Nikkor 20mm F4
一眼レフ用の20mmレンズで古い物では大柄な Nikkor-UD Auto 20mm F3.5 を割と中古市場で見かける。20mm F4 はその後継ではあるけれど、新設計で随分小さくまとまっている。製造番号から1977年頃の製造と推定するが、Ai化されるのは13万番台からなので、このレンズはメーカーのサービスでAi改造されたようだ。
所詮道楽で嵌っている沼だから、なるべくジャンク品価格のレンズを入手し分解整備して使っているが、20mmともなると本数が少なく、そういう品物は見つからなかった。50年近く昔のレンズが概ね健全な状態で出てくる事は有り難く、分解整備をしなくて済むのは楽である。ヤシカコンタックスやコシナフォクトレンダーの21mmも探してはみたがニコンの方が価格的には入手しやすい。後にニコンのフィルムカメラを買い足したから、結果的にはこれで良かった。
超広角では前に14mmで樹木を撮った例を載せた。
20mmでも樹木や空のある風景を撮ることが多いが、建物内で使うのも面白いだろうと思う。機会が来れば天体撮影にも使う予定である。対角線画角は94°で24mmより10°広い。この違いは思ったより大きく、肉眼で見た感じ方とは相当に異なるし、つい余計な物が写野に入り込むので、それなりに慣れが必要である。
大きな建造物が簡単に入る広画角が有難い。記憶では絞りF8ぐらい。
空は広々と写っているものの、平面の中では到底表し切れないと、いつも思う。雲の形は二度同じになる事はなく、繰り返し撮ってしまう。
時折小雨が落ちる初秋の日、画面に幾ばくかの湿り気を感じるように思うが。このアングルだとF5.6ではパンフォーカスにはならない。
歪みが少なく、すっきりとした写り方をする。幹や葉の質感の再現性も良いようだ。
桜の苗を公園内で育成していて、いずれ他の場所に貰われて行くらしい。
フィルムでの作例。地表の物体が入ると超広角的なパースペクティブが現れてくる。オレンジフィルターをかけてコントラストを強調した。
少しアングルを変えて。1枚目はフィルム面の諧調が潰れないように α7 で複写したものだが、こちらは Kenko の普及品フィルムスキャナーで取り込んだ画像。ネガポジ反転も自動でやってくれるのは楽で良い。諧調の再現性は既に旧式化している初代 α7 のセンサーに遠く及ばない。
引き伸ばし機なども捨てないで置いてはあるから、いつか銀塩印画紙へのプリントも再開してみたいが、時間がないので今のところは控えている。
縦位置だと天頂付近まで写角に入る。
大木は寄ると全部は入らないが、引いて全体を写すと案外つまらない。逆光では少しフレアが出る。太陽を枝にどれくらい隠すかでフレアの取り入れ方を調整する。
F8まで絞っても周辺の像は流れる。中間調からハイライトにかけて、フィルムはデジタルと諧調の出方が違うように感じるが、単なる願望かも知れない。同条件でレンズをそのままに、ボディだけデジタルに交換して撮影すれば分かる事が色々ありそうだが、まだ実践していない。
陽光に透ける葉が好きで、自然と逆光の画像が多くなる。