研究者としての成長
やほまる☻ あっきーです。
昨日、
学生生活で最後となる学会に出場した。
(未だに学会に対して「出場」という言葉を使うことに慣れない笑)
学会前はどんなに事前準備をしていても、あらゆる綻びが見つかる。
だから1週間ほとんど家には帰っていなかった。
寝不足で臨んだ本番は、
嬉しいことに人数制限がかかるほど大盛況だった。
研究者として、『他の化学者が自分の研究テーマに関心がある』ことほどやりがいを実感する場面はない。
自分は面白いことをしているんだ。
他の人には、予稿集をサラっと見たところで理解しきれないものを研究しているんだ。
そう思わず笑みがこぼれる。
誰も来ないで1人で寂しそうにしている隣の発表者を横目に、間違いのないように説明を繰り返す。
何度も。何度も。
一通り説明が終わるといよいよ本番である。
『質疑応答』
僕が最も楽しみにしている時間で
僕が最も恐れている時間である。
この時間は、研究者としての理解力が問われる。
実は、
「自分がさっき言ってたこともなぜ説明できない?カンペ読んだだけだったのか?」
みたいな学生も結構いる。
あー、自分でやってこなかったんだな。
あー、なにも自分で考えてないんだな。
とすぐに分かる。
僕はA4の紙3枚が埋め尽くされるほどの想定問答に沿って、着々と答えていく。
「あなたが触れてきたことでも、そうでもない範囲でも構いません。この研究成果をさらに向上されるための考えはお持ちですか?できれば、発表内に出てきたことの延長でない、新しい意見をお聞かせください。」
きた。これだ。これだ。
「現在は透過性のうち、拡散性に着目した性能向上に取り組んでおります。故に最も考えるべきは、もう一つのファクターである溶解性に着目した『気体との相互作用を持つポリマー・フィラー』を用いることです。しかし、私の研究のオリジナリティを最大限残すとすれば『シリカ粒子の形状制御』に取り組むべきだと考えております。ポリマー/シリカ界面領域の増加は、シリカ粒子の表面積の増加に比例するため、もしシリカ粒子の表面に意図的な凹凸を発現させることができれば機能向上に大きく貢献すると考えています。」
もし、これを見てくれている人がいれば
突然意味不明なことを書いて申し訳ない。
ただ分かって欲しいのは、
この答えは僕の用意した想定問答には無かったのである。
僕はいま僕自身の言葉を、考えを使って
権威ある教授と対等に話している。
有名企業の研究者にアイデアを与えている。
それがどんなに誇らしいことか。
誇れ、自分よ。喜べ、自分よ。
僕はいま、
僕はいま確かに研究者であるのだ。
来年からは、研究とは無縁の仕事をする。
僕は研究が嫌いなのだ。
面白くないし、拘束される時間はとてつもないし、
温度や湿度なんていう人力ではどうしようもない要因で失敗が重なるし。教授は毎日理不尽だし。(これは社会もそうか笑)
しかし、いま僕は研究者であり
研究者としての成長を喜ばずにはいられなかった。
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