第8章: 反撃の狼煙 Blockchainの力
カズマたちデータガーディアンズは、新たなデータ不整合の謎を解くべく動き出していた。データ重複や転送ミスの問題を追う中で、データ移行の段階で不審な改ざんが行われている兆候がみられた。さらに、そのタイミングで送信されたデータが元の値と一致せず、データの信頼性が疑われる状況となっていた。
「データが転送中に改ざんされた可能性があるけれど、確実な証拠がない。」
ハルカは不安そうにデータを見つめていた。
カズマは、ふとあるアイデアを思いついた。
「Blockchain技術を使えば、データが正確に転送されることを保証できる。もし転送が改ざんされたなら、Blockchainが記録したデータと一致しないから、即座に異常が分かるはずだ。」
「そうか、ビットコインで使われているBlockchain技術だね。それならたしかに、転送の正確さを保証できる。」
リョウも頷き、すぐにチームに指示を出した。
「これで、転送プロセスの保証が可能だ。」
今回の課題はチーム全員で取り組むことが必要とされていた。システム管理とデータ転送の技術に精通しているエリカは、Blockchainを導入した転送システムを設計し、ログの記録を一元化する方法を提案した。
「このシステムなら、転送のタイミングごとにデータが一貫性を保っているか、確認できるようになるわ。データが転送されるたびにBlockchainで記録されるから、間違いがあればすぐに分かる。」
エリカが具体的な指示を出し、他のメンバーたちが早速システム構築に入った。
Blockchainを基盤にした新システムが導入されると、カズマたちはさらなる調査に取り掛かった。数日間にわたる徹底的な監視の結果、ある特定の時間帯に不正なデータの改ざんが発生していることが確認された。しかも、その時間帯には社内の誰もログインしていないはずだった。
「誰が…こんな操作を?」
ハルカがつぶやいた。
「おかしい、こんな操作は誰にもできないはずだ。」
リョウは眉をひそめた。彼らは次第に、以前ヤマダが行っていた不正アクセスとは異なる技術を使った新たな手法で、データが操作されていることを感じ取った。
さらにエリカがログを解析していくと、見覚えのあるIPアドレスがいくつか記録されていることに気がついた。それは、以前の治験で問題が発覚した際に使用されていたIPアドレスと一致していた。
「やはり、これは内部からではない。外部からの何らかの操作がある。」
エリカは言った。
新しいBlockchain技術を導入したシステムによって、今後転送されるデータの正確性をリアルタイムに検知することに成功した。データを転送するたびにBlockchain上で元データとの照合を行い、改ざんを即座に知らせる仕組みだ。
ある日の夜、そのシステムが突然警告を発した。とある患者のデータが転送された直後に、その内容の一部が変更されていたのだ。しかし、Blockchainの記録によって、その改ざんがすぐに検出された。
「見て、転送直後のデータが変更されている!」
タカが緊張した声で叫んだ。
「Blockchainのログと転送データが一致していない。」
「これで証拠が揃った。誰かが意図的にデータを改ざんしようとした痕跡だ。」
カズマはディスプレイを見つめ、黒幕との戦いが近いことを感じていた。
「これは単なる外部からの攻撃じゃない。内部にも協力者がいる可能性がある。」
リョウが言った。
「次は、この内部の協力者が誰なのか、徹底的に調べる必要があるわね。」
エリカも頷いた。
カズマたちデータガーディアンズは、このBlockchainを武器にして、徐々に黒幕に近づいていった。
コラム: Blockchainによるデータ転送の信頼性
Blockchain技術は、ビットコインをはじめとする分散型システムでのデータの信頼性を担保する方法として広く活用されています。転送が行われるたびに記録が行われるため、すべての履歴が確実に保存され、改ざんや異常な変更がすぐに検出できます。医薬品開発のデータ管理においても、Blockchainを用いることでデータ転送の正確性が保証され、結果の信頼性が向上します。