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アメリカのジェンダークリニックに行ってきた (その2)

あけましておめでとうこざいます!
みなさま、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、大晦日に再びジェンダークリニックに行ってきました。初めて訪れたときの話はこちらの記事に書いています。

今回は血液検査の結果とホルモン治療について医師と話し合うのが目的でした。

血液検査の結果は「非常に良好」と言われました!でも、血糖値が高めだとのこと。医師からは「このままだと2型糖尿病のリスクがあります」と言われてしまいました。糖尿病だなんて結構ショックですよね…。でも、毎日の軽い運動で改善が期待できるとのことだったので、今年から少しずつ頑張ってみようと思います。

そして処方ですが、私の方から医師に2つの希望を伝えました。

  1. スピロノラクトン(男性ホルモンのブロッカー)を使いたくない。この薬はもともと利尿剤として開発されたもの。なので飲むと確実に頻尿になるらしいんですよね。せっかくコーヒーを控えてトイレの回数が減ったのに、また戻るなんて嫌だな… と思って。それに副作用として『頭にモヤがかかる』感じになることもあるらしくて。できれば避けたいな、と思ったんです。

  2. 皮下注射を希望。医師からは「お酒やタバコもやらないなら錠剤でも肝臓への影響はない」と説明されました。実際、私はお酒もタバコもやらないので問題ないんですが、それでも肝臓に負担をかけたくない気持ちがありました。だから皮下注射を選びたい、と伝えました。ちなみにパッチという方法もあったんですが… 肌に跡が残るのがちょっと気になって、やめました。

結果、希望はあっさり通りました!来週から数回に分けて皮下注射のやりかたを教えてもらう予定です。


と、ここまで早足で書きましたが、自分の中でいろいろな葛藤がありました。

覚悟はとっくに決まっていたはずなのに、目の前に「はい、これがホルモン治療です」なんて差し出されると、急に現実味がなくなるというか、なんだか目の前で起きている事が夢なのか現実なのか、わからなくなってしまいそうで目が眩みました。

映画『マトリックス』でモーフィアスがネオに赤い薬と青い薬を提示する場面がありますよね。

「青い薬を飲めば物語はそこで終わりだ。自分のベッドの上で目覚めて、そこからは自分が信じたいものを信じればいい。赤い薬を飲めば… 不思議の国にとどまることができる。このウサギの穴がどこまで深いのか見せてやろう」

赤い薬は、この時のネオにとっては知りようもない不確かな未来を象徴している。一方で青い薬を飲めば、ネオには甘美な監獄生活が約束されていたはずである。マトリックスによるシミュレーテッド・リアリティの世界で、何かに渇望することも恐怖におびえることもない、一定の制約はありつつも、満ち足りて、しかし真実からは隔絶された世界に戻ることができただろう。結局ネオは赤い薬を飲み、機械が作り出した夢の中から抜け出して現実の世界に戻る。ただし「現実の世界」でネオは、夢の中よりもつらく困難な人生を生きなければならなくなる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E3%81%84%E8%96%AC%E3%81%A8%E9%9D%92%E3%81%84%E8%96%AC

青い薬を飲めば、性別違和はそのまま抱え続けることになるけど、いつも通りの日常が待ってるのだと思う。他人の目から見て、平穏無事で無難な人生を送りたいなら、こちらの選択が正しいのだと思います。

赤い薬は、『無難な人生』を演じるのが辛い人に与えられた『賭け』なのかもしれませんね。周囲から性別違和を否定されて育ち、無難な人生を送るよう促され、自分ではない別人格を憑依させて生きてきた結果、自分の人生を生きれていない感覚があったんです。もしかすると赤い薬は別人格を私から取り除いてくれる手助けをしてくれるかもしれません。その賭けが当たったら… 赤い薬の役目はそこで終わりなのかもしれません。

地球の年齢は約46億年だと言われてますよね。その中で私の一生なんて、ほんのごく僅かな一瞬の光の点滅にすぎない儚いもの。そして宇宙全体の大きさに比べれば、私なんて存在してないようなもの。だから、唇を噛み締めながら、自分らしさを犠牲にして、誰の目から見ても順風満帆で完璧な人生を生きたとしても、この宇宙のスケール感に比べたら、そんな生き方に意味なんてあるの?って思う…。それよりも、自分らしい色を持った人生を歩んでみたい。いつの日か寿命が来たときには「個性的に生きて自分のカラーを出し切った!」という満足感というお土産を持って、あの世に行きたいなって思ってます。

だから赤い薬を選ぶことにしました。

これからも不安や迷いはきっとあると思います。それでも、自分の選んだ道を進んでいきたいと思います。

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