はじめに
皆様、こんにちは!
株式会社フォネット 教育事業部 ICT/DX推進課の長田(おさだ)です。
このDX風林火山シリーズでは、フォネットが社内DXで実行したノウハウを手順書としてまとめて公開しております!
ご利用にあたって
▼前回
【火の術】壱の巻:実践!生成AI×ビジネスDX
ワークショップの全体像
このワークショップの目的
ワークショップの流れ
テーマと目標設定
テーマに関する簡単な解説
1回3つのToDoとそれに基づくプロンプトを配布
配付されたプロンプトを使い、個人で実践
プロンプトと生成内容をドキュメントに転記・保管
習うより慣れよ…ということで、早速やってみましょう!
テーマ:顧客課題へのフィット検証
目標
ToDo
ペルソナシート量産:多様な視点を獲得し、ビジネスの可能性を広げる
ジャベリンボード作成:ビジネス開発成功のための仮説を検証する
プロブレムインタビュー実施:ビジネスが成立するための前提条件をインタビューで確認する
今回は、
2. ジャベリンボード作成:ビジネス開発成功のための仮説検証を実施
を実践します!
2. ビジネス開発成功のための仮説検証を実施
ジャベリンボードって何?
ジャベリンボードは”ラスボス”
率直に言ってしまいますが、これは一連のワークのなかで最もハードな内容です。
強敵です。
でも、ここをクリアすれば、あなたのビジネスアイデアはより強固なものになり、失敗のリスクを未然に防ぐことができますので、ぜひ頑張ってついてきてください!
筆者の経験と教訓
ここで、ジャベリンボードの重要性について、筆者の経験を交えて解説します。
筆者はこれまで、現職(株式会社フォネット)にて、十年近く新規事業に携わってきました。
その中で痛感したのは、ビジネスが成り立つための前提条件を、投資前に検証することの重要性です。
例えば、以前ご紹介した訪日観光客向けツアー企画。
高額商品を開発した当初は、
「高額であっても良質なコンテンツはビジネスになるだろう」
「高収入層はタクシー移動は厭わないだろう」
といった前提条件を意識的・無意識的に立てていて、検証はしませんでした。
その後、「移動という手段にお金をかけたくない」というニーズに占める客層が圧倒的に多いことが、海外の旅行会社へのインタビューでわかりました。
結果、大幅な方向転換(ピボット)をすることに。
ジャベリンボードは、こういった痛い経験を防ぐための重要なツールです。
次回ご案内するユーザーへのインタビューと組み合わせることで、”開発者が意識的・無意識的に設定した前提条件”を、想定ターゲットがクリアできるのか、検証することができます。
生成AIを使って、実践しよう!
具体的な作業手順
リーンキャンバスと、前回作成したペルソナ3名分のペルソナシート、共感マップ、そしてAsIsカスタマージャーニーマップを用意します。
それらを基に、
①顧客:カスタマーはだれか?
②課題:課題は何か?
③解決策:そのためのソリューションは?
の3点セットを思いつく限り書き出します。
そして、各3点セットを成り立たせるための
④前提条件:検証するべき前提は?
も書き出します。
※生成AI(Microsoft Copilot)が扱える文字数の最大数を超えてしまうので、今回はチャット形式になっております。
プロンプトはこちら①
次のリーンキャンバスについて、インプットしてください。
理解できたら、「はい」とだけ答えてください。
**各自のリーンキャンバスをマークダウン形式でコピペ**
次のペルソナシートについて、インプットしてください。
理解できたら、「はい」とだけ答えてください。
**各自のペルソナシート3つ分をマークダウン形式でコピペ**
次の共感マップについて、インプットしてください。
理解できたら、「はい」とだけ答えてください。
**各自の共感マップ3つ分をマークダウン形式でコピペ**
次のAsIsカスタマージャーニーマップについて、インプットしてください。
理解できたら、「はい」とだけ答えてください。
**各自のAsIsカスタマージャーニーマップ3つ分をマークダウン形式でコピペ**
「顧客・課題・解決法・前提条件」の仮説が正しいかを検証するためのジャベリンボード作成の準備をします。
スタートアップの創業者/プロダクトマネージャーとして、サービスの仮説を徹底的に検証します。
提供された資料(リーンキャンバス、ペルソナシート、共感マップ、カスタマージャーニーマップ)を活用し、最も有望な仮説を選定します。ジャベリンボードの目的は、サービスの価値を検証し、本格的な開発前にリスクを最小限に抑えることです。
以下の内容を、思いつくままに箇条書きで出力すること。
1. 顧客(誰に)
- 具体的なペルソナ詳細
- ターゲットの特徴と背景
例: 東京の30代後半、年収600万円のフリーランスデザイナー。週5日在宅勤務で、効率的な仕事環境に悩んでいる。
2. 課題(何の)
- 顧客が抱える具体的な問題
- 問題の深刻さと緊急性
例: 自宅の作業スペースが狭く、集中できる環境を確保できないため、生産性が30%低下している。
3. 解決策(どうやって)
- 提案するソリューション
- 解決メカニズムの説明
例: モジュラー式の可動デスクシステムで、狭いスペースでも簡単に拡張・収納できる働くための環境を提供する。
4. 最も検証すべき前提条件
- 仮説が成立する重要な前提(そもそもユーザーがこの解決策を欲しがるかどうかの前提)
- 前提が崩れた際のインパクト
例: フリーランスは高価なオフィス家具への投資を躊躇している。この前提が間違っていれば、ビジネスモデル全体の再考が必要。
▼出力結果(Copilot使用)
例:訪日観光客(リピーター)を対象としたディープな日本の地方を体験するツアープランのビジネスアイデア
※付箋に書き出された状態だとイメージしてください。
プロンプトはこちら②
この中で、ビジネスに与えるインパクトが最も大きいペルソナを1つ選んでください。
そのペルソナが抱える、最もインパクトが大きい課題を1つ選んでください。
その課題に最もフィットする解決策を1つ選んでください。
そのうえで、前提条件が成り立たない時にビジネスが崩れうる最も検証すべき前提条件を1つ選んでください。
※ジャベリンボードの1列目に、(カスタマー→問題→ソリューション→最も不確かな前提条件の順で)書き出した付箋を移動していくイメージです。
▼出力結果(Copilot使用)
ポイント:ここで選定されたペルソナを鵜呑みにしないこと。
3つのペルソナが出力された順番で、1番目のペルソナを選んでいる可能性があります。
よって、「〇〇さん(他のペルソナ)の方がインパクトが大きいペルソナとして適切ではないですか?」と投げかけたところ、以下のように返ってきました。
▼出力結果(Copilot使用)
これは筆者が、(実際の顧客に近い)海外旅行業者にインタビューした経験があるから指摘できたのかもしれません。
ですが、少なくともこの時点で、生成AIによって選定されたペルソナが最もインパクトが大きいターゲット層に属しているか、人間が批判的に考え判断する必要があります。
プロンプトはこちら③
この前提条件を検証する方法と、達成基準を教えてください。
※検証方法・検証基準を設定します。
▼出力結果(Copilot使用)
次回は生成AIを使ったプロブレムインタビューを控えているので、ここでは次のように命令します。
プロンプトはこちら④
インタビューを行う場合の設問を挙げてください。
▼出力結果(Copilot使用)
これで、プロブレムインタビューの準備が整いました!
(ラスボスらしく、長尺でした…)
※残りの2マス(結果と学び)は、インタビューの内容に基づいて埋めていきます。
おわりに
いかがでしょうか?
DX風林火山では、このnoteのようなノウハウ集の配布に加え、勉強会の実施・オンラインコミュニティでのサポートを実施します。
孤独になりがちなDX推進担当者を全面バックアップし、組織DXを成功に導くお手伝いをさせていただきます!
※漫画はすべてMicrosoft PowerPointで作成しております。
※画像は、イラストACの絵師様の素敵なイラストを使わせていただいております。