#35 朝から晩まで、ムンバイでマハラシュトラ郷土料理を食べ尽くす
「若い女性のくるぶしが見えたらそれはエロいのだ」という価値観の人も多いというインドだが、ムンバイにはスカートを履いた女性もちらほらいる。えっそれって、どエロいじゃん。
デリーと比べてムンバイは、歴史的な背景もあってか、かなり西洋的・先進的な雰囲気がある。
リキシャやタクシーは何も言わなくてもメーターを使ってくれるし、身の危険を感じるようなこともない。フォートエリアは小綺麗で日本橋のような雰囲気すらある。
何が言いたいかというと、ムンバイ、結構住みやすいのではないか?空気は汚染されていて、鼻毛めっちゃ伸びるけど。
今回の旅ではSantacruzという駅の近くの、インド人の香りが立ち込める安いドミトリーに泊まっていた。
2000万人近い人口を抱える大商圏のムンバイでは、東京ばりに時間を持たないサラリーマンがいっぱいいて、月曜朝の通勤ラッシュはなかなかすごかった。駅もかなり混んでいる。行き交う人々の表情には影があり、ちょっとインドらしからぬ、余裕のない感じの人々も多い。そんなインドの成長のうねりを目の当たりにする。
そんなムンバイリーマンを尻目に朝から晩までインド料理を食べまくるならどうなるだろうか?
ムンバイではインド中、いや世界中の料理が食べられるのだ(寿司屋もある)。しかし、やはりここはマハラシュトラの郷土料理を攻めるに限るだろう。飯を食いに来たんだから、死ぬときは胃袋を破裂させて死のう。
MisalとPoheのダブルモーニングをキメる
朝食は、地元の人々で大繁盛しているPrakash Shakahari Upahaar Kendraへいこう。ムンバイの朝食の定番メニューはMisal、Pohe、Sabudana khichdi、Kheema Pavあたりが有名だが、相席になったおじさんから強い勧めがあったためMisalとPoheを食べた。
Misalは言ってしまえば、ベビースターラーメンが乗った辛いスプラウトのカレーだ。これをカレーと呼ぶのはかなり違和感があるが。
もともと同じマハラシュトラ州のKolhapurから来た料理らしく、かなりスパイシーな感じに仕上がっている。Usalというスプラウトのどろっとしたカレーに赤いスパイシーなグレイビーをかけ、上に玉ねぎ、コリアンダーリーフ、レモン、ひよこ豆の粉でできたスナックをトッピングする。店によってバリエーションがたくさんあるのでこれは単なる一例。
そしてど定番の軽食メニューはPohe。潰して干したコメにジャガイモ、ナッツ、コリアンダーリーフなどを入れて炒めたもの。しっとりしていて、香ばしい香りがおいしい。ネパール料理で食べるチウラ(ライスフレーク)があらかじめ調理されてしっとりしているようなイメージ。
ムンバイのサラリーマンなら、出勤前にこんな朝食を食べるのかもしれない。机汚いけど美味しい。
ランチは軽めにPithla Bhaji Bharkri
ランチに行くならAaswadへ。ひよこ豆の粉でできたシチュー状のPithla(Besan Ki Sabzi )と、なすのBhajiのコンボミールでさくっと。
Pithlaはもともとは貧しい農村の料理だったのが、美味しさと手軽さゆえに、次第に州全体に広まっていったと言うのが定説。
ドライタイプのものはZunkaと呼ばれる。Bhakriはモロコシ(とうもろこしではない)やヒエなどの穀物を使ったパンで、チャパティみたいに捏ねて薄く焼いたもの。簡素な食事という感じだが、バターや辛味ペーストなど、適度に脂肪分や辛味があって満足感がある。
ディナーはマハラシュトラ家庭料理ターリー
空港の近くに、マハラシュトラのちょっと特別な料理を出すお店がある。その名もMe Marathi。
12時の方向から時計回りになすのBhaji、Zunka、じゃがいもとカリフラワーのRassa(汁っぽい料理)、ダル。中心にそびえ立つマサレバートはビリヤニともプラオとも違うスパイス炊き込みご飯で、結婚式やお祝いの時など特別なタイミングでのみ供される。
Zunkaは昼間食べたPithaleのドライバージョンで、玉ねぎとヒングが効いている。なすのBhajiも、チャパティとバクリが進む美味しさ。ラッシー的なヨーグルトドリンクはチャスと呼ばれ、甘くないので食事と共に飲むといい感じである。
これらは家庭料理だったり宴会料理だったりで、普通お店では出していないものらしい。マサラにも入れるしトッピングしてるし、マハラシュトラ料理はココナッツミルクではなくて削ったココナッツを多用している。
Zunkaのレシピは以前まとめた。でもお店で食べるよりみんなで作って食べたほうが美味しかったな。
おわりに
マハラシュトラ料理は想像以上に面白い。特徴的なのは辛味と大量のニンニク、そしてココナッツ。
スパイスに関して言えば、ガラムマサラのようなミックススパイスにココナッツを加えた「Godaマサラ」と、玉ねぎとニンニクの辛味ミックスパウダー「カンダラッスンマサラ」というのをいろいろな料理に使っていたりする。
同じ場所に再来すると、以前ムンバイに来たときには見えなかった風景が見えるようになったことに気づく。こうやって自分の中の「カレー」の概念の解像度が上がったことに気づくと、どんどん楽しくなってくるのだ。
旅日記のつもりがレポート風になってしまった。旅行中は更新頻度上げていきます。