薬物乱用性頭痛を防ぐにはトリプタン使用量をどこまで抑えるべき?
上記は、NDBを用いたPMDAによる疫学調査結果を、ファイザー株式会社がまとめたもの。
この報告によると、確実な乱用患者は0.79%に過ぎないが、乱用「疑い」を含めると、4.95%・・・20人に一人くらいは乱用性頭痛なのでは?という結果。
服用頻度だが、上記の定義を解読すると、
1ヶ月あたり10回もしくは10日分以上の処方が4ヶ月以上続いている症例
と解釈できる。前述した定義に基づくと、厳密にはもっと詳細に絞り込まないといけないが、日常診療の中で応用するにはこれくらいの解釈度でいいかも。
*****【対処法】************************
まずは、NSAIDsへの変更。
それに不応の場合は、ステロイドも考慮。
予防薬を考慮。→ 片頭痛の場合は、ロメリジンやプロプラノロール、バルプロ酸、ベラパミルなど。緊張性頭痛ならチザニジンなど。適応外使用はこちらを参照。
※予防薬投与時は、トリプタンの使用目標を10回/月以下にするよう努める必要がある。エルゴタミンの使用目標は4mg/回 or 2回/週 or 20mg/月以下。
反跳頭痛(退薬症状)は薬剤中止後2日~10日ほど続く。トリプタンによる反跳頭痛は比較的早く消退するのが特徴。
ただ、「薬剤の使用過多による頭痛」の診断基準(☆)によると、以下の通り、片頭痛薬の乱用は「3ヶ月」が基準となっているようで、この辺りも考慮した早め早めの対処が必要だろう。
☆International Headache Society 2018 : Cephalalgia 38(1) : 1, 2018 [L20181221008]より引用
8.2 Medication-overuse headache (MOH)
Diagnostic criteria:
A. Headache occurring on ≧15 days/month in a patient with a pre-existing headache disorder
B. Regular overuse for >3 months of one or more drugs that can be taken for acute and/or symptomatic treatment of headache
C. Not better accounted for by another ICHD-3 diagnosis
8.2.2 Triptan-overuse headache
Diagnostic criteria:
A. Headache fulfilling criteria for 8.2 Medication-overuse headache
B. Regular intake of use or more triptans, in any formulation, on ≧10 days/month for >3 months.
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仕事より趣味を重視しがちな薬局薬剤師です。薬物動態学や製剤学など薬剤師ならではの視点を如何にして医療現場で生かすか、薬剤師という職業の利用価値をどう社会に周知できるかを模索してます。日経DIクイズへの投稿や、「鹿児島腎と薬剤研究会」等で活動しています。