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商店街ゲートのある風景
以前、商店街の旗に注目した記事を公開した。力を入れて書いた割にはあまり人気がなかったが、めげずに今回も商店街を取り上げたい。今度は商店街の入り口に立っているゲートのような構造物にスポットを当ててみよう。
(商店街の旗の記事はこちら↓ 先に読むと今回の記事をより楽しめるかも!)
さて、商店街の入り口に立っているゲートとは下の画像のような物体のことだ。そういえばこういう物を見たことがあるという人も多いのではないだろうか。
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この巣鴨地蔵通り商店街のゲートは個性的でおめでたい感じの造形だが、他の商店街ではどのようなゲートが建てられているのか。筆者が今までに撮影したいろいろな商店街ゲートを見ていこう。
まずは、宣伝を兼ねて以前の商店街の旗の記事で取り上げた場所のゲートを紹介しよう。
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一口に商店街ゲートといってもそのデザインはさまざまだ。どのゲートも周囲の風景とよく合っていて、なんとも言えない魅力がある。今風に言うとエモい。バーっとスクロールしてしまった人は、もう一度上に戻って一青窈のハナミズキとか、エレファントカシマシの今宵の月のようにとか、スピッツの空も飛べるはずとかを聴きながらじっくり見てみてください。まるで一本の映画を見終わったかのような感動を味わえるはずです。
さて、もう少しよくゲートを観察してみよう。それぞれ個性的に見える商店街ゲートだが、複数のゲートに共通する特徴を挙げてみたい。
まず戸越銀座のものと尾久銀座のものは横長の旗が取り付けられている点が共通していた。このようなタイプものは他の商店街ゲートでも時々見かける。
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旗はゲート本体よりもデザインの融通が効く。時期ごとに取り替えることも可能なため、一時的な告知や変更する可能性がある事柄の記載に向いている。
次は時計がついているタイプのゲートを見よう。すでに紹介したものでは戸越公園通り商店街のものが該当していた。
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時計がついているゲートはそれなりの頻度で見かける。これは毎朝通勤や通学でこの道を通る人にはかなり便利だろう。ただ、たまに全然違う時間を差している場合があるので注意が必要だ。
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さつき通り商店街のゲートには旗も時計もくっついていた。この景色、ずっと見ているとどこか日本じゃない場所のような感じがしてくる。東京の真ん中を走る山手線の駅がある街なのに。
凝ったデザインのものだけが良いゲートというわけではない。シンプルなものも心に染みる良さがある。
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めちゃくちゃいい。本当に。むしろシンプルなデザインの方が私は好きかもしれない。構造や予算などの制約がある中で、色や形や文字のフォントを工夫してオリジナリティを生み出そうとしているところが商店街ゲートの大きな魅力なのだと思う。そうしてできたものが道の上に突然現れるというところも重要なポイントだ。
しかし、こうして改めて並べて見てみると、商店街ゲートが単なる個々の現象ではなく一つの文化として存在していることが確認できる。もしかしたら未来の人類は今の日本の文化を商店街ゲート文化と呼び、この時代を商店街ゲート時代と名づけるかもしれない。そして「日本の商店街ゲート群」が、この時代を象徴する物として世界遺産に登録される日が来るかもしれない。
ただ、残念ながら世の中は永久不変ではない。上に紹介した大城通り商店街のゲートは、最初に見つけた時にその素朴な佇まいに感動し、それ以来お気に入りのゲートだった。この写真は2023年の10月に撮影したものだ。
2024年11月、近くに来る機会があったついでにこの場所を見に行って、愕然とした。何もなくなっていた。
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右側の電柱につけられた歯医者の広告、左側のカーブミラーとその下の看板、駐車禁止の表示、横断歩道、コンビニ。全て同じなのに、あのゲートだけが無い。突然だった。あんなに素晴らしいゲートだったのに、もう二度と見ることはできない。こんなことなら、もっとよく見ておくべきだった。
かつて商店街ゲートが存在していたのに今はもうないというのはこの場所に限った話ではないようだ。ゲートが老朽化して危険だとか、維持費がかかるとか、商店街を維持できないとか、撤去に至る理由は色々あるだろう。それでも、この素晴らしい商店街ゲート文化がこのまま消えていくのはとても勿体無いことだと思う。現代を生きている多くの人やこれからの時代を生きていく人にも商店街ゲートの魅力を味わってほしい。今回の記事はそんな思いで書きました。
写真もいいですが、本物の商店街ゲートを見に行ってみませんか。ゲートを潜って街を歩いてみませんか。街の空気や音を感じてみませんか。まだ間に合いますよ。
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