見出し画像

[プロンプト配布] 生成AIでジャベリンボードを攻略|DX風林火山【火の術】壱の巻⑫


はじめに

皆様、こんにちは!
株式会社フォネット 教育事業部 ICT/DX推進課の長田(おさだ)です。

このDX風林火山シリーズでは、フォネットが社内DXで実行したノウハウを手順書としてまとめて公開しております!


ご利用にあたって

企業・行政・教育機関など、あらゆる組織のDX推進に無料でご活用いただけます。
内容のブラッシュアップのために、コメント欄で感想やフィードバックを頂けると幸いです!
著作権は株式会社フォネットに帰属しますので、自組織外向けにご利用になる際は、著作権者の許諾が必要です。


▼前回


【火の術】壱の巻:実践!生成AI×ビジネスDX

ワークショップの全体像

田所雅之氏の著書「企業の科学 スタートアップサイエンス」と、芝先恵介氏のChatGPTによるアプローチをベースに、著者が実践的な要素を加えて開発
※〇月という表記は、社内でワークショップを毎月実施する場合の目安です。

このワークショップの目的

  • 実践的なワークを通して生成AIの活用スキルを身に着ける

  • ビジネスモデルのDXに必要なマーケティングアプローチを実践から学ぶ
    (座学より手を動かすことを重視)

ワークショップの流れ

  1. テーマと目標設定

  2. テーマに関する簡単な解説

  3. 1回3つのToDoとそれに基づくプロンプトを配布

  4. 配付されたプロンプトを使い、個人で実践

  5. プロンプトと生成内容をドキュメントに転記・保管

習うより慣れよ…ということで、早速やってみましょう!


テーマ:顧客課題へのフィット検証

目標

ビジネスアイデアが顧客課題にフィットしているか検証する

ToDo

  1. ペルソナシート量産:多様な視点を獲得し、ビジネスの可能性を広げる

  2. ジャベリンボード作成:ビジネス開発成功のための仮説を検証する

  3. プロブレムインタビュー実施:ビジネスが成立するための前提条件をインタビューで確認する

今回は、
2. ジャベリンボード作成:ビジネス開発成功のための仮説検証を実施
を実践します!


2. ビジネス開発成功のための仮説検証を実施

ジャベリンボードって何?

ジャベリンボードとは、アメリカの企業Javelin社が考え出したビジネスにおける課題の仮説立て・検証に使えるフレームワークです。

ジャベリンボードとは?その目的から作り方の事例を紹介 | ITプロパートナーズ(企業様向け)


ジャベリンボードは”ラスボス”

率直に言ってしまいますが、これは一連のワークのなかで最もハードな内容です。
強敵です。
でも、ここをクリアすれば、あなたのビジネスアイデアはより強固なものになり、失敗のリスクを未然に防ぐことができますので、ぜひ頑張ってついてきてください!


筆者の経験と教訓

ここで、ジャベリンボードの重要性について、筆者の経験を交えて解説します。
筆者はこれまで、現職(株式会社フォネット)にて、十年近く新規事業に携わってきました。
その中で痛感したのは、ビジネスが成り立つための前提条件を、投資前に検証することの重要性です。

例えば、以前ご紹介した訪日観光客向けツアー企画。

高額商品を開発した当初は、
「高額であっても良質なコンテンツはビジネスになるだろう」
「高収入層はタクシー移動は厭わないだろう」
といった前提条件を意識的・無意識的に立てていて、検証はしませんでした。

その後、「移動という手段にお金をかけたくない」というニーズに占める客層が圧倒的に多いことが、海外の旅行会社へのインタビューでわかりました。
結果、大幅な方向転換(ピボット)をすることに。

ジャベリンボードは、こういった痛い経験を防ぐための重要なツールです。

次回ご案内するユーザーへのインタビューと組み合わせることで、”開発者が意識的・無意識的に設定した前提条件”を、想定ターゲットがクリアできるのか、検証することができます。


生成AIを使って、実践しよう!

具体的な作業手順

リーンキャンバスと、前回作成したペルソナ3名分のペルソナシート、共感マップ、そしてAsIsカスタマージャーニーマップを用意します。

それらを基に、
①顧客:カスタマーはだれか?
②課題:課題は何か?
③解決策:そのためのソリューションは?
の3点セットを思いつく限り書き出します。

そして、各3点セットを成り立たせるための
④前提条件:検証するべき前提は?
も書き出します。

画像引用:ジャベリンボードとは?その目的から作り方の事例を紹介 | ITプロパートナーズ(企業様向け)

※生成AI(Microsoft Copilot)が扱える文字数の最大数を超えてしまうので、今回はチャット形式になっております。


プロンプトはこちら①

次のリーンキャンバスについて、インプットしてください。
理解できたら、「はい」とだけ答えてください。

**各自のリーンキャンバスをマークダウン形式でコピペ**
次のペルソナシートについて、インプットしてください。
理解できたら、「はい」とだけ答えてください。

**各自のペルソナシート3つ分をマークダウン形式でコピペ**
次の共感マップについて、インプットしてください。
理解できたら、「はい」とだけ答えてください。

**各自の共感マップ3つ分をマークダウン形式でコピペ**
次のAsIsカスタマージャーニーマップについて、インプットしてください。
理解できたら、「はい」とだけ答えてください。

**各自のAsIsカスタマージャーニーマップ3つ分をマークダウン形式でコピペ**
# 命令:
「顧客・課題・解決法・前提条件」の仮説が正しいかを検証するためのジャベリンボード作成の準備をします。

# 役割:
スタートアップの創業者/プロダクトマネージャーとして、サービスの仮説を徹底的に検証します。

# 背景:
提供された資料(リーンキャンバス、ペルソナシート、共感マップ、カスタマージャーニーマップ)を活用し、最も有望な仮説を選定します。ジャベリンボードの目的は、サービスの価値を検証し、本格的な開発前にリスクを最小限に抑えることです。

# 出力形式:
以下の内容を、思いつくままに箇条書きで出力すること。
1. 顧客(誰に)
- 具体的なペルソナ詳細
- ターゲットの特徴と背景
例: 東京の30代後半、年収600万円のフリーランスデザイナー。週5日在宅勤務で、効率的な仕事環境に悩んでいる。
2. 課題(何の)
- 顧客が抱える具体的な問題
- 問題の深刻さと緊急性
例: 自宅の作業スペースが狭く、集中できる環境を確保できないため、生産性が30%低下している。
3. 解決策(どうやって)
- 提案するソリューション
- 解決メカニズムの説明
例: モジュラー式の可動デスクシステムで、狭いスペースでも簡単に拡張・収納できる働くための環境を提供する。
4. 最も検証すべき前提条件
- 仮説が成立する重要な前提(そもそもユーザーがこの解決策を欲しがるかどうかの前提)
- 前提が崩れた際のインパクト
例: フリーランスは高価なオフィス家具への投資を躊躇している。この前提が間違っていれば、ビジネスモデル全体の再考が必要。

▼出力結果(Copilot使用)
例:訪日観光客(リピーター)を対象としたディープな日本の地方を体験するツアープランのビジネスアイデア

顧客
- デジタルノマド
- バックパッカー
- 家族旅行者
- エコツーリズム愛好者
- 文化体験志向の旅行者
- 外国人観光客
- リピーター観光客
- デジタルノマド(フリーランスのウェブデザイナー)
- 旅行ブロガー
- 企業のエグゼクティブ(リモートワーク中)

課題
- 公共交通機関の複雑さ
- 言語の壁
- 高額な交通費
- 観光情報の不足
- ガイドの不足
- 地元の文化や生活を深く体験できない
- リアルタイムでのサポートがない
- 多言語対応のサービスが少ない
- 地方の観光情報が少ない
- 地方での通訳ガイドが不足

解決策
- オンラインガイドプラットフォーム
- チャットやビデオ通話でリアルタイムにガイドがサポート
- 公共交通機関の利用ガイド
- 多言語対応アプリ
- カスタマイズツアー
- 地域連携による観光資源の活用
- 持続可能な観光の推進
- 地方の文化や生活を深く体験できるパッケージツアー
- 多言語対応のガイドサービス
- 地方自治体や観光協会との連携

最も検証すべき前提条件
- デジタルノマドが公共交通機関の利用に困難を感じているか
- バックパッカーが低コストでの移動手段を求めているか
- 家族旅行者が言語の壁に困難を感じているか
- 観光情報が不足しているか
- 現地ガイドが不足しているか
- 多言語対応アプリが存在しないか
- 外国人観光客が地方の観光情報を求めているか
- リアルタイムでのサポートが必要とされているか
- 地方の文化や生活を深く体験したいというニーズがあるか
- 持続可能な観光が求められているか

※付箋に書き出された状態だとイメージしてください。


プロンプトはこちら②

この中で、ビジネスに与えるインパクトが最も大きいペルソナを1つ選んでください。
そのペルソナが抱える、最もインパクトが大きい課題を1つ選んでください。
その課題に最もフィットする解決策を1つ選んでください。
そのうえで、前提条件が成り立たない時にビジネスが崩れうる最も検証すべき前提条件を1つ選んでください。

※ジャベリンボードの1列目に、(カスタマー問題ソリューション最も不確かな前提条件の順で)書き出した付箋を移動していくイメージです。

画像引用:ジャベリンボードとは?その目的から作り方の事例を紹介 | ITプロパートナーズ(企業様向け)

▼出力結果(Copilot使用)

選定結果

1. ビジネスに与えるインパクトが最も大きいペルソナ
ジョン・スミス
- 理由: デジタルノマドとしてのライフスタイルは、リモート・コンシェルジュのサービスと非常に親和性が高く、頻繁に利用する可能性が高い。

2. ジョン・スミスが抱える、最もインパクトが大きい課題
公共交通機関の利用が難しい
- 理由: 日本の公共交通機関は複雑であり、特に外国人にとっては大きなストレス要因となる。これを解決することで、ジョンの旅行体験が大幅に向上する。

3. その課題に最もフィットする解決策
公共交通機関の利用ガイド
- 理由: 公共交通機関の利用ガイドを提供することで、ジョンがスムーズに移動できるようになり、ストレスを軽減できる。

4. 最も検証すべき前提条件
デジタルノマドは公共交通機関の利用ガイドを必要としている
- 理由: この前提が成り立たない場合、サービスの需要が低下し、ビジネスモデル全体の再考が必要となるため、最も重要な前提条件となる。

これで、ジョン・スミスに焦点を当てた仮説検証の準備が整いました。次のステップに進む準備ができましたらお知らせください。

ポイント:ここで選定されたペルソナを鵜呑みにしないこと。
3つのペルソナが出力された順番で、1番目のペルソナを選んでいる可能性があります。
よって、「〇〇さん(他のペルソナ)の方がインパクトが大きいペルソナとして適切ではないですか?」と投げかけたところ、以下のように返ってきました。

▼出力結果(Copilot使用)

確かに、エミリー・ジョンソンさんもビジネスに大きなインパクトを与える可能性がありますね。エミリーさんはバックパッカーとして低予算での旅行を重視しており、リモート・コンシェルジュのサービスが彼女のニーズに合致する可能性が高いです。

エミリー・ジョンソンに焦点を当てた選定結果

1. ビジネスに与えるインパクトが最も大きいペルソナ
エミリー・ジョンソン
- 理由: バックパッカーとしてのライフスタイルは、リモート・コンシェルジュのサービスと非常に親和性が高く、低コストでの移動手段やカスタマイズツアーを求めるニーズが強い。

2. エミリー・ジョンソンが抱える、最もインパクトが大きい課題
高額な交通費
- 理由: 低予算での旅行を重視するエミリーにとって、交通費の高さは大きな障壁となる。これを解決することで、彼女の旅行体験が大幅に向上する。

3. その課題に最もフィットする解決策
公共交通機関の利用ガイド
- 理由: 公共交通機関の利用ガイドを提供することで、エミリーが低コストで効率的に移動できるようになり、旅行のコストを抑えることができる。

4. 最も検証すべき前提条件
バックパッカーは低コストでの移動手段とカスタマイズツアーを求めている
- 理由: この前提が成り立たない場合、サービスの需要が低下し、ビジネスモデル全体の再考が必要となるため、最も重要な前提条件となる。

これで、エミリー・ジョンソンに焦点を当てた仮説検証の準備が整いました。次のステップに進む準備ができましたらお知らせください。

これは筆者が、(実際の顧客に近い)海外旅行業者にインタビューした経験があるから指摘できたのかもしれません。
ですが、少なくともこの時点で、生成AIによって選定されたペルソナが最もインパクトが大きいターゲット層に属しているか、人間が批判的に考え判断する必要があります。


プロンプトはこちら③

この前提条件を検証する方法と、達成基準を教えてください。

検証方法・検証基準を設定します。

画像引用:ジャベリンボードとは?その目的から作り方の事例を紹介 | ITプロパートナーズ(企業様向け)

▼出力結果(Copilot使用)

前提条件の検証方法と達成基準

前提条件:
バックパッカーは低コストでの移動手段とカスタマイズツアーを求めている

検証方法:
1. アンケート調査
- 対象: バックパッカーや旅行ブロガー
- 内容: 低コストでの移動手段やカスタマイズツアーに対するニーズや期待を尋ねる質問
- 方法: オンラインアンケートフォームを作成し、SNSや旅行フォーラムで拡散

2. インタビュー
- 対象: 実際に日本を訪れているバックパッカー
- 内容: 旅行中の課題やニーズ、現在利用しているサービスについての詳細なインタビュー
- 方法: カフェやホステルでの対面インタビュー、またはオンラインビデオ通話

3. プロトタイプテスト
- 対象: バックパッカー
- 内容: 公共交通機関の利用ガイドやカスタマイズツアーのプロトタイプを提供し、実際に使用してもらう
- 方法: 無料トライアル期間を設け、使用後のフィードバックを収集

4. 市場調査
- 対象: 旅行業界のデータやレポート
- 内容: バックパッカーの旅行パターンや支出傾向、人気の移動手段に関するデータを分析
- 方法: 公開されている市場調査レポートや統計データを収集・分析

達成基準:
1. アンケート調査
- 回答者の70%以上が低コストでの移動手段やカスタマイズツアーに高い関心を示す

2. インタビュー
- インタビュー対象者の80%以上が、公共交通機関の利用ガイドやカスタマイズツアーが旅行中の課題解決に役立つと回答

3. プロトタイプテスト
- テスト参加者の75%以上が、提供されたサービスに満足し、再利用の意向を示す

4. 市場調査
- 市場データが、バックパッカーの主要なニーズとして低コストでの移動手段やカスタマイズツアーを示している

これらの方法と達成基準を用いて、前提条件の検証を行うことで、サービスの価値を確認し、リスクを最小限に抑えることができます。次のステップに進む準備ができましたらお知らせください。

次回は生成AIを使ったプロブレムインタビューを控えているので、ここでは次のように命令します。


プロンプトはこちら④

インタビューを行う場合の設問を挙げてください。

▼出力結果(Copilot使用)

インタビュー設問例

基本情報
1. お名前とご年齢を教えてください。
2. 現在の職業とライフスタイルについて教えてください。
3. どのくらいの頻度で旅行をされていますか?

旅行の目的とスタイル
4. 旅行の主な目的は何ですか?(例:観光、仕事、文化体験など)
5. 旅行中に特に重視していることは何ですか?(例:コスト、快適さ、現地の体験など)
6. これまでに訪れた国や都市で特に印象に残っている場所はどこですか?

交通手段と課題
7. 日本での移動手段として、どのような交通機関を利用していますか?
8. 日本の公共交通機関を利用する際に、どのような課題や困難を感じましたか?
9. 高額な交通費について、どのように感じていますか?

言語の壁とコミュニケーション
10. 日本での言語の壁について、どのような経験がありますか?
11. 言語の壁を感じたとき、どのように対処していますか?

サービスのニーズと期待
12. 公共交通機関の利用ガイドがあれば、どのように役立つと思いますか?
13. カスタマイズツアーについて、どのような期待がありますか?
14. 多言語対応のリアルタイムサポートについて、どのように感じますか?

現在の利用状況と満足度
15. 現在利用している旅行関連のサービスやアプリは何ですか?
16. それらのサービスに対する満足度はどの程度ですか?
17. これまでに利用したことのあるガイドサービスについて、良かった点と改善点を教えてください。

未来のサービスに対する期待
18. 理想的な旅行サポートサービスとはどのようなものですか?
19. どのような機能やサポートがあれば、旅行がもっと快適になると思いますか?
20. リモート・コンシェルジュのサービスに対して、どのような期待や希望がありますか?

これらの設問を通じて、エミリー・ジョンソンさんのようなバックパッカーが抱える課題やニーズを深く理解し、サービスの改善に役立てることができます。次のステップに進む準備ができましたらお知らせください。

これで、プロブレムインタビューの準備が整いました!
(ラスボスらしく、長尺でした…)

※残りの2マス(結果学び)は、インタビューの内容に基づいて埋めていきます。

画像引用:ジャベリンボードとは?その目的から作り方の事例を紹介 | ITプロパートナーズ(企業様向け)


おわりに

いかがでしょうか?

DX風林火山では、このnoteのようなノウハウ集の配布に加え、勉強会の実施・オンラインコミュニティでのサポートを実施します。
孤独になりがちなDX推進担当者を全面バックアップし、組織DXを成功に導くお手伝いをさせていただきます!

※漫画はすべてMicrosoft PowerPointで作成しております。
※画像は、イラストACの絵師様の素敵なイラストを使わせていただいております。

いいなと思ったら応援しよう!