vol.15若い指導者への提言【伝説のピアノ指導者の教え】
そうだな…今日は若い指導者に向けて話そうか。
まず、これだけは確かなことを一つ。
「若い」ということは、それだけでかけがえのないことだ。
どんな人も等しく年を重ね、老いていく。
どうあがいても、お金を積んだとしても、
若い頃の自分は取り戻せない。
だが、若いときは気づかないんだね。
自分が今、いかにかけがえのない時間を過ごしているのかを。
それは当然のことだし、それが若さとも言える。
だが、うまくいく人というのはね、
若いうちから、意識して生きている。
若いからこそ、一生懸命に生きることを。
若さのメリットはいろいろあるが、
まずひとつは、失敗してもある程度許されることだ。
そして、傷が浅ければ立ち直るのも早い。
ただ若さは、いろんなことが絶対的に足りないということでもある。
知識も経験も、資産や貫禄もない。
ピアノ指導でいえば、10年教えている者より、何もかも足りないんだね。
だが、プライドだけは高く、なぜか自信があるのが若い指導者だ。
小さい子を教えるのなんて、楽勝だ、と言わんばかりに。
でもね、たいてい5年ほど経って、分からなくなる。
何をどう教えたらいいのか、と。
レッスンが立ち行かなくなるんだね。
それはそうだよ。
世の中も、子どもたちも、すべてが常に変化している。
変わらないものなど、ひとつもない。
それなのに、何十年前と同じレッスンをして、うまくいくわけがない。
それほどピアノ指導は簡単じゃないんだよ。
だからこそ指導者は、いつも自分を進化させる必要がある。
さまざまな生徒に対応できる術を、いつも磨いておくんだ。
自分の蓄えなど、すぐ枯渇するからね。
だがね、若さというメリットは、ここで生かされる。
それは、畏れず教えを乞えるところだ。
しかも、ピアノ指導者の業界は素敵なところでね、
頑張っている人にはどんどん知恵を授けてくれる。
ピアノ指導者とは、教えること、
与えることに喜びを感じる人種だからだ。
「教えてください!」と頭を下げる勇気があれば、
どんどん成長できるのが、この業界だ。
だからね、若いうちに外へ外へと出て行った者が勝つ。
小さな集まりでも、なんでもいい。
「この先生は」と思う人に直接会ってもいい。
どんどん教えを乞うんだ。
これができる若者は、どんどん伸びる。
若さというスポンジで、どんどん吸収すればいい。
5年後、10年後、自分が大きく変わっていることに気づくはずだよ。
素直さと謙虚さは、自己成長の第一条件なんだね。
(この物語はフィクションです)
★ピアノ指導に悩んだらページをめくってみてください↓