西ドイツ製 Icarex 35S と Tessar 50mm
カメラボディ、レンズともに1970年代の西ドイツ製で、おそらくボディの方が製造年は古い。先にM42マウントのTessar 50mm F2.8の方を入手した。東ドイツJena製に比べると西ドイツOberkochen製のTessarはあまり出回らない。
カメラボディのIcarex 35SにはイカレックスマウントとM42マウントの2種類があって、M42の方は前面に「TM」マークが入っている。銘板は年代によって違いがあるようだが、このカメラの銘はZeiss Ikon Voigtlanderとなっている。実質的にはツァイスに吸収されたフォクトレンダー製だと言われる。このギンギラギンのメッキは確かに戦後のフォクトレンダーの特徴である。
ドイツ製カメラは動作未確認でもあまり安くはないが、届いてみるとやはりシャッターが不調で後幕が途中で止まる状態だった。底蓋を開けるて調べると後幕のテンションギアが完全に緩んでいた。先幕後幕ともに幕速調整して、高速側はだいたい正常になった。しかし低速側は依然としてガバナーが動かない状態である。上蓋を開けてファインダーを清掃し、低速ガバナーに注油したら一度は動いたものの、一晩置いたらまた停止。上蓋後面の調整穴から追加注油して、調整ネジでスロー系のシャッター速度をNikon F2と比べながら合わせた。とりあえずシャッターは動くようになったので、今度は電池を入れてみると、通電はするものの正常に測光はできず露出計は諦めた。
試写をしたところ、目分量で合わせた高速側シャッターも実用には耐えるようで一安心。
太陽が入る逆光で光の滲みはあるが、大きなフレアーは出ず持ち堪えている。T*ではないものの多層膜コーティングのようだ。
最高速の1/1000秒でも開放では露出オーバーなのでF4ぐらいに絞った。玉ボケが絞りの形の五角形になっている。アウトフォーカス部分の写りは案外柔らかい。
冬の夕の斜光が地上の枯葉に射す。古典的テッサーらしいコントラスト。
池のカルガモ。ピントが甘いが水面の模様が面白いので採用。
街路樹に子どもの絵が飾ってあった。
内蔵露出計が使えないので露出はiPhoneで測定した。スポット測光ができるアプリもあってなかなか便利である。
同じレンズのデジタルでの作例はこちら。