レジュメレジュメ???②
時間がないので書きながら公開しながら書くぞ。どうも、神山です。
今日は月末読書会@Zoomでユリイカ女オタク!
感想記事をやってくぞおらおらおら
6.推しと二次創作をめぐる断想/隠岐さや香 ★
・二次創作やめちゃったひとの話のところで〈風の噂では家族にバレそうになったから引退したとのことだが、真相はわからない〉〈情熱を捧げて数百ページを描いた人が、その作品ごと作家としての自分を消す選択をしたという事実が私には衝撃であり続けている。そのような行動を当たり前のように取らせる圧力が、この日本社会に存在すること自体が恐ろしい〉とあった。僕自身は特に家族や他人に隠し立てしない(かといって、別に好きなコンテンツの話を家族とするわけでもないし、エロコンテンツの仔細とか、そういった趣味までオープンにしているわけではない)で生きているので、あんまり実感が沸かないのですが、確かに男女問わずオタクであることを隠し通そうとするひとたちはいて、彼らにとっては自分の好きなものってどういう立ち位置なんだろうって疑問に思ったりします。女性に顕著、という話では旧来の固定観念が効いてるんだろうし、それぞれの家族観によっても全然違うとは思いますが・・・。
10.〈消費者フェミニズム〉批判序説/水上文 ★
・注意書き文化についての言及から始まっており、個人的には序文からスリリングで面白いと思った文章。個人的な”女オタク”定義(この話はあとでも書きますが)は「注意書きや検索避け、相互監視による趣味世界の自治をするヒトたち」くらいのもので、そこに対して批判的に、フェミニズムにも言及しながら、オタクであり消費者であり自己であるとは何かについて切り込んでいく文章、今回の特集でなければ出なかったのでは感までありめちゃくちゃよかった。全然読み込めてないのでフレーズ拾っただけの感想で申し訳ない。もっとちゃんと読みます。
14.あなたもまた消費される身体になる / 木上芙実子 ★
・「〈消費者フェミニズム〉批判序説/水上文」もそうですが、オタクと(金銭に限らず概念、欲望のやりとりまで含めて)消費は切っては離せないもの、という文章が僕は好きらしい。マーカーを引いたところを引用すると〈オタクは「供給」を受けるのみならず、「需要」をも伝えたいと考えている、といってもにわかにはピンとこないだろう〉〈あなたの解釈は推しの一部になったような気がするだろう。これが需要である。オタクは需要と供給のサイクルを繰り返す〉。オタクの消費と需要のなかで、オタク自身もまたコンテンツとして、消費される側に回る。神と呼ばれたりする。舞台少女は今日もゆく・・・。
23.審神者なるものは過去へ飛ぶ それは歴史の繰り返し/汀 こるもの ★
・誰か!さらまんどら新刊を出してくれるパトロン!!誰か!!もとい、分の内容としてはインターネットオタクバトルの話、タイトルからわかる通り刀剣乱舞の話を例として、という感じ。こるもの先生の筆致は流石!という感じですが、それよりもこの文章が「女オタクが公式やコンテンツに配慮する、原典を育てる」という正の側面ではなく、自治と称した俺ルールによる喧嘩、学級会、個人的な女オタク定義である「未来人アーサー=未来の検索汚染やジャンルの荒廃を危惧して、現代の正史をゆがめる言及や創作を否定する勢力。多分アーサーってつけたのは100万人もいそうだからです(違うかも、どうだったっけ・・・)」の振舞についての具体的エピソードが並んでいることが、本書全体に対して効いていてよかったと思いました。
24.彼女たちの「願わくは同好に頒(わか)たん 」/橋本麻里 ★
・こちらが「正の側面」の女オタクムーヴについての文章、というイメージ。日本美術ブーム(若冲とか阿修羅展とか)と同時期に動いた刀剣ブームへの言及のなかで、持続可能なオタク活動としてのクラウドファンディングへの課金などの話をしている。〈彼女たちは所蔵こそしないまでも、1000年先にも「願わくは同好に」という思いを持っている。日本美術ブームのなかで、一般の美術ファンと、彼女たち―いわゆるオタク―の間に何か違いがあるとすればその一点だろう〉
25.「オタク」の私と「オタクではない」小説 / 柳川麻衣 ★
・表題通りのエッセイで、淡々と読んでました。特筆するというか、印象に残っている箇所としては、具体名としての同人誌名「共有結晶」「燦々たる食卓」などが並べられているとこ、ですかね。
26.感想を書く職業/或村哉子 ★
・「文章を褒める」ウェブサービスをやっている方のエッセイ。これも淡々と読んでいました。文章をやりながらコスプレや写真の界隈にも足を突っ込んでいるわけですが、そこでもやはり感想や反応の量や質についての欲望への言及は多々あり、そういった悩みとか疑問とかに対して効きそうな文章だな、と思ったり。
27.のがれること・つくること・つながること / 田中東子 ★
・女の子っぽさ、女性らしさの規範とされているものから逃れて、知識や情報や情熱や語り口を高校で得られた、同人サークルでも「世間」とは異なる社会を知った。そしてテニミュ(本文では明記されない)で沼に落ちる。というところまでは普通だなぁと読んでいました。が、〈二・五次元文化の与えてくれる幸せな世界にどっぷりと浸かりながら、同時に私はある当惑する気持ちと直面せざるを得なくなった。それは女たちが男を消費する、ということへのためらいである〉〈消費することに、オタク活動にのめりこみつつも私は常に困惑を感じていた。自分たちのこの行為と欲望は、相手の尊厳を傷つけ、苦しめることへとつながるのではないだろうか、と〉という文章から、本文の本領が始まったと感じる。結びは男性のオタクへの問いだった。
僕の回答はこうだ。「当然戸惑う。それはたとえばAKBの選抜総選挙で選ばれる・選ばれなかった、センターになれた・なれなかった、という結果を前にして、努力が報われたり、まだ報われなかったりというなかでコメントするアイドルに『人間』としての彼女たちを見たとき、といったデカい舞台のときだけではなく、日常のレベルで戸惑う。紗倉まなや深田えいみのツイートを見ていると、彼女たちのAVを忌避するようになるし、消費される前提でエッチなコンテンツをつくっている露出系コスプレイヤーの料理ツイートや旅行ツイートを見たときもそうである。単なる像であるときにできた搾取が、人間相手になるとできなくなる。これが一般的かどうかはわからない。けれど、アイドルが偶像だった頃より、アイドルが人間になった今の方が、そういった人間に対する一方的な搾取構造は成立しなくなっているのではないだろうか(もしかすると、人間だからこそ搾取したい、というヒトが多いかもしれないが)。そういったなかで、フェミニズムやオタク批評が作り出してきたことばと対話していくことは可能だし、していくべきだと思う」
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読んだけど感想間に合わなかったのは以下。
28.批評―オタクと推しを繋ぐ言葉。/西森路代 ★
29.オタク女子たちが「自重」してきたもの/青柳美帆子 ★
30.私たちは帝国だったんだけど、とはいえ私はストームトルーパーにすらなれないかもしれない/北村紗衣 ★
31.女オタクが衣装を着て創り出したアンサー / ちゃんもも◎ ★
33.女性を眼差すオタク女性の葛藤と希望 / 卜沢彩子 ★
34.女/オタクという多重する経験を生きること。創作を通してアイデンティを語ること。 / 近藤銀河 ★
43.同人誌という曖昧な輪郭/石川 優 ★
44.曖昧な「乙女」たち/小出治都子 ★
45.短歌とBLの間で/松野志保 ★
49.私と彼女たちの物語/小澤京子 ★
51.アートの魅力を女子目線で再発見!/古川萌 ★
読書会本編で当初は青柳さんの文章について言及しようかと思ってた(結びが好き)んですけど、結果としてはできませんでしたね。北村さんの文章や西森さんの文章、古川さんの文章には言及があったかな。
今回の読書会の運営の都合上、あんまり本文読解とか引用とかっていう感じではなかったとはいえ、やっぱりユリイカ後半部は言及が少なくなっちゃうから、今後も後ろのほうに目を光らせておく必要があるね、と思った次第。
消費者としての女オタクの話はワントピックになるくらい盛り上がって嬉しかった。ちゃんと武器:資本論とか暇と退屈の倫理学とか読んどいてよかったなー、という気持ち。
おつかれさまでした。ではでは
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