
情報の固定と拡散|Microsoft SharePointで脱ファイルのススメ⑤
このシリーズでは、Microsoft 365の初心者向けに、導入のための解説をしていきます。
非エンジニアの方が”ざっくり掴む”ことを目的に書いておりますので、
プロのエンジニアの方からしたら、記述が厳密でないとか、正確には違うでしょ…みたいなことがあるかもしれませんが、ご了承ください。
この記事を読んでほしい人
管理職・チームのリーダー
自組織におけるICT/DX推進の担当者
仕事に追われて疲れ果てている人
※本記事では、Microsoft社のアプリケーションに言及するため、マイクロソフトの商標とブランド ガイドラインに準拠して製品名を記述しております。
※マイクロソフトの許諾を得て使用しています。https://www.microsoft.com/
※筆者の体験をもとにした記事であり、MicrosoftおよびGoogleの広告案件ではありません。
1. 情報伝達の方法は2種類ある:固定と拡散
顧客向けPRの例で考えよう
あなたは、あるセミナーを顧客向けに開催・集客する担当になりました。
集客はオンラインで多くの人に情報を届けようと考えています。
さて、この状況で、あなたは次のどの集客方法を選びますか?
WEBサイトを開設:セミナーの情報を掲載、申し込みフォームへのリンクを張る(SNSは使わない)
さまざまなSNSを駆使:SNSの投稿本文にセミナー情報や申し込みフォームへのリンクを記述(WEBサイトは用意せずSNSだけで完結)
WEBサイトを開設→SNSで拡散(WEBサイトには基本情報を掲載、SNSは情報を拡散・顧客へのリーチのために使う)

…………
当然、3を選びますよね。
なぜか?
情報は、固定してから拡散する

もし、1のパターンでWEBサイトのみ使っていたら、ブラウザ検索結果の上位に躍り出ないと、顧客に見つけてもらえません。
これは想像に難くないと思います。
では、もし、2のパターンでSNSだけで完結させようとしたらどうでしょうか?
確かに顧客へ情報を届けることはできるでしょう。
SNSで盛り上がって、集客もたくさん見込めるかもしれません。

しかし、例えば何らかの事情で、
申し込みフォームのURLが変更になったり、
開始時間が変更になったり、
次第(アジェンダ)が差し替えになったりしたら、どうしますか?
SNSだけで情報伝達を完結させようとすると、当然、変更後の情報を投稿しますよね。
最新の情報を受け取った顧客が、自分できちんと整理して、正確に
変更後の申し込みフォームから申し込んでくれて、
変更後の開始時間に参加してくれて、
差し替え後のアジェンダを用意しておいてくれれば、よいのですが…。

それをすべての参加者に、参加者自身の自力で対応してもらうことが、本当に可能でしょうか?
そして、対応できない参加者は、そのセミナーに参加する資格がないのでしょうか?
………………
そんなこと、ないですよね。
では、どうすればよかったのか?
そんなときのために、3のパターンが有効なのです。
つまり、
基本情報はWEBサイトに固定しておく。
何か変更があったら、WEBサイトをまずアップデートする。
変更内容も含め、顧客に届けたい情報をSNSで拡散する。
顧客向けには、多くの企業・組織でパターン3は普通にできていると思います。
でないと顧客からクレームが来たり、事業自体に影響が出るからです。
では、組織内の情報発信は、どうでしょうか?
2. 組織内の情報発信に、拡散手段のみ使っていませんか?
よくある事例
バックオフィス業務の改善のコンサルティングをしていると、次のような事例に当たることがあります。
①バックオフィス業務の手順について、組織内のルールが決定される
例:出張経費精算の手順、車両事故発生時の手続き
②担当者が、自分のPCで通知文書を作る(PDFにする)
③メールや社内SNSに通知文書を添付して、通知する
④ルールに変更があれば、担当者が自分のPCで通知文書文書を作る(PDFにする)
⑤メールや社内SNSに通知文書を添付して、通知する
お気づきでしょうか?
これは、前述のセミナーの例でいうと、パターン2に該当します。
つまり、拡散手段のみで固定された情報発信がないのです。
固定情報は、あるんです。
担当者のPCの中に。
元データとPDFという形で……。

そして、元データ自体を、担当者以外が閲覧することはできません。
これは、何を意味するのか。
最新の情報を受け取った従業員が、正確に
個人レベルで漏れなく保存して、
保存データも時系列で整理してあって、
変更があったら、常に最新がどれかわかるようにしておく。
それを従業員全員に、自力で行うことを求めているのです。

これは果たして、仕組みとして最適化されているでしょうか?
組織を運営するうえで、混乱や影響はないといえるでしょうか?
もし混乱や影響があったら、悪いのは情報を自前で整理できない従業員なのでしょうか?
………………
組織内でも、WEBサイトとSNSを使い分けましょう
なぜなら、組織内であっても、あなた(実務担当者)以外は全員お客様だからです。
(情報発信の観点という意味で)
お客様(ユーザー)の使い勝手・わかりやすさを考えて業務を設計しないと、最終的に担当者自身の身に返ってきます。
問い合わせが相次ぎ、ユーザーのミスが増え、自分の仕事が遅れる・終わらない。
なぜうちの従業員は、ルールや指示通りに動けないの?
なぜ以前社内展開したことについて、後になって問合せがくるの?
なぜ私は、連日残業なの??

もしあなたが今、こんなことを日常的に感じていたら、黄信号です。
今すぐ、業務設計の見直しが必要でしょう。
いかがでしたでしょうか?
次回は、情報の固定と拡散を、どう実務として実行するかを解説します。
お見逃しなく!
※感想や、扱ってほしいテーマなど、コメントいただけると嬉しいです!