ゴールデンロック、目を醒ますともう外は騒がしかった 旅する写真家のミャンマー旅日記
旅する写真家のミャンマー旅日記
目次
・伝わる緊張 (空港からアウンミンガラーバスターミナルへ)
・ありえない勘違い (ヤンゴンからキンプンに向けて出発)
《当記事》・ゴールデンロック、目を醒ますともう外は騒がしかった
このあとも更新予定です!お楽しみに!!
目が醒めるともう外は騒がしかった
朝4時過ぎには僕の目は覚めていた。この泊まったホテルは、ゴールデンロックへいくトラック乗り場のすぐ真後ろにあった。なんだか騒がしい。外に出てみると、トラック乗り場には多くの人が集まり、もう既にトラックに乗り込んでいる。事前の情報でもそうだったが、トラックが動き出すのは宿の人も6時くらいからだと言っていた。だけれど実際はもう少し早く、アバウトな感じでバスは動き出すのかもしれない。眠かったが、僕は行くぞっと気持ちにスイッチを入れ、慌ててシャワーを浴びる。でもホットシャワーの部屋のはずなのに、水しか出ない!!ミャンマーの朝晩は冷え込む。それゆえに冷たすぎる。それでも朝早すぎるので、宿の従業員にホットシャワーが出ない、というわけにもいかず、簡単に冷たい水でからだを流して切り上げた。
暗闇の中のドライブ
トラック乗り場は、宿のすぐ裏というこもあって、起きてからこの乗り場に来るまでさすがに早かった。僕も、トラックの一つに乗り込む。一番後ろの端っこだった。もうほとんどいっぱいだったので、端の席を確保できた幸運に安心しながらも、出発を待った。でも、まだ数人、空いている間に無理やり詰め込まれるように座る。僕は端の席を譲らざるを得ず、ちょっと落胆する。席というよりもただの木の板だった。満席になってもしばらく動かなかったが、ようやく動いた。すぐにトラックの照明以外の明かりはなくなり世界は真っ暗になった。どこを走っているのかもわからないl。それでいて、急坂を思いっきり登り、いろは坂のようなところを勢いのあるハンドルさばきでこなしていく。運転はいわずもがな激しいので、その椅子とも言えぬ、木の板とも言えぬ、そこからお尻は滑る。わずかな光の中、横列の人たちとなんどぎゅうぎゅうのサンドウィッチになったことか。なんど前の人のお尻を膝で押してしまったことか。
ゴールデンロックは山の上にある。標高は、1100ほど。トラックでそこまで駆け上がるが半分以上上に上がって来ると、少しづつ朝の光が差しそうとしているのがわかる。さらにもう少し上まで行くと、視界が広がった。山々と朝焼けの景色を目の前にする。周りに遮るものもなく、山々も見る限り続いている。淡々とした表現ではあるけれど、ミャンマーに来て、こんな景色が観れるとは思わなかった。心動かされる景色であった。昨日来るつもりだった場所。昨日はありえない勘違いをして、いろんな人を巻き込み、キンモンで一泊することになった。そして翌朝に出発することになったけれど、まさしく怪我の功名。
トラックを降りると、もうそこは別世界だった。朝焼けが時間とともに進む。物語が進むように。オレンジ色の光が世界を照らす。荷物持ちの人たちが、カゴを持ち、お客さんを捕まえることで収入を得て、生業にしているのだろうけれど、まだ朝早いからかほとんどのその仕事の人たちは、呼び込みもせずただそこに座り、ゆっくりと静かに佇む。
朝から本当に凄い人だった、初めてこの落ちそうで落ちない岩のことを知ったのは、椎名誠さんのミャンマーの本だったかもしれない。その本を読んでいたときには、ミャンマーが大好きになるとはあまり思っていなかった。僕はゆっくりと山を登るように緩やかな傾斜を登り、ゴールデンロックを目指した。
美しい。ただ、特に大きな感動はなかった。それでも心は穏やかでとても落ち着く。僕はその岩にお祈りを捧げる人たちに囲まれていた。
ちょっとした冒険
主だった道から未知なる道へと外れてみる。気になる路地があったからだ。少しの迷いはあったが、僕はそこに迷い込むことにした。するとそこには輝かしい出会いがいくつもあった。話しかければよく笑い、楽しげに話をしてくれる。そんな人がたくさんいる場所。観光地と言われるところを旅をしても、そうやってあえて外れてみると新たな出会い、発見、輝きを見つけることができる。僕はそこで出会った多くの人たちと言葉や心を交わしあい、夢中でシャッターを切った。
少し歩くと、トラックで登ってきた道に出た。僕はその道を登り返し、トラック乗り場へと向かう。外れてみるちょっとした冒険。カメラを持てば、きっとどんな場所でも冒険になるのかもしれない。
ヤンゴンへ
キンモンのバス乗り場。バスターミナルと言えるほどの規模はなく、幾つかのバス会社の前に大型バスが止まる。バスの大きさを考えるとじゅぶんな広さがあるとは思えなかったけれど、こじんまりとしていてわかりやすい。大型の観光バスにはドラえもんやワンピースろいった日本のキャラクターが描かれているものもあった。ドラえもんのバスに乗りたかったが、あと5分で出発するという。僕は宿に一度帰り、朝は水しか出なかったシャワーを浴び(スタッフに言って、お湯を出してもらおう)、チェックアウトをしなければならない。ヤンゴンまでのバスは一時間に一本だというので、また来るからとチケット売りのお兄さんに言ってその場を離れる。
気づけば朝から何も食べていなかった。バス乗り場の目の前に賑わっているお店があった。時間はもうほとんどお昼だ。僕は我慢できずにお店の中に駆け込んでいた。何屋さんかもわからなかったのでとりあえずあたりを見回した。近くの男女が食べていた、その赤い麺らしきものを指差し、これください。と伝える。わかった、という感じで、女性は一度厨房の方に消えた。
ナポリタンとかそういうのに見えなくもないが味はさっぱりしていた。もやし?とも思ったけれど、わからない。ニンニクと唐辛子が、そのまま僕の眼の前に出され、料理を出してくれた女性は、皮をむいて入れて食べるんだ。そう言って、やって見せてくれた。その優しさもよりおいしく感じる一因だったとは思うけれどただただおいしい。昨日の食事は大きく外したこともあって、感動的とも言っても言い過ぎではないほどに美味しく感じる。旅でおいしい、とおもえるものを食べるということは、本当に大事。食べ終わって会計をすると、僕は自然にお店の彼女たちにカメラを向けていた。そのうちの一番若いだろう女の子がキャピキャピしていて可愛い。可愛く写りたいんだけど、恥ずかしくてしょうがないから、周りを巻き込もうとする。他の女性を撮ってもらいなと僕の方に押し出しては、写真を撮らせる。少ししてようやく他の女性にとってもらいたいんでしょ、と自分も照れくささがすてきれずっていう表情でカメラの前に押し出された。
満腹の僕は、バスの時間までゆっくりと街を歩いた。
そしてヤンゴンに発ったのだった。