見出し画像

BARNACKS ERSTE LEICAを読んでみて

試作段階の一端を知れる

本書 BARNACKS ERSTE LEICA を読み終えました。これは試作段階でのライカを知りたい方にとっては興味深い本であること間違いありません。本書の見どころの一つは、表紙を飾る試作機(本書では"Barnacks Handmuster"と称しています)のオーバーホールの章です。オーバーホールを行った職人さんのインタビューが収録されており、シャッター機構について分解中の写真を添えて図解されています。Barnacks Handmusterのシャッター機構はライカ0型とも異なっており、Barnacks Handmuster→ライカ0型→ライカI型と改良に改良を重ねていったことが分かります。

オリジナルLeitz Anastigmatの描写を味わえる

続く章では、整備されたBarnacks Handmusterを使って筆者Hans-Günter Kisselbach氏が撮影した豊富なカラー写真と白黒写真が約60ページにわたって掲載されています。この試作機にはオリジナルのLeitz Anastigmatが搭載されていますので、本書は約60ページ分ものLeitz Anastigmatの作例集でもあるわけです。このレンズを自分で所有できる人は限られるところ、その描写が1万円前後の本代で知れるというのは有難い話です。ちなみに、レンズの描写は現在でも通用するもので、撮影したKisselbach氏もそのシャープさと発色の良さに驚いています。

他の資料も興味深い

本書の主たる内容は、試作機Barnacks Handmusterに関するものですが、それ以外にも豊富な資料が収録されています。例えば、筆者の父Theo Kisselbach氏が行った講演内容もその一つです。この講演はバルナック生誕100年の展覧会にて行われたもので、バルナックの生涯とライカの開発を、ウル・ライカで撮影した写真やライカDIIについてのバルナックのメモ書きと共に振り返っています。

本書は2008年出版のやや古い本ですが、本ブログ執筆時点では紀伊國屋書店とAmazonで取り扱いがあります。なお、本書は邦訳版が出版されていませんので、購入を検討する際にはご留意ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?