大人のバイオリン: ビブラートができない②
40歳になってバイオリンを始めて、十数年。オーケストラでは「時々エアバイオリニスト」として音を出さずに弾く姿を見せる技能を磨きつつ、個人レッスンでは毎年、発表会のソロ曲で四苦八苦しています。今年もそろそろ発表会の時期が近づいてきました。今年は、他の生徒さんとデュオでヴィヴァルディの『二本のバイオリンのための協奏曲イ長調』の第二バイオリンを、そしてソロでエルガーの『愛の挨拶』を弾くことになりました。
ヴィヴァルディの方は、バロック音楽でビブラートはあまりかけないこと、そして伴奏の多い第二パートなので、ちょっと安心です。
問題は『愛の挨拶』・・・。バイオリンの先生に、
「ヴィヴァルディの協奏曲の二番パートだけで発表会曲をやりました、というのもちょっと物足りないですよね。ぜひ、ここはビブラートをものにして『愛の挨拶』やりましょうよ!」
と鼓舞され、
「はい、やってみたいです」
と答えてしまったのでした。
私がバイオリンをこれから始めるという時に、弾けるようになったらいいなぁと漠然と頭に浮かべたこの曲。今まで、ビブラートがかからない私はイジイジと手を出せずにたのです。いわゆる『小品』と呼ばれる短い曲で、ゆったりした旋律なのでレベル中級で弾けるといわれていますが、ビブラートでロマンチックな音色で弾きたいですよね。(クラリネットのようにビブラートなしでも情感たっぷりに表現できる方法もあるのかもしれませんが・・・)
先生からの教えは次の通り。
「ビブラートのかけ方は人それぞれで正解がない。腕からかける人、手首からかける人、両方使う人など。ただし、低い音程に向かってかけるのが上品で良いビブラートとされている」
「卵マラカスを軽く左手に握って、ドアをノックするように手の甲の側に手首を振る練習をすると感覚がつかめる」
「左手の親指の位置も大切。自分がビブラートをかけやすい親指の位置を探るのも有効」
「弦を抑えた指先が、揺り椅子の足のように動く」
これらを意識して、毎日バイオリンの練習の最初に音階練習を1周ビブラートをかけ(ようとし)ながら行うことにしました。
指先の動きと、向きを意識しながら、音程が上下するように動かしてみると、楽器自体が動いてしまって、弓が弦の上で跳ねてしまいます。たぶん、慣れたらそれもなくなるのかも?と思いながら、2週間ほど続けて、レッスンに臨みました。
「うーん、違いますね。指を動かすときに手首があがっちゃってますよ。」
はっ。それが楽器が動く原因だったのか!
ビブラートの方法に正解はない、と言いつつも、これはNGでした。一応、音は多少上下していたんですが・・・。
翌日から、手首を上げずに指だけ動かそうとすると、今度は全く動かなくなってしまいました。YouTubeのビブラートレッスン動画を何本も見て、ブログなども読みまくった結果、指の関節が柔らかくないことが原因では?と思い至ったのです。いくつかのブログに、「第一関節が柔らかいことが重要」と書いてありました。
左右の手指の第一関節をグニグニ曲げ伸ばししてみると、明らかに可動域が違います。思えば、左手って、タイプを打つ時以外は、料理するときも、ペンで何か書く時も、常に添えてあるだけですよね。
こうして、ビブラートのできる手指作りに取り組むことになりました。
(次回へ続く)
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