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vol.37 何者かになろうとしなくていい【伝説のピアノ指導者の教え】

「伝説のピアノ指導者」と呼ばれた人物が、弟子を呼び出し「あること」を依頼する。それは、表舞台では語ってこなかった「ピアノ指導で大切なこと」を世の中の指導者に伝えること。テーブルに置かれたボイスレコーダーに向かって「伝説のピアノ指導者」は語り続ける。それが自分の最後の仕事とでも言うように。青白く燃える炎のように、静かに、熱量を持って…

初めての方は【伝説のピアノ指導者の教え】Introductionからお読みください!←



ピアノ指導者こそ、学び続けなければならない。


教え続けるかぎりね。



なぜなら、人は学ばなくなると衰退するからだ。



衰えていく者に教わりたいと思う生徒はいるだろうか?



指導に長けている人間は、すべからく学んでいる。



自分はまだまだよくなる。


教え続ける限り、自分を高めなければならない。



そこにあるのは、学びへの謙虚な姿勢だ。




学ぶことは何でもいいんだよ。

心にピンときたものを追求したらいい。



ピンときたものは、

たいてい、その時の自分に必要なものだからね。




一つだけ、気を付けなければならないことがある。



あなたは何者かになろうとしなくていい、ということだ。



「あんなピアノ指導者になりたい」と、誰かに憧れるのはいい。


だが、自分を変えてでも、その人になるのは違うんだよ。


それではいつか必ず、苦しくなるときがくるんだね。


なぜなら、どうやっても人は「誰か」にはなれないからだ。



違う。


あなたは、何者かになる必要はないんだよ。



あなたは、あなたでいい。


他の誰もがなれない、唯一のピアノ指導者だ。




いつも謙虚に、学ぶ心を忘れず、


ありのままの自分を丁寧に生きること。



そのままの自分を生きることが、

奇跡的で尊いことだと思うよ。




(この物語はフィクションです)




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藤拓弘(とう たくひろ)ピアノ講師ラボ主宰
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