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デジタルカメラの色彩コントロール-3
春にふさわしいトーンを求めて
長らくデジタルカメラと付き合ってきて、鮮やかで強烈な色彩の色設定は様々にあるのですが、私には春のイメージと合いません。日差しがどことなく柔らかく、日に日に鮮やかさを増してくる春の風景は、特別な存在と感じています。今回紹介する「春うらら」は、カメラに登録しても良し、現像時に選択しても良し、汎用性は高いと思います。
EOSの鮮やかモードを代表するピクチャースタイル(以下PS)「風景」と比較して紹介します。
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空の色相が大きく違うのですが、花の赤は大きく異なりません
白飛びが少ない分だけ、柔らかな印象になります
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風景では黄色が山吹色になって色飽和が目立つのですが、春うららでは現物の色相を維持しているので、現実感が失われていません
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青の色相が異なる以外に、ハイライト域の階調が緩やかで、トーン全体がフラットです。
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最も違いがわかる作例は、鮮やかで明るい色彩がキーになる被写体で、特にツツジは顕著です。風景では何故か色が抜けてしまいます。
4つの作例を並べましたが、空の色合いのせいなのか「風景」ではどうしても夏をイメージしてしまいます。この点が最も問題視していた点で、「春うらら」では「眩しくない日差しに照らされた、柔らかで鮮やかな色彩」を目指しています。
PSEでの全ての設定を紹介します。
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ベースのPSは「スタンダード」、基本設定で「色の濃さ」は+1になるようにしています。もし彩度を抑えたい場合は、カメラの設定で色の濃さを0にすれば落ち着きます。
大ざっぱなバランスを決める「六軸色」ではブルー付近だけ調整しています。
色相(H)を-5(ブルーがシアンに近くなる)、彩度(S)+10、明度(L)-10としています。
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全体のトーンとして明部を少し落として、暗部を少し明るくしています。シャドウとハイライトのエンドは変更していません。
六軸色では補正しきれなかった、ハイライト域のブルーを少し鮮やかに、他4色は低彩度部に限ったり、暗部や明部に限定して調整しています。
デジタルが可能にした、抜けの良い(良すぎる)スッキリ(あっさり)と鮮やかな色彩(期待色により過ぎ)が「風景」だとしたら、何処かポジフィルム風でしかもエクタクロームのくすみを感じる、濃厚だが控えめな色彩が「春うらら」の持ち味のように思います。
再編集は出来ませんが、今回紹介したPSFは以下のリンクからダウンロード出来ます。ご自由にお使いください。
質問やリクエストなどありましたら気楽に声をかけてください