見出し画像

レトロネーザル VS オルソネーザル

嗅覚には、「レトロネーザル嗅覚」と「オルソネーザル嗅覚」という二つの主要な経路があるそうです。

オルソネーザル嗅覚は、鼻から直接香りを嗅ぐ経路で、この経路では、香り分子が鼻腔を通り、嗅覚受容体に到達します。
日常的に「匂いを嗅ぐ」と言う場合、このオルソネーザル経路が主に関与しています。匂い分子は鼻腔を通り、嗅粘膜上の嗅覚受容体に結合して電気信号に変換され、脳で認識されます。

一方、レトロネーザル嗅覚は、「戻り香」や「あと香」とも呼ばれ、人間特有の嗅覚経路です。食物を口に含んだ際に、口腔内から鼻へと香りが戻る経路で、食物が口の中で温まることで、香り分子が気化し、喉を通って鼻腔に到達します。味覚と嗅覚が脳で統合されることで「美味しさ」を感じるため、嗅覚は味の約8割を決定し、特にワインなどの飲料では、飲んだ後に感じる香りがレトロネーザル経路によって強調され、味わいが豊かになります。

犬の嗅覚は人間の数万倍から10万倍も敏感で、災害救助や爆発物探知などで活用されいて、オルソネーザル嗅覚において非常に優れています。
犬の嗅覚は非常に発達していますが、レトロネーザル嗅覚については人間ほど発達していません。

レトロネーザル嗅覚が人間に特有とされる理由は、以下の進化的・解剖学的要因のようです。
人体は、肺への気道と胃への食道が喉で交差していて、食物の香りが喉から鼻腔後方に抜ける経路が形成されていますが、他の動物にはこの構造がありません。また、二足歩行により鼻の構造が短くなったことで、風味を認識しやすくなり、脳の高度な統合能力により、嗅覚を味覚や記憶と統合し、食物の複雑な風味を詳細に分析する能力を進化させました。

我が家の愛犬は、息子がステーキを焼き始めると、寝ていてもすっ飛んで来るぐらい、やはり嗅覚が鋭敏ですが、レトロネーザル嗅覚で肉を味わって食べている訳では無さそうですね…。
犬のおやつやサプリメントに、強いフレーバーが付けられているのに妙に納得してしまいました。
そんな愛犬の大好物は、「海苔」!

磯の風味の分かるワンコです(笑)。


いいなと思ったら応援しよう!