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vol.10生徒の未来はレッスン室で作られる【伝説のピアノ指導者の教え】
「伝説のピアノ指導者」と呼ばれた人物が、弟子を呼び出し「あること」を依頼する。それは、表舞台では語ってこなかった「ピアノ指導で大切なこと」を世の中の指導者に伝えること。テーブルに置かれたボイスレコーダーに向かって「伝説のピアノ指導者」は語り続ける。それが自分の最後の仕事とでも言うように。青白く燃える炎のように、静かに、熱量を持って…
…じゃ、今日も始めようか。
ピアノ指導者は、生徒の幸せのために存在する。
これは以前、話したね。
我々は、生徒の幸せのためにピアノを教え、
指導者として生きて行くために利益を必要とする。
最近は、教室を大きくしようとか、
指導者としてたくさん収入を得て成功しようとか、
そういった言葉をよく見るようになったね。
もちろん、利益は必要だ。
だがね、ピアノ指導で得られる利益は、
心と知識を尽くして生徒や保護者に喜んでもらう、その先にしかない。
すべては生徒のためなんだね。
生徒のためにならなければ、どんなに儲かっても、存在意義などない。
指導者の思いは、隠そうとしても隠せない。
滲み出てくるものだからだ。
その指導者は、何を求めてピアノを教えているのか?
それは、周りの人にはすべて見えているんだね。
ピアノ指導とは、掲げた理念、約束を果たして初めて成り立つものだ。
そして、生徒との心の交流の中に、
愛情や厳しさ、感謝や喜びを添えられるのがピアノ指導の本質だ。
花束のような尊さを込められるのがピアノのレッスンなんだよ。
よいピアノ指導者というのはね、
いつも最高のレッスンをしようと誠実に努力している人であり、
利益は、その結果として表れるものなんだよ。
レッスン室に入ったそのときから、未来が作られていく。
それは、生徒たちの未来であり、私たちの未来だ。
日々のレッスンの充実の中にしか、未来はないんだね。
明日、レッスンできなくなるかもしれない。
今日が最後のレッスンになるかもしれない。
そういう覚悟を持って、毎日を精一杯生き切る。
指導者として生きるとは、そういうことなんだね。
(この物語、登場人物は架空のフィクションです)
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