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5つの誤算。1円で起業ってできるんでしたっけ?

私が大学生のころ、時の政権「小泉内閣」による構造改革の一環(?)で、商法が大々的に改正。

詳しくはググっていただくとして、新制度により最低資本金制度が撤廃。1円で会社が作れると鼻息荒くしていた友人が数名おりました。

そんな記憶があったので、すぐに起業なんてできるだろうと思っていたのが大間違い…。今回はそんな誤算だらけだった創業に向けた活動の中で、記憶に残るものを5つご紹介します。

誤算① 法人登記に最低6万円必要

1円起業とはあくまで資本金の話。そもそも法人として登記するには登録免許税という税金を納める必要があります。

会社の形態と資本金額によって変動しますが、株式会社の場合は最低15万円。合同会社の場合は6万円です。

この他に定款作成の印紙代や株式会社の場合は公証人役場への提出にかかる手数料などなど、私たちがクラウドファンディングで得た利益なんて一瞬で蒸発する程度の費用がかかります。

なお、登録免許税以外の費用については、定款を電子定款で作成すると印紙代が不要とか、クラウド会計ソフトのキャンペーンで、行政書士事務所に電子定款を無料で作成してもらったりと、極力費用を抑える手段はあります。

誤算② 資本金1円の企業に信用はない

もちろん、全てにおいてそうだとは言えないと思いますが、金融機関に融資を申し込むときの金額は、資本金(または自己資本)の3倍程度が限度額目安となるようです。

資本金1円で創業はできますがその会社の信用はゼロに等しく、また、融資目安の3倍にしても3円・・・。これでは金融機関は相手にしてくれません。

資金調達を必要としないビジネスモデルであれば気にすることないのかもしれませんが、そもそもまとまった資金を必要としている私たちにとって、1円起業はデメリットしかありません。

誤算③ 酒類販売免許取得にも費用が必要

自分たちのお酒を自分たちの手で売るには免許が必要です。免許取得時に最低でも3万円の税金を納める必要があります。

また、申請書の中で財務状況を明らかにする必要があるのですが、ここでも資本金が1円だと仕入れも何もできないということが明らかにされ免許交付が難しくなります。

と、言うわけで、まずはある程度まとまった資本金を用意することが免許取得の大前提となるわけです。

誤算④ 法人登記の為には登記できる住所が必要

さまざまな事情で住む家を失う方がいらっしゃいますが、定住している場所、つまり住所がないと新しい働き口を見つけることが非常に困難だったり、新しい家を借りようにも現住所を求められたりと、住所を持つというのは生活する上で特に重要な要素となっております。(これがいいか悪いかは別議論でありますが・・・)

会社を立ち上げる時も事務所・店舗になる場所『住所』が必要です。昨今は、バーチャルオフィスなど事務所・店舗の実態はなくても登記できる住所を安価に手に入れることが出来ますが、それでもいくらかの費用が掛かります。

また、我々が目指す酒販免許(通信販売酒類小売業免許)は、バーチャルオフィスでは認められず、営業が行える場所の確保が必須です。

「今住んでる家はダメなの?」

もちろん、その疑問が沸いてきますが、少なくても賃貸では大家さんや管理会社の許可が必要で、それが認められるケースは極めて稀です。

SOHOという住居用賃貸マンションの一室を安価でオフィスとして使える物件もありますが、「登記」となると途端にハードルが高くなります。

酒販免許の申請では申請書類に記載する住所と、会社の登記簿に記載されている住所が一致しているかどうかチェックされますので、やはり「登記できる住所と実態ある場」を確保する必要があります。

そうなると通常の賃貸ではなく、テナントや事務所利用可能な物件を見つけて賃貸契約する必要があるのですが、これらの物件は賃料が高く、また、契約時に数か月分の保証料や敷金などが求められるケースがほとんどです。

誤算⑤ めちゃめちゃ時間と費用がかかる

これは、事前に判明していたわけではなく、目の前のタスクを消化しながら、結果としてわかったことなのですが。

これが会社のプロジェクトだったら、上司から「スケジュールとタスクを洗い出せていないとは何事だ!!」と大目玉をくらうところです。

合同会社の設立と通信販売酒類小売業免許の取得を目指した私たちが費やした、各種手続きの時間はというと…

  1. 日本政策金融公庫、または、自治体の制度融資を申し込むため、事業計画書作成のプランコンサルティングを受ける【2~3ヵ月】

  2. オフィス契約【10日程度】

  3. 法人登記のための電子定款を準備する【5営業日】

  4. 法務局へ登記申請し完了するまで【5~6営業日】

  5. 通信販売酒類小売業免許を取得する【2ヵ月】

これだけで半年くらいかかってしまいます。また、これらの他に、●●助成金・補助金申請のための書類を作成し提出したり、ECサイトを構築したり、税理士先生を探したり、提出書類の書き方がわからず平日に提出先の役所に行ったりと、まったく利益にならない活動(=事業の土台をつくる活動)にいっぱいいっぱいの毎日を過ごすことになります。

また、これらの活動でも必要経費が発生しますが、それらは資本金のために確保したお金から出さざるを得ない状況でした。
融資を有利に進めるために集めた資本金なのに、その手前でお金を使わなければならないとは…。

会社形態にこだわらず、費用を抑えて起業する場合でも、これら法人立ち上げに必要な初期経費を30万円ほど別で確保できると、そのような心配はなかったかもしれません。。

と、まぁ、いろいろ誤算があったわけですが、これはまだまだ序章に過ぎず、大事な大事な「私たちがやりたいこととそれをどう実現するのか?」という活動の中身を突き詰めていかなければなりません。

その辺の話はまた次回。
それでは、近いうちにまた。

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