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夜を越えて、光。

ここ数日、夜になると、私の大切な人たちが、1人、また1人と、居なくなっていく未来を想像してしまう。今は手の届く範囲にいる家族も、未来また会う約束をしている友達も、みんな、私の側から消えていってしまう、そんな妄想。その情景が、鮮明に脳裏に浮かんでしまって、気づいたら泣いている。
寝る前に読んでいる本の内容が悲しいから、とか、ホルモンバランスがちょっと乱れているから、とか、みんなと同じスピードで生きていけないから、とか。理由を考えたらいくらでもあって、原因はたぶん、その全部なんだろう。

大切な人で埋まっている心の穴が、その人無しでは空いたままになってしまう。徐々に心の穴が増えていって、穴だらけになった私はもう全部どうでも良くなって、私じゃなくなっていく。穴を埋めるためのあたたかさを求めて彷徨い歩く私は、ただの化け物だった。

居なくならないでほしい。
当たり前みたいに、笑って側にいてほしい。何度も諦めずに話しかけてほしい。ここにいるって、分かるように、声を聞かせてほしい。

小さい頃ハグしてくれたお母さんも、もう私をハグしてくれなくなった。高校生の時、急に寂しくなった私が「ハグしたい」と手を広げたときも、母は「いいよ」と言いながら、両手を胸の前にぎゅっと縮めてハグを待つだけだった。
それならもうハグなんてしたくなかった。私は「ここにいていいんだ」って思いたくて、ここから離れていけないように、体をぎゅーっと、抱き寄せてほしかったのに。
片想いのハグは、1人より寂しい。

今すぐ、家族に、友達に、「ありがとう」ってハグしに行きたい衝動に駆られる。でももう時計の針は午前2時を回っていて、その事実に冷静になる。明日。また今度会った時。ちゃんと伝えようと誓う。
のに、今日もお母さんの目をまともに見れなかった。2人でいるときの会話の始まりは、8割お母さんで、「おはよう」もお母さんから、だった。今日も上手く言葉を話せないまま、「ありがとう」すら言えなかった。




誰かに必要とされる人間になりたい。

そうすれば、「ここにいていい」と思えるし、「独りじゃない」と信じられる。

大切な人がいなくなる悲しみを埋めるために、私が誰かの大切な人になりたい。


これはきっと、私のエゴで、願望で、夢だ。


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