vol.21 時間がかかるからこそピアノは尊い【伝説のピアノ指導者の教え】
今は、何でもすぐに手に入る時代だね。
欲しい情報も、ネットで検索すればすぐに見つかる。
だがね、「知っていること」と「分かること」には、雲泥の差がある。
たとえば、情報としてピアノの弾き方を知っても、
実際にピアノが弾けるかといえば、そうじゃないね。
ピアノが弾けるようになるためには、鍛錬が必要だ。
誰かに習う必要もあるだろう。
つまり、知ってから分かる(弾ける)まで、
それなりの時間が必要だいうことだ。
何より、時間がかかるからこそ
ピアノを弾くことは尊いのだと知るべきだ。
時間がかかるからこそ、愛情が生まれ、
手間をかけるからこそ、一生ものになる。
あっという間に手にしたものに、
愛情など生まれない。
一生使えるスキルや経験など得られない。
時間をかけて見つめる、手間をかける、頭を使う、動く。
そういう積み重ねが、人生に深みと潤いを与えてくれるのだ。
私たちピアノ指導者が、親たちに語るべきは、
まさにこの部分だと思うよ。
ここを飛ばしては、
私たちの思いは決して通じない。
「本当にピアノが弾けるようになるには10年必要です。
だからこそ、私を信用して10年通わせてください」
あなたにこの一言が言えるかどうか。
時間をかけることの尊さを、
誠心誠意、心を込めて伝えられるかどうか。
この言葉を信用してくれた人に、その子どもに、
ピアノを教えられたら、素敵だと思わんかね?
(この物語はフィクションです)
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