【短歌十首】秋の蝶
気怠げな真夏の蝉の絶唱は土に帰りて秋の夜になる
透明な深い青空澄み渡るこの一刻の君の心は
玲瓏な秋の全てがここにあるロワール地方に勝るこの街
おざなりに貴女は僕を甘やかす肉の汚辱を清める浴槽
人々はいつもそれらに手を伸ばすガラスでできた偽の宝石
雨がもし宝石ならば綺麗だが道に溜まるし当たると痛い
君の眼は神秘湛える星だつた吾が魂をな嫌ひ給ひそ
エジプトの古代四千年前の詩人何を心思はむや
虫の音の大劇場の楽団は秋の星座と月祝福す
散る桜染まる紅葉の潔さ命燃やさむ燃え尽くるまで