パレート最適とiPS細胞
正常な細胞はシャーレ上で培養すると一層の膜になったところで増殖を停止する。
この状態はまさしくパレート最適な状態である。
人材は消費するものであって、浪費することは許されない。
一方、がん細胞はシャーレ上で培養すると、一層の膜になった後も増殖を続ける。
がん細胞を特徴づけるのは、無尽蔵の増殖と特定の機能を持たないことである。貪食や毒素の生成は行わない。
世界がどういうものかと言えば、複数ある可能性のうち特定のものに限定される散逸構造である。しかし、世界がどうあるべきかと言えば、無限の可能性を保持したソリトン構造である。
それはまさしく、iPS細胞のような状態である。
どうすればその状態に至るかと言えば、がん細胞と同様、c-Mycを導入すること、つまり、重複を許すことである。
人材を消費するのではなく、浪費することを許すのである。
どうやってそれを実現するかと言えば、事業仕分けによって、公的に必要とされる分野、言わば、社会的固定費用とでも言うべきものを、個人的な好みに左右されるような分野、言わば、社会的変動費用とでも言うべきものから分離し、その部分に重複を生み出すのである。