「考えるための映画エッセイ」イントロダクション
はじめまして。クイズマスターです。今回、誰かに頼まれたわけではありませんが、「考えるための映画エッセイ」と題した連載を始めることになりました。最初の記事ということで、この記事では、自己紹介、連載の理念・目的や開始に至った経緯についてお伝えしようと思います。
自己紹介
まずは、簡単な自己紹介をさせてください。
僕は東京在住の越境大学生(18)です。越境大学生とは、僕が勝手に付けた名前で、ざっくりと言えば、自分の興味関心のために、ありとあらゆる大学を行き来する大学生のことを指します。
基本的には、興味関心のある教授の講義に潜っています。読者の方で東京の大学生がいたとすれば、もしかしたら、あなたの隣に僕が座っているかもしれません。
身分としては、今年から通信制の大学に所属しています。しかし、これは基本的には大学生という肩書きを作るためのものです。とはいえ、形だけじゃなくて、課題とかはちゃんと提出するつもりです、単位取れなくなっちゃうので(笑)
通学制の大学に通うことの良さも承知しているつもりですが、通学制の大学に通わないのには理由があります。詳しくは言いませんが、大学に行くよりも、そこに掛かる時間と費用を別のものに回した方が少なくとも僕にとっては有意義な時間の使い方ができるだろう、と思ったからです。
例えば、先ほど述べた越境大学生という方法も、通学生の大学に通わない分の時間の使い方の一つです。他にも、哲学や社会学を通じて社会の枠組みについての認識を得たり、文芸作品・芸術作品を通じて個人の枠組みについての認識を得たり、そのために必要な諸費用を捻出したりするなどの活動をしています。本連載は、これらの活動の一つの成果として位置付けられています。
ここまでが自己紹介です。何か質問があれば、下記のコメント欄にてコメント頂くか、僕のプロフィールに記載されたメールアドレスにメールを送っていただければと思います。
では、本連載を開始するに際して、連載の理念・目的や開始に至った経緯について僕の考えを示しておこうと思います。
本連載を開始するに至った経緯
すでに語られ尽くされていることではありますが、昨今はメディアの多様化とスマホの普及により、かつてのようなメディアの姿は消え去っています。手元のスマホ一つで情報を発信できる時代では、誰もが容易に情報発信の担い手となることができます。
そんな中で、映画メディアについてもインターネットを中心に多様化しています。プロの書き手による映画批評メディアや、全ての人が書き込めるレビューサイト、個人が開設したブログ等々、様々な形態のメディアが存在します。
しかし、僕は長らくの間、このような映画メディア状況に対する不満を抱いていました。本連載を開始するに至った動機はこの不満に由来します。
映画を知る者なら誰もが知るように、優れた映画体験は、現実への回帰を困難にします。その映画体験を通じて、日常的な認識のフレームが壊されるからです。しかし、その壊された状態を維持し、その意味について考えるということは1人でやるにはとても困難なことです。ましてや、毎日新しい情報を取り入れる必要のある人間にとって、このようなことは意図しなければできないでしょう。
つまり、僕たちは効率的に物事を処理する中で、深く考える必要があります。
にもかかわらず、インターネット上に存在する映画メディアの多くが「映画を見てもらうための記事」と「提供者側が収入を得るための記事」がほとんどを占めてしまっています。
もちろん、これらの記事が無価値だと言いたいのではありません。当然のことながら、僕も見に行く映画を決める際に、映画メディアに掲載された「映画を見てもらうための記事」や、SNS上における著名な映画批評家のコメントやトレンドを参考にしています。また、いくら文化的なものを対象にしているとはいえ、収入がなければ生活することができません。問題は、「映画を通じて深く考える記事」が少数である状況です。
一方で、『キネマ旬報』や『映画秘宝』、『映画芸術』などの古くから続く映画雑誌では、ネタバレ有りの映画批評記事を今でも読むことができます。また、インターネット上でも、『リアルサウンド』や『cinefil』などのwebサイトでも、同様の機能を備えています。
しかし、これらのメディアに掲載された「映画を通じて深く考える記事」の多くが映画的なディティールに彩られてます。あのシーンのこのカットが良いだとか、ナントカ賞を受賞しただとか、過去の作品と比較するだとか、はっきり言ってそんなことはどうでも良いのです。これだと、普段そこまで真剣に映画を通じて物事を考えることのない人たちには近づき難いものになります。
多くの読者が本当に望むものは、映画的なディティールを議論することではなく、自分が見た映画体験をより濃密なものへと昇華させる記事なのです。
連載の目的・理念
したがって、僕が抱える映画メディア状況に対する不満は、映画を通じて深い思考に誘うような批評性とこのような時代状況に即した時代性を兼ね備えたメディアがほとんど存在しないということです。
僕自身、優れた映画体験が煩雑な日常に絡め取られたことが何度もあり、非常に残念な思いをしたことが何度もあります。もし、そんな時に、今しがた述べたようなメディアがあれば、どれほど感激したことでしょう。
このような想いから僕は新たな映画メディアを立ち上げることを決意しました。
具体的には、スキマ時間を利用して手軽に閲覧できるインターネットを通じて、深い思考へと導くような映画メディア・記事を、より良質に、よりコンパクトに提供する映画メディアを立ち上げようと思います。そして、そのことによって、個人的な映画体験をより濃密なものへと昇華させること、これが本連載の主たる理念と目的です。
最後になりましたが、この映画連載は、約1年間を予定しており、毎週一つの作品についての記事を掲載していきます。
それでは、明日以降の更新にご期待ください!!
クイズマスター
noteでのメディア活動は、採算を取れるかどうかに関わらず継続していくつもりです。これからもたくさん記事を掲載していきますので、ご期待下さい。