
OKRの第一歩:ミッションを決める
OKR(Objectives and Key Results)というフレームワークは、組織やチームが目標を設定し、それを達成するための指標を定めるための強力なツールです。
しかし、その成功の鍵となるのは、明確で野心的なミッションです。なぜなら、OKRを通じて追求する価値観や目的は、ミッションを達成するためにあるからです。
あなたの部門のミッションを決める
もしあなたが一部門の長だとしたら、以下の問いを部員全員で考え、キーワードを出し合うワークショップを開催することをお勧めします。このプロセスを踏むことで部門の方向性が定まり、全員が共通の目標に向かって進むための基盤が築かれます。
もしあなたがプロジェクトリーダーだったら、プロジェクトメンバーとともに部門ミッションに紐づいたプロジェクトミッションを作りましょう。
顧客は誰か
まず、あなたの部門の顧客が誰であるかを特定します。
顧客とは、あなたの部門やチームが価値を提供する相手です。
これには、内部顧客(他の部門や社員)、外部顧客(商品やサービスを購入するユーザー)はもちろんのこと、会社そのものも含まれます。
もしあなたがITサポート緒部門に所属しているとしたら、内部顧客は他の社員や部門です。外部顧客は、会社の製品を利用しているユーザーが該当します。
さらにあなたの会社の製品が販売にあたり承認申請を必要とするものであった場合、許認可を審査する審査担当者も顧客になります。
顧客は何を求めているか
次に、顧客があなたの部門に何を求めているのかを深掘りしましょう。
顧客の期待やニーズを理解することで、どのような価値を提供すべきかが見えてきます。
この段階では、顧客からのフィードバックや市場調査を活用するのも効果的です。
ITサポート部門の顧客である従業員は、迅速で効果的な技術サポートを求めています。
一方、製品ユーザーは使いやすさやトラブル時の迅速な対応を期待しています。
規制当局は、品質管理体制や品質検査が適切であることを証明する記録を確認できることを期待しています。
部門が提供できるものは何か
最後に、あなたの部門が顧客に対して提供できるものを考えます。これは製品やサービス、サポート、または特定の専門知識など、顧客が真に価値を感じるものです。
部門の強みや独自性を明確にし、顧客にとっての価値提案を定義します。
ITサポート部門は、迅速なトラブルシューティング、専門的な技術知識、そして新しい技術の導入支援を提供することで、内部顧客の業務効率を向上させることができます。
キーワードの出し合いとミッションの構築
これらの問いに対する答えを基に、部員全員でキーワードを出し切りましょう。その中から共通するテーマや中心となるコンセプトなどを見つけ出し、それを紡ぎ合わせて熱いミッションステートメントを作成します。このミッションは、部門の全ての活動の指針となるものであり、社員一人ひとりが自分の仕事に意味を見出す助けとなります。
テンプレートとしては、
「私たち〇〇部門は、〇〇を通じて〇〇に貢献します。」
という形がよいでしょう。
ITサポート部門の場合、出てきたキーワードが「迅速」「信頼」「革新」であれば、「私たちは迅速で信頼性の高い技術サポートを通じて、社員の革新的な働き方に貢献します」というミッションステートメントを作成できます。
会社のVisionやMissionとの紐づけ
自分たちのミッションを策定する際には、会社全体のVisionやMissionと整合性を取らなければいけません。
これにより、自部門が会社の戦略的目標にどのように貢献できるかが明確になります。
最終的にはメンバー全員が、自分たちの働きがどのように組織に貢献するのかを腹落ちするようになります。
会社のVisionが「世界中の人々に革新的なテクノロジーを提供する」であれば、ITサポート部門のミッションもその一部として「革新」という要素を取り入れるべきです。
ミッションを決めるプロセスは、OKRの導入前に行うべき重要なステップです。ただし、単にミッションを決めようといっても当たり障りのないものにしかなりません。そこで、顧客が誰で、その顧客がなにを求めており、そのために自分たちは何を提供できるか、これを考えることで自然とキーワードが明確になってきます。
このプロセスを通じて、部門全体が一体感を持ち、共通のビジョンに向かって進むことができるようになるでしょう。