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植松努著『不安な時代に踏み出すための「だったらこうしてみたら?」 』

コロナ禍が続くなか、先行きが見えず、将来に不安をもつ方も多いと思います。5月22日発売の新刊、植松努著『不安な時代に踏み出すための「だったらこうしてみたら?」 』は、そんな大人や子供たちに向けた一冊です。
さまざまな苦難を乗り越え、宇宙開発に邁進する植松さんの言葉は力強く、そしてやさしく、勇気と元気が湧いてくる内容です。その思いは、とくに本書の「はじめに」と「おわりに」に込められています。
そこで、「この部分だけでも、ぜひ多くの方に読んでいただきたい」と思い、ご本人に相談したところ、note への掲出をご快諾いただけました。
今回、本書の「はじめに」と「おわりに」を2回に分けて全文公開いたしますので、ぜひご一読ください。【普及局コバヤシ】

はじめに

世界には、すてきな言葉があふれている

 僕は小さい頃から本が大好きです。
 本の何が好きかというと、僕は言葉が好きなんです。
 この世界には、すてきな言葉があふれています。
 心がじわりと熱くなる言葉。心がぽんとはずむ言葉。心に力を与えてくれる言葉。
 実在の人、空想の人、いろんな人たちが使う言葉と、彼らの生きざまが、僕の人生を形成してくれています。そして、言葉は実は、自分の考える力にも影響を与えています。
 なぜなら、人間はものを考えるとき、心のなかで自分自身と会話するからです。
 その会話には、「言葉」を使うのです。
 たとえば、面白くないことがあったときに、「うぜえ」「むかつく」と表現することができます。でもそれでは、あまりにも単純すぎて、自分がなぜ面白くなかったのか、何が嫌だったのか、ということを深く考えることができなくなります。
 だから、より多くの、心を表現する言葉があったほうがいいです。
 けれど、人間は自分で言葉をつくりだすことが難しいです。
 基本的に、言葉はコピーしてくるものです。
 そのコピーした言葉の種類が多ければ多いほど、より深くこまやかな思考ができるのだと、僕は思っています。だから僕は、様々な分野の本を読んでいるのだと思います。
 僕は、本や言葉に感謝しています。
 僕はいま、北海道で会社を経営しています。
 植松電機という会社です。
 僕の会社では、リサイクルという仕事に使われるマグネットという機械を作っています。
 その他に、宇宙開発もしています。

僕はどんな夢と言葉を発信しているのか

 僕には夢があります。僕の夢は、「人の自信や可能性が奪われない社会」をつくることです。
 僕は、この世から、いじめや児童虐待を無くしたいと思っています。
 そして、そのためには、人の自信や可能性を奪う言葉である「どうせ無理」を無くしたい、と思っています。
 でも「どうせ無理」を使う人をやっつければいい、というものではないことも知っています。
 僕は、「どうせ無理」に負けない人を増やしたいと思っています。だから僕は、「どうせ無理」に負けないための方法を、たくさんの人に知ってほしいと思っています。
 そうしていたら、僕の言葉は学校の教科書になりました。
 いまでは、年間に1万人以上の人たちが、見学旅行や修学旅行で僕の会社に来てくれるようになりました。そして、僕をよんでくれる学校も増えて、年間に約6万人〜7万人の人に話を聞いてもらえるようになりました。

夢の前に壁があらわれたときのために

 ただ、僕は気がついています。
 僕の話を聞いてくれたり、僕の本を読んでくれた「子どもたち」の書いてくれる感想文は、「夢をあきらめません」という言葉にあふれています。
 ところが、大学生や社会人の感想文には、「とは言うけど」「あなたは特別なんです」という言葉が増えてきます。
 もっと年齢が上がると、「きれいごとを言うな」という言葉になります。なんでこうなるのかな? 大人はよく、「現実を見ろ」「世の中はそんなに甘くない」と言います。
 僕はその言葉を聞くと、「そりゃそうだよ」と思います。そんなの、「夏は暑いんだよ!」「冬は寒いんだよ!」レベルの当たり前の話です。
 偉そうに上から目線で言う必要のない話です。
 世の中は甘くないです。現実は厳しいです。
「だからあきらめよう」ではないですね。現実の厳しさを知ったうえで、 足を前に踏み出すことで、僕らは前進していけるのです。もちろん、進んだ道が間違っていることもあります。
 でも、「もうだめだ」じゃないですね。わかるところまで引き返して、別な道を行けばいいだけです。
 人生は思うようにならないです。
 だからこそ、「どうせ無理だよ」ではなくて、壁にぶつかるたびに「だったらこうしてみたら?」を考えればいいのです。
 そうすれば、「どうせ無理」に負けない人になれます。
 でも、そうは言っても、やったことがないから、やり方がわからない。
と思う人もいるようです。
 だから僕は考えました。「だったらこうしてみたら?」と。その結果生まれたのがこの本です。
 この本には、僕がもらったたくさんの質問と、僕が考えた「だったらこうしてみたら?」をまとめてみました。
 この本を読むと、僕がどうやって問題を解決しようとしているかという、僕の考え方を知ることができます。
 それはもしかしたら、君の問題の考え方の参考になるかもしれません。僕はこの本で、元気が出るような言葉や、はげます言葉で君を安心させるのではなく、君が問題を乗り越えて、自分の力で前に進んでいくための「考え方」を伝えたいです。
 この本が、君の役に立ったら、とても嬉しいです。

 2021年 春 植松 努

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追記:発刊記念でオンラインイベントを紀伊國屋書店で開催いたします。詳細は下記ご覧ください。