ネトゲが教えてくれた仕事と人生の攻略法
はじめに——オンラインゲームで学んだことはリアルに活きる
オンラインゲーム(以下、ネトゲ)と現実世界はまったく別物のように見えます。しかし、私があるネトゲで新キャラクターの最速レベルカンスト(最大レベル到達)を何度か達成した経験を振り返ると、そこには仕事や人生に応用できる多くの要素が詰まっていると感じます。ネトゲは「誰かが作ったゲーム」の上での出来事にすぎないと言えばそれまでですが、実際に取り組んでみると、リアル世界に通じる学びやヒントが見えてきます。
新キャラクター最速カンスト——効率化と事前準備の重要性
ゲーム内で新キャラクターが実装される日、私は会社の有給を使い、実装当日からタイムスケジュールを組んで“最速レベル到達”を狙っていました。これは一日で終わるわけではなく、長時間のプレイを要するため、睡眠も含めた休憩を含めた計画を立てなければ体力も集中力も持ちません。しかも、キャラクターのスペックは同条件ゆえ、差がつくのはプレイヤーの知識や戦略、行動速度にかかっています。
たとえば、新キャラ実装前に過去のデータを分析し、「どのクエストが最も効率的に経験値を稼げるか」「課金要素で買っておくと便利なアイテムは何か」をリストアップします。そして、休日を使って数時間刻みのスケジュールを組み、「ここで食事、ここで仮眠」といった休憩も明確にしておくことで、無駄を最小限に抑えました。これはまさに、プロジェクト管理やタスク割り振りの考え方にも通じるところがあると感じます。
ゲームの場合、新キャラの詳細は事前に公表されることもあれば、リーク情報や過去の似た職業の性能を推測して戦略を立てるしかないこともあります。どれだけハッキリとした解答がないなかで推測し、準備を進め、実装当日に手際よく動けるかが勝負の鍵になります。
私自身、Spreadsheetにマクロを組んで、レベル上げの状況やアイテムの必要数などを入力すると、シミュレーションとのズレを自動で確認できる仕組みを作りました。いわば「ネトゲ版ガントチャート」や「タスク管理ツール」です。これにより、次にすべきクエストや採取ポイントが把握でき、想定より遅れれば即座に軌道修正することが可能になります。
競合を把握する——順位を気にしすぎず焦点を定める
ネトゲの世界には他のプレイヤーも大勢います。新キャラ実装時には同じように最速カンストを狙う人がいるかもしれない。2位のプレイヤーがどの程度の速度で追ってくるか、何時間で周回を切り上げるのか、といった情報に敏感になることで、戦略を微調整できます。
一晩中レベル上げを続けるのが得策なのか、逆に短い休憩を挟んで集中力を回復するほうが結果的に早いのか。競合が睡眠をとるタイミングを見計らって、一気に差を広げる手もあるかもしれません。この「他者との相対的な状況分析」は、仕事でも「競合企業がどのくらいのペースで新サービスをリリースしてくるか」を把握し、自社のリソース配分を検討するのに通じる考え方です。
ゲームの考え方を仕事へ——楽しみを見出す
「ビジネスはゲームと違って目的やルールが複雑すぎる」と思うかもしれません。しかし、もしゲームの「攻略する楽しさ」を仕事にも適用できれば、成長や結果を得るまでのプロセスを前向きに捉えられます。例えば、新規プロジェクトの立ち上げをゲームのように攻略手順化してみる、営業目標をレベル上げに見立ててみる、などが考えられます。
「自分はゲームだけ異様にうまいだけ」と思っていたとしても、戦略や分析力、他人より一歩先を行くための工夫などは、十分に仕事へ応用可能です。優れたゲーマーは情報収集と実践のサイクルが速く、環境変化にアジャイルに対応できる人も多いです。そうした強みを活かすには、「どうゲーム化するか」が重要です。プロジェクトのモチベーションを上げるために得点制度を導入したり、進捗をビジュアル化したりすれば、メンバー全員が楽しみながら進められるかもしれません。
ネトゲと現実の最大の違いは、現実世界では「ルールを変える側」に回ることも可能だという点です。ゲーム内では運営が決めたルールに従うしかありませんが、現実の仕事ではフレームワークや仕組みそのものを自分で提案・導入できることがあります。つまり、「このやり方でしか動きません」と固定された方法に縛られず、自分が使いやすいシステムやツールを採用したり、ルーティンを再設計したりと、環境を変える権利があるのです。
たとえば、紙ベースの書類管理が当たり前の職場で「クラウドツールを使いませんか?」と提案し、業務フローを大幅に効率化することは、ゲームでいえば「ルール改変」に近い行為です。他のプレイヤー(同僚)も巻き込みながら、新しいルールを作ってしまえば、そこでこそ真価を発揮できるかもしれません。
まとめ——ネトゲで学んだ本質は「攻略」という考え方
ネトゲで新キャラを最速カンストさせるという体験は、単に「ゲームがうまい」だけで終わらない学びを提供してくれます。事前準備、分析、シミュレーション、他プレイヤーとの比較など、多くの要素が実は仕事でも通用する考え方であると気づいたからです。
そして、最も大きな気づきは「ゲームをどのように攻略していくのか、その楽しみ方をいかに現実に応用するか」という発想を持てること。現実はゲームより複雑ですが、そのぶん私たち自身がルールを変えたり、仕組みを作ったりできる可能性が広がっています。「好きでやっていること」を仕事に活かすことは、モチベーションと成果を結びつけるうえで強力な武器になるでしょう。