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vol.12ピアノ指導者の存在価値とは【伝説のピアノ指導者の教え】
「伝説のピアノ指導者」と呼ばれた人物が、弟子を呼び出し「あること」を依頼する。それは、表舞台では語ってこなかった「ピアノ指導で大切なこと」を世の中の指導者に伝えること。テーブルに置かれたボイスレコーダーに向かって「伝説のピアノ指導者」は語り続ける。それが自分の最後の仕事とでも言うように。青白く燃える炎のように、静かに、熱量を持って…
…では今日も始めようか。
ピアノのレッスンとは何だろう?
ピアノを上達させること?
それはそうだね。
もっと深いところの話をすれば、
それは、心の触れ合いだ。
人と人との、心の交わりだよ。
それがなくていいのなら、人間が教える必要はない。
そうだろう?
それこそ将来、機械が教える時代が来るかもしれないね。
だが私は、それはないと思う。
なぜなら、我々ピアノ指導者の存在価値は、
「心を持っている」という点にあるからだ。
生徒には、それぞれ事情がある。考え方も違う。
その上で、どんな子も尊重し、人間的に心で交わること。
だがね、子どもだからと、ずけずけと心の奥に踏み込むのはダメだ。
大人は勘違いしている。
子どもだからこそ、繊細な思慮分別が必要なんだよ。
土足で心にあがるようなことは、あってはならない。
それは、心の触れ合いでもなんでもない。
今を生きる子どもたちは、いろんなことを抱えている。
疲弊しているんだよ。
だからこそ、ピアノ指導者は、
あたたかさで彼らを包み込まなければならない。
レッスン室が彼らの落ち着ける、唯一の場所かもしれない。
実際、そう感じている子どもは多いと思うよ。
ピアノのレッスンとは、子どもたちと心を通わせる営みだ。
ピアノを通した人と人との触れ合い、
そうした大切なことを学ぶ場だ。
だがね、馴れ合いの関係とは違うよ。
逆だ。お互いを尊重し合う、
人としての信頼関係の上に成り立つのがレッスンだ。
ピアノ指導者とは、人生の模範となる人間であり、
相談できる最も身近な大人であり、
信頼できる友であるべきだ。
我々が、誠実であり続けなければならないというのは、
そういうことなんだね。
(この物語はフィクションです)
★ピアノ指導に悩んだらページをめくってみてください↓
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