vol.38 あなたの教室だけの音色【伝説のピアノ指導者の教え】
巨匠といわれる演奏家の演奏が、
なぜ何十年と時を経ても、素晴らしいと言われるのか。
それは、聴く者の心に残るものがあるからだね。
ピアノ演奏を超えた、何かがそこにある。
楽譜に書かれたことをただ弾くのは、
言ってみれば、音を並べただけの代物だ。
巨匠と言われる演奏家は、
大作曲家の作品の中に神性を見出し、
そこに演奏家としての思い、知識、経験…
いわば人生すべてを演奏にかけるからこそ、唯一無二なのだ。
弾く者の人生すべてが音になって表れる。
それがピアノという楽器の不思議さだね。
我々ピアノ指導者も、まったく同じだ。
ただピアノを教えるのでは、存在価値はそれまでだ。
いつもこれが最後だと思って、
レッスンに人生や経験、知識、思いのすべてを込める。
おおげさだと思うかい?
だが一度、そういう気持ちで指導にのぞんでみるといい。
顔つきも、使う言葉も、鳴らす音も、すべて変わってくる。
そういう意識で指導にあたるとき、
そこにあなたの教室だけの「音色」が生み出され、
その「音色」に心惹かれる人間が集まってくる。
唯一無二のピアノ教室とは、そういうものなんだね。
(この物語はフィクションです)
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