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武田薬品、EMAがmaribavirの承認推奨-サイトメガロウイルス(CMV)感染症で

武田薬品工業は2022年9月20日、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、造血幹細胞移植(HSCT) か固形臓器移植(SOT)後の、既存療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、シドフォビル、ホスカルネットのいずれか1つ以上の前治療)に抵抗性(抵抗性無しも含む)を示す難治性のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症の成人患者を対象とした治療薬として、maribavirの承認を推奨したと発表した。

欧州委員会(EC)は今回のCHMPの肯定的見解を検討し、今後数ヵ月間に販売承認の判断をする。承認されれば、maribavirは欧州連合(EU)で同適応の初のCMV特異的UL97プロテインキナーゼ阻害薬となる見込み。

今回のCHMPの肯定的見解は、抵抗性(抵抗性無しも含む)を示す難治性のCMV感染患者の治療薬として従来の抗ウイルス療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビルのいずれか1つ以上の治療)に対するmaribavirの安全性と有効性が評価されたSOLSTICE試験に基づくもの。

CMVは移植後の患者が経験する最もよくみられる感染症のひとつ。世界での推定発現率はSOT後の患者で16~56%。HSCT後の患者で30~70%と推定される。2019年に欧州と近隣諸国では、3万4000件超のSOT7、4万8000件超のHSCT8が実施された。

【SOLSTICE試験】
TAK-620-303(SOLSTICE)試験(NCT02931539, EudraCT 2015-004725-13)は、従来の抗ウイルス療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビルのいずれか1つかその併用)に抵抗性(無しも含む)を示す難治性の造血幹細胞移植か固形臓器移植の両移植後のCMV感染患者352人が対象。 maribavirか従来の抗ウイルス療法の有効性と安全性を評価するためのグローバル、多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、優越性試験。 
2週間のスクリーニング期間後に、成人患者にmaribavir400 mgを1日2回投与(n=235)か、医師の投与による従来の抗ウイルス療法(n=117)のいずれかに2:1で無作為に割り付けし、最長8週間の治療期間の後、さらに12週間フォローアップした。

同臨床試験の有効性主要評価項目は、少なくとも5日の間隔をあけ、連続した2つのサンプルのCMVのDNA濃度が定量検出限界(LLOQ)以下(8週時にCOBAS AmpliPrep/COBAS TaqMan CMVで測定したCMVのDNA濃度が137 IU/mL未満)だったことの確認。主な副次評価項目は投与8週間終了時のCMVのDNA濃度がLLOQ以下かつCMV感染の症状がコントロールされている状態。治療効果は16週目まで維持された。

【maribavir】
経口投与可能な抗CMV化合物のmaribavirはpUL97プロテインキナーゼとその天然基質を標的として阻害する最初で唯一の抗ウイルス剤。
2021年11月、maribavirは、移植後の成人患者と小児患者(12歳以上で体重が35 kg以上)の既存の抗ウイルス療法であるガンシクロビル、バルガンシクロビル、シドフォビルまたはホスカルネットに対して遺伝子型抵抗性(無しも含む)を示す難治性のCMV感染/感染症治療薬として米国食品医薬品局(FDA)により製品名「LIVTENCITYTM」として承認された。欧州委員会の最終判断待ちに加え、他の世界各国の保健当局への申請が進行中。

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