものでした。
「どうやったら本物みたいに素敵に弾けるんだろう??」と、試行錯誤しながら。
当時の私のピアノの先生は、「表現」までは教えてくれなかったのです。
それでも私が「表現」にこだわったのは、本物を知っていたからだと思います。
「ただ楽譜通りに指を動かして弾くだけじゃなく、もっと学べることがたくさんあるはず!」と、それを教えてくれる先生を追い求めたのは、「音楽表現」の存在を知っていたから。
それがなかったら、今「ピアノの先生」にはなっていなかったと思います。
うちの子、「音楽に興味ないみたい」とか、「そこまで本格的じゃなくても」ということではなく、生活の中にじゃんじゃん音楽を取り込んで、興味を膨らませ、刺激を与えることは、そんな目先の結果を求めているのではなく、その子の人生が豊かになるための教養だと私は思います。
だって、コンサートホールに足を運んでいる人は、音楽を本格的にやっている人ばかりではないのです。
ただただ、その音楽に魅了され、憧れ、「聴きたい!」と思って聴きに来ている人たちが大半だと思うのです。
子どもであってもそれは同じ。
音楽に限らずとも、「聴きたい!」「知りたい!」そんな気持ちはあるはすです。
今はまだ、本人も知らないだけかもしれません。
そんな子どもの伸び代を、伸ばしてあげたいですね。
もし、あなたの街が都会で、頻繁にコンサートがあちこちで開かれているのなら、ぜひお子さんと足を運んでみてください。
「0歳から聴けるコンサート」とか、「未就学児無料」とか、探せば子どもも行けるコンサートはいくらでもあります。
きっと、あなた自身も味わったことのない興奮と、わくわくが湧いてくると思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?