たかい場所にのぼりたい 〜ヤンゴンのルーフトップバー『YangonYangon』
大概は成り行きに任せるような旅が多い僕だけれど、いくつかのこだわり、というか、できるだけ高いところに登るようにはしている。それも、できたらその町で一番高いところに登ること。僕がこれから旅をする、またはしてきた町を俯瞰してみることができるのはとても感慨深い。このあいだのミャンマーも、ヤンゴンではサクラタワーにあるルーフトップバー『yanngon yangon』に行った。
サイカーに乗り、ゆっくり散歩しながら行き着いたそこは、もう夕暮れを静かにすぎた暗がりの中だった。ミャンマーの夜は、例えば最大の都市ヤンゴンであったとしてもくらい。それでも、シュエダゴンパゴダは、煌々と輝き、仏教国であるミャンマーの人の心の中に灯る大切なあかりとして、存在感を示しているように見える。
僕は、飲み慣れないピナコラーダを飲みながら、ミャンマーを想う。そうそう、こんなことがあった。スーレーパゴダはヤンゴンの中心にある。その近くを、朝早く僕はカメラを持ち歩いていた。仕事に向かうのか、若い女性が、僕を抜かし、スタスタと足早に僕の前を歩く。そして、あるところで角を曲がった。すると彼女は一度立ち止まり、手を合わせ、お辞儀をする姿を目にする。そしてまた何もなかったかのようにスタスタと歩き出した。その視線の先には、スーレーパゴダが在った。
僕は仏教徒でも、どんな宗教を信じているわけでもない。でも、何かを信じるという、その姿に、強く心惹かれるのであった。