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「専門職時代」から「統合職時代」へ⑦:顧客関係
「お客様との関係をどう築くか」 はビジネスの永遠のテーマです。商品やサービスがいくら素晴らしくても、顧客との関係が築けていなければ、商品価値はないも同然です。
「顧客関係」というと、ついマーケティングや営業だけに目がいきがちですが、本質はもっと広く、
「顧客にどんな価値を感じてもらい、どんな体験をしてもらいたいのか」
という、経営の根本的な部分なのです。
顧客関係とは?
ビジネスモデルキャンバスにおける「顧客関係」は、企業と顧客がどのように関わり合い、価値を共有していくかを表す要素です。
単なる単発の取引ではなく、
「顧客と企業がパートナーのような存在になる」
ことを目指します。
現代の顧客は、ただ商品を買うだけでは満足しません。購入後のフォローアップやブランドとしてのストーリーへの共感、さらには自分の意見が反映されるプロセスなどを求めています。
顧客関係の形、いろいろ
顧客との関係性は、一つだけではありません。ビジネスの性質や対象顧客によって、選ぶべきアプローチも変わります。具体的には以下のようなものあがあります:
1. パーソナライズされたサポート
個々の顧客に合わせた丁寧な対応を提供する方法。たとえば、 「コンシェルジュサービス」 のように、顧客の状況やニーズにあわせた細やかな対応が求められる場面です。
2. 自己完結型のセルフサービス
忙しい現代人には、自分のペースでサービスを利用したいニーズも。便利なセルフサービスの仕組みは、多くの顧客に支持されます。
たとえば、ECサイトのFAQやAIチャットボットがこれに当たります。
3. 顧客参加型の共同創造
顧客が商品開発やサービス設計に関わる方法。顧客にとって、自分が関与した商品がリリースされる体験は格別です。
身近な例では、クラウドファンディングで支援者の声を反映し、製品化した例があります。
4. ブランドコミュニティの活用
顧客同士がつながる場を提供することも、顧客関係を深める有効な方法です。コミュニティ内での交流や情報共有は、企業への信頼感を高めます。
たとえば、 アウトドアブランドが主催するキャンプイベント のようなものです。
顧客関係を進化させるために
では、具体的にどのように顧客関係を進化させていけばよいのでしょうか?シンプルな3ステップで考えてみましょう。
1. 顧客の声を「聞く」
アンケートやレビューはもちろん、SNSの投稿やコメントにも耳を傾けましょう。顧客のリアルな声を拾い上げることが、関係づくりの第一歩です。テキストマイニングも効果的です。
2. 信頼を「育てる」
どんなに小さなことでも、期待を上回る対応を心がけます。迅速な返答や、ちょっとした気配りが積み重なると、顧客との信頼関係が深まります。
3. つながりを「保つ」
一度関係を築いたら、それを途切れさせない努力が必要です。ニュースレターやイベント招待など、顧客を大切にしていることを伝えるアクションを定期的に行いましょう。
顧客関係の未来
AIやデータ分析の進化によって、顧客関係の構築がより精緻にできるようになってきています。これらの技術を使った個別化サービスは、これからのビジネスで欠かせない要素となるでしょう。
また、現代は顧客と祖方向に関わる時代でもあります。単なる消費者ではなく、サービスの共同クリエイター、ブランドのアンバサダーとしての役割も期待できます。
まとめ
顧客関係の本質は、取引ではなく 「共感」 と 「信頼」 にあります。顧客と一緒に歩む姿勢を持つことで、短期的な利益だけでなく、長期的な成長を実現できます。
次回は、「収益の流れ」について探っていきます。