CD制作 その1「ピアノを求めて新潟へ」
次回、3作目になるCDはドビュッシーを、そして、使用するピアノはファーストアルバムの時と同じく、ベヒシュタインでと考えています。なぜかというと、やっぱり私はベヒシュタインの音色が好きですし、ドビュッシー自身が「ピアノ音楽はベヒシュタインのためだけに書かれるべきだ」という言葉を残しているからです。
けれども、ベヒシュタインを置いているホールは、残念ながら限られているのですね。ファーストアルバムの時の東大和市民会館のピアノはセミコンサートサイズなので、次はフルコンサートのピアノを・・、と思ってレーベル会社の方にご相談をすると、新潟の小出郷(こいでごう)文化会館に絶品のベヒシュタインがある、とのこと。これは40年ほど前のピアノで、昔の総アグラフ式のもの、現代のベヒシュタインとは構造が違っているそうです。私は現代のピアノでも十分素敵な音だと思っていますが、昔のベヒシュタインを知る人達からは、昔はよかった!という声を聞きますので、興味を持っていました。
新潟かぁ・・・、遠いなあと思って、ベヒシュタイン・ジャパンの方に聞いてみると、「絶品」と感じるかどうかは好みによる、現代のピアノも進化してきたものなので、どちらにも良さがあると思う、とのこと。そう聞くと、やはり自分で確かめたくなって、弾きに行こうかしら・・・という気に。あの辺は雪が深くなるので、行くなら早いうちがいいですよ、とのアドヴァイスで、12月も後半になる前がいいかなと思いました。
翌朝早速、小出郷文化会館に電話をして事情を説明し、「絶品のピアノがあるとお聞きしたのですが、ちょっと弾かせてもらえませんか?」と尋ねると、「いやあ、絶品かどうかは・・・」と少しためらわれる男性。「ちょっとってどのくらいですか?」と聞かれるので、「何分ぐらいなら弾いても大丈夫ですか?」と聞いてみると、「う~ん、それなら例えば平日の午前中1枠分ホールを予約していただいて、ゆったり弾いてみられるのはいかがでしょう?」とのご提案。確かに、せっかく新潟まで行くのだからと、思い切って予約することに。「3時間も弾いたら愛着が湧いてしまうでしょうね」と言ったら、「いやあ、分かりませんよ、その逆かも」なんて仰るので、思わず笑ってしまいました。「近くに観るところなどありますか?」と尋ねると、「ありません」との即答で、また大笑い。「では来週、ピアノに会いに伺います!」と明るくお答えして、電話を切りました。
いろいろな人がいろいろなことを言うピアノ・・・、いったいどんな音がするのかしら。想像が膨らみます。次回はいよいよ、そのピアノを弾いた感触について書きますね♪
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