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「正しさ」に傷つくこと
「正しさ」は、強い。
最近、就活の一環として改めて自己分析をしてるんだけど、自己分析用に買った本が、どうしても強い。自己啓発的な言葉が500頁以上にわたって並び、論理立てて(正しさを見せながら)就活の心構えを説いている。
現在263頁。もうすぐ半分、なんだけど、心が疲れてしまった。
心が疲れてしまった、その原因は私自身にももちろんあると思うんだけど、言葉の「正しさ」にもあると思う。
「自分を信じて努力すれば報われる」
「できる人になればいい」
「人を信じる力を持つ」
「超プラス思考」
「行動すべし」
確かにその通りだし、これらが大事だってことは分かる。
なんだけど、あまりに正しすぎて、傷ついてしまう私がいる。
正しいから何も言い返せないし、言い返したら私が間違いだってことを証明してしまう。だから結局何も言えなくて…でも変わらずこのモヤモヤは消えてくれないから苦しくて。圧倒的な「正しさ」の前に跪いて悶えている。
そうしていつの間にか心が疲れてしまっている。
少し話変わって、最近読んでいる、辻村深月さんの『闇祓』という本の中にも、これに似た「正しさ」が描かれている。
学校で会社で団地で。自分の闇・自分の正しさを人に押しつけ、心を乱して傷付ける。そのことをこの小説では「闇ハラスメント」と呼んでいる。
小説の冒頭4頁には、「闇ハラスメント」について、こう書かれている。
【闇ハラスメント】
精神・心が闇の状態にあることから生ずる、自分の事情や思いなどを一方的に相手に押しつけ、不快にさせる言動・行為。
心に闇を抱えた人物が、周りの人たちに自分の中の「闇」「正しさ」を押しつけていく(闇ハラ)。闇ハラを受けた人は、「正しさ」の前に何も言い返すことができず、傷つき葛藤する。その内、精神が壊れ、挙句の果てには…。
(これ以上はネタバレになりそうだから、気になる人は読んでみてね)
やはり、「正しさ」は強い。「正しさ」の前には何も言い返せない。もし言い返してしまったら、自分が悪者になってしまうかもしれない。かといって、一人で抱え込んでしまうと、それはそれで自分の心が壊れてしまうし、他の人に愚痴として吐き出してしまうと、それこそ闇ハラスメントになってしまう恐れがある。
「正しさ」は武器じゃない。
相手を傷つける矛でも、自分を守る盾でもない。
(じゃあ何なんだという話ではあるが…)
上手く使わないと、人を傷つける。
それも、人の「心」を傷付ける。
特に、精神・心が闇の状態(私的に「闇の状態≒余裕がなく独りよがりでネガティブ思考強めの状態」)にあると、「正しさ」を上手く使えなくなるばかりか、「正しさ」を上手く受け取ることもできなくなりそうだ。
私自身も、もう少し心が晴れたら、自己啓発的な正しい言葉も、上手く受け取れるようになるのかもしれない。
「正しさ」に、むやみに傷つかないように、心に余裕がない時には「正しさ」と距離を置いてみるのも良い。
近いと強くて圧倒される言葉も、遠くから見たらただの一言葉に過ぎなかったりする。どっかの誰かにとっての「正しさ」として割り切ることができたら、もう少し楽になるのかもしれない。
人間関係も、言葉も、距離感大事。