紙 VS 電子書籍。紙の利点を再発掘
電子書籍派だけど、やっぱり紙の本の魅力も感じる理由
基本的に私は電子書籍で読書するのが好きです。いつでもどこでも読めて、本棚を圧迫することもないし、端末一つに何冊もの本を持ち歩ける便利さは、日々の生活の中でとても大きなメリットです。
私が若い頃は、紙の本しかありませんでした。その際には、部屋には本があふれ、本棚だけでなく、クローゼットや床にまで本が散乱して、文字通り足の踏み場もないほどになりました。何でそうなるかというと、佐藤優さんの「超速読」(5分で読む本を選ぶ)や宇都出さんの「高速大量回転法」を試していたためです。休日は、まず書店で気になった本を20~30冊ほど買って、家に帰ってから1冊5~15分で、その本を読むかどうかの判定をしていました。そのせいで、本が溢れていたわけです。現状は、ここまでやる必要はないですが、今でもかなりの本を買っています。読了までいったものだけをXに投稿していますが、それ以上にかなりの冊数を並行して読んだり、途中でつまらなくて中断したりしています。
そんな苦い経験があるからこそ、電子書籍の登場は私にとって画期的であり、革命的な便利さを感じたのです。とはいえ、電子書籍で満足している一方で、紙の本には改めてメリットがあると感じ始めました。電子書籍が効率の良さを叶えてくれる一方で、紙の本による身体的な実感や、一つの物として手にとる感覚を伴うため、記憶や感覚に深く刻まれるように思います。
読み返しや深い読書には「紙の本」が最適
まず、電子書籍は初読には最適です。気軽にアンダーラインを引いたり、メモを残したりして、必要な情報を効率よく記録できます。また、即座に買えて即座に読むことができます。例えば、2、3冊を並行して読むときも、電子書籍なら端末一つで簡単に切り替えられるし、気になるところをすぐに検索できるのも便利です。これが紙の本だと、物理的に持ち運ぶ手間がある上に、いざ内容を思い出したいとき、見返すのも手間がかかります。だからこそ、電子書籍があれば、どこでもサッと本の内容にアクセスできるのがとても助かります。
しかし、「繰り返し読んで深く理解したい」「とっておきたい本」になると、やはり紙の本が役立つように思えてきました。紙の本はページを手でめくることで、何度もページを行き来しやすく、ある箇所を読みながら関連する箇所をすぐに探して、記憶の中に位置づける作業がとても自然にできます。大体この辺りに書いてあったはずなんだけど、そういった部分は電子書籍ではアクセスしづらいです。そのため、私は、紙の本を「使い込む」ことで、自分にとっての知識の一部にしていける感覚が得られると感じます。
電子書籍の効率と紙の本の「使い込む」価値
電子書籍は初めて読む本や、新しい知識に触れるには理想的な媒体ですが、本当に心に残ったものを読み返す時には手元に紙の形で置いておくと良いかもしれません。例えば、気に入った本を再度紙で購入し、そこに手書きのメモを書き込んでいく作業は、ただ情報を得るだけではなく、知識を体験として自分に取り込んでいく感覚に近いものがあります。時にはページを折り曲げたり、付箋を貼り付けたりしながら読み進めることで、その本が「自分だけの本」になっていきます。
また、紙の本を読み返していくと、手書きで残したメモやラインが目に入り、以前の自分の思考の跡を振り返ることができます。自分が感じたことや考えたことが蓄積され、本とともに自分も成長していると実感できるのも紙の本の魅力です。電子書籍でもメモは残せますが、手間ではあります。沢山メモを書く方はタブレットなどだとやりやすいかもしれませんが。
紙の本と電子書籍、どちらも選べるからこそ
今、紙と電子書籍のどちらも使い分けられる時代だからこそ、それぞれの良さを知り、適した場面で活用できるのは贅沢なことです。どちらか一方だけではなく、電子書籍の効率性と紙の本の豊かさの双方を選び取ることが、読書体験をさらに深める鍵だと感じています。日常的には電子書籍でさっと読んでいきつつ、何度も読み返したくなるような本には紙の本を選ぶ。そんな使い分けが、私にとって一番理想的な読書スタイルなのかもしれません。
本との関わり方が多様であるからこそ、読書はただの情報収集にとどまらず、自分を深める行為へと変わります。紙と電子書籍を使い分けることは、読書だけでなく、生き方や考え方にも柔軟な視点をもたらしてくれると感じています。
このことを考えたきっかけは、とんでもなく厚くて難しい本の存在です。こういった本は、電子書籍だと太刀打ちしづらく、ペラペラ雑誌のようにめくるのも難しいです(前述した超速読もできない)。そのため、時間をかけて何度も何度も読み返すタイプの本は、紙の