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【今年も始まりました】休眠会社の整理

【概要】

毎年10月頃になると、法務大臣による官報公告を行うとともに、法務局から一定期間(※)登記をしていない株式会社や法人(いわゆる休眠会社)に対して、イメージ図にあるような通知書が発送されます。
そして、令和6年度も10月10日(木)に公告と発送がされました。
この通知書を受け取った会社様は、公告から2か月以内(令和6年度は12月10日(火)まで)に「まだ事業を廃止していない」旨の届出又は「役員変更等の登記」をしないと、職権で解散の登記(みなし解散の登記)がなされることになります。
    ※一定期間とは
    株式会社では最後の登記から12年を経過(特例有限会社を除く)
    一般社団法人又は一般財団法人では最後の登記から5年を経過
みなし解散の登記がされてしまうと…
・印鑑証明書が取得できない!?
・会社の登記簿謄本に「令和★年★月★日会社法第472条第1項の規定により解散」と記載(いわゆる登記簿が汚れる)
といった事態が生じますので、この通知を受け取ったら放置せずに、速やかに司法書士にご相談ください。


【対応方法】

まず、この通知を受け取った会社様は現に事業を行っているか否かで対応方法が変わります。とりわけ、事業を行っているにも関わらず、この通知が来た場合には、以下1.2のいずれかのアクションを起こす必要があると考えますので、ここでは「事業を行っている場合」に限定して解説します。
1.まだ事業を廃止していない旨の届出をする
2.役員変更等を登記を行う

1.まだ事業を廃止していない旨の届出をする場合

法務局から通知される通知書の下段が「届出書」になっているので、所定の事項を記載の上、本店の所在地を管轄する法務局に持参又は郵送をします。
★[通知書のイメージ]

法務省のHPより引用

ここで大事なのが、この届出さえ行っておけばOKということではないのです。
大前提として、この通知書が届くということは、本来しなければならない登記がなされていないということです。
そして、この時点で選任懈怠又は登記懈怠という状況に陥っているため、裁判所から100万円以下の過料に処せられます。
例えば、株式会社であれば、最低でも10年に1回は役員変更登記を行わなければなりません。その理由は、取締役の任期は最長でも10年までとされており、10年に1度は実質的に取締役の変更がないとしても登記をしないといけないのです。(一般社団法人及び一般財団法人の理事の任期は2年)
よって、この届出を提出したとしても、役員変更登記を行うことが必要である点にご注意ください。
(この届出書を提出したとしても、役員変更をはじめとする必要な登記を行わなければ、来年以降もこの通知書が発送されます。また、登記申請を先延ばしにすることで過料の額も増えることが予想されます。)

2.役員変更登記を行う

まずは、ご自身の会社の定款で役員の任期を確認のうえで、必要な役員変更登記を行ってください。
併せて、他の登記事項に変更が生じているにも関わらず登記を行っていなかった場合も登記申請をする必要があります。

3.結論

法務局からイメージ図のような通知書が届いたら
①2か月の期間内(令和6年度は12月10日まで)に役員変更登記等の必要な登記をする。
②役員変更登記等が間に合わない場合には、まずは、届出書を提出する。
このような形で対応するのがベターではないかと思います。

【万が一解散登記がされてしまったら】

何らかの事情で通知書が届かなかったので自身の会社が休眠会社の整理対象になっていることがわからなかった、届出書の提出を失念していた等々…
残念ながら、職権で解散登記がされてしまいます。

この場合、みなし解散後3年以内であれば、株主総会(一般社団法人は社員総会一般財団法人は評議員会)の特別決議を経ることで会社継続をすることが可能です。

【まとめ】

昨今はご自身で会社設立登記をされる方も増え、この辺りのフォローがなされていない会社様も多いのではないかと思います。
これを機に、一度ご自身の会社の役員任期をご確認されてみては如何でしょうか。
当事務所でもご相談承りますのでお問い合わせ欄よりお問い合わせください。

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