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【Phidias Trio vol.7】曲目紹介: 松平頼暁《秋山邦晴のためのメモリアル》

2022年11月12日のPhidias Trio 定期公演「Phidias Trio vol.7 "Live on…"」、いよいよ今週となりました!
7回目の定期公演となる今回は、今を生きる、日本人作曲家の作品を集めたプログラムです。今井智景、牛島安希子、北爪道夫、松平頼暁、森紀明、森田泰之進、渡辺俊哉各氏の楽曲を演奏します。チケットご予約もまだまだ受付中です。(以下のリンクからご購入いただけます。)

公演に向けて、このnoteでは演奏作品についての紹介をしています。今回は松平頼暁さんのピアノ曲、《秋山邦晴のためのメモリアル》です。

秋山邦晴(1929-1996)は音楽評論や作曲など幅広い分野で活動し、武満徹らとともに「実験工房」に参加しました。この作品《秋山邦晴のためのメモリアル》は、秋山邦晴氏の没後、一周忌に行われた演奏会にて初演されました。
その際に書かれた、作曲者による曲目解説を引用します。

Ravelの方法に準じて、KUNIHARU AKIYAMAの名前を音名で提示。続いてRequiem、葬送、別れ、悲愴などの表題を持った古典的な作品の断片によって、KUNIHARU AKIYAMAの名前をモールス信号で提示。さらに速いアルペジオでU音からスタートする音列の移高形を提示。以後、音列はN, I, H, A, R, Y, Mと7回移高されるが、リズム列は歪みながらも保たれる。最後の移高形では今世紀(注1)
の作品が引用される。そして、リズム列を伴った原形に戻って終わる。全体の形はほぼ対称形である。
(この作品はコンサート(注2)とは関係なく構想した極めて個人的なメッセージである。)

松平頼暁

注1 今世紀=作曲当時の20世紀。
注2 秋山邦晴氏の一周忌に行なわれた「本日休演/秋山邦晴」のコンサート。


この解説でも述べられている通り、作品全体が徹底して、システマチックに作曲されています。全ての音に必然性があり、静けさの中にも確固たる強度を感じさせる音楽です。選び抜かれた一つ一つの音の持つ存在感と、その一音の向こうに感じさせる深い世界に惹きつけられます。集中力を研ぎ澄まし、音と対峙すればするほどに、新たな発見のある作品です。

松平頼暁 プロフィール
1931年、東京に生まれる。作曲、ピアノを独学。1957〜60年、総音列主義によって作曲。次の6年間、不確定性に関心を持つ。1967〜76年、ロバート・ラウシェンバーグの言うコンバインド・アートに触発され、新しい引用音楽を始める。1976年以後、旋法による作曲を初め、1982年、その延長としてピッチ・インターヴァル技法を開発。1958、67、69、72、75、84、87、91、93、2009年、国際現代音楽協会(ISCM)主催の音楽祭に入選。1990年、第3回 K.セロツキ国際作曲家コンペティションでメック出版社特別賞を受ける。2001年、ISCM日本支部委員長として「ISCM 世界音楽の日々イン横浜」を主催。2008年、武満徹に続き日本で二人目のISCM名誉会員となる。立教大学名誉教授(生物物理)。理学博士。

公演詳細
Phidias Trio vol.7 "Live on…"

2022年11月12日(土)
15:00開演(14:30開場)
KMアートホール (渋谷区幡ヶ谷1-23-20 京王新線幡ヶ谷駅より徒歩6分)

一般3,000円 / 学生2,000円(当日券は各500円増し)

プログラム
森田泰之進:Soaring in Circles (ReincarnatiOn Ring V-a) (2021) 舞台初演
牛島安希子:浮遊都市 I (2022・委嘱新作) 初演
松平頼暁:秋山邦晴のためのメモリアル (1997)
北爪道夫:トリプレッツ (1999)
渡辺俊哉:あわいの色彩 I (2017)
今井智景:Weaving (織成) (2018)
森紀明:Warum ist das Fragen sinnlos? (2018)
※プログラムが当初の予定より変更になりました。

演奏家の役割のひとつが、楽譜を手掛かりにさまざまな解釈を導き出すことだとすれば、作曲家との直接的なディスカッションは、極めて有意義なもの。演奏は常にアップデートされ、作品は生き続けていく。今回フィディアス・トリオがご紹介するのは、いずれも作曲家との濃密な共同作業を経た、7つの作品。今井智景、牛島安希子、北爪道夫、松平頼暁、森紀明、森田泰之進、渡辺俊哉ら、個性派揃いの作曲家達のユニークな楽曲を演奏する。いま聴きたい、そして後世に残していきたい音楽が体感できる、刺激的な二時間。

チケット購入
https://phidias-vol7.peatix.com/

お問合せ
phidias.trio@gmail.com

主催:Phidias Trio
文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業


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